マイクロストラテジー42億ドル資金調達でBTC拡大

▽ 要約

詳細:年利10%STRD優先株で42億ドルを調達
ビットコ買増:628,000BTC超へ、平均取得7.3万ドル
マーケット影響:株価16%上昇、供給逼迫でBTC強含み
リスク指摘:高配当負担と価格急変動の財務圧力

マイクロストラテジー42億ドル資金調達──「また買うのか?」と驚く読者の疑問に答える。結論から言えば、同社は年利10%の永久優先株STRDを発行し、調達資金の大半をビットコイン追加取得に投じる。この記事では、仕組み・市場インパクト・投資家が取るべきアクションを整理する。

資金調達スキーム詳細

年利10%のSTRD優先株をATM方式で最大42億ドル発行し、柔軟に資金を確保する。
STRDは満期も強制償還もない永久株式。配当は年10%で、所定のNASDAQコード下で逐次売り出す。ATM方式ゆえ、市場環境を見ながら日次・週次で小口発行し、機関投資家とのブロック取引も併用できる。7月上旬に申請、月末にSEC承認を得た。

既存優先株との比較

  • STRC(年9%):7月25日に約25億ドル調達
  • STRF・STRK:2025年前半に発行、評価額計約35億ドル
    STRDはこれらより高配当で投資家を呼び込みつつ、可変利付ではなく固定利付でコストを明示する。

調達資金の用途とBTC購入戦略

資金の七割超を追加BTC購入に充当、残りは運転資金・配当原資へ。
2020年から続く“企業のBTC本位制”を更に推進。直近12週連続で買い増し、6月30日に4,980 BTCを取得し保有597,325 BTCへ。7月第1週は一度購入を見送り、セイラー氏が「Some weeks you just HODL」とポストが話題に。しかし翌週すぐに再開、STRC資金でさらに31,466 BTCを追加(推定)。STRD資金が満額入れば今年後半だけで最大38,000 BTC分の余力が生まれる計算となる。

保有BTCと財務インパクト

7月末の保有は約628,791 BTC、評価額8.5兆円超へ。
累計取得原価は約468億ドル、平均取得単価73,000ドル。IFRS時価評価導入により、4–6月期だけで未実現利益140億ドルを計上。BTC価格が1割動けば純資産も10億ドル単位で変動するため、高ボラティリティが急所となる。

市場の反応

株価は月内16%上昇、BTCは調達ニュースで反発。
MSTR株は資金調達発表と好決算が追い風となり一時590ドルへ。JPモルガンは株価指数への組入れリスクを指摘し、ジム・チャノス氏は“金融の戯言”と空売りを推奨するが、TDコーエンは「買い」を継続。BTCは一時105,000ドルまで下落後、供給逼迫見通しで反発し110,000ドル台を回復。

関連マイクロストラテジー、21,021BTC追加購入

専門家・アナリストの評価

先駆的だがハイリスク──成功すれば企業財務のパラダイムが変わる。
好意的見解は「BTC基盤モデルが他社の模倣を促進し、長期的に価格を押し上げる」というもの。慎重派は「優先配当負担と株式希薄化が財務を圧迫し、BTC急落時に逆回転が起こる」と警告。訴訟リスク(評価損42億ドルを巡る株主訴訟)も顕在化しており、ハイリスク・ハイリターンと総括される。

▽ FAQ

Q. STRD優先株とは?
A. 満期なし・年10%配当の永久優先株で、42億ドルを上限にATM発行する。

Q. 資金はすべてBTC購入に充てるのか?
A. 約70%を追加購入に、残りを運転資金と既存優先株配当に充当。

Q. これで保有BTCは何枚になる?
A. 上限発行時に約38,000 BTCを追加でき、累計66万BTCを超える見込み。

Q. 株価影響は?
A. 調達発表後に株価は月内16%上昇したが、高配当負担と希薄化が今後のボラ要因。

■ ニュース解説

マイクロストラテジーは「企業財務をBTCに置換する」路線を加速中だ。高コスト調達でもBTC長期上昇を前提にすれば資本コストを上回る超過リターンが見込める一方、下落局面では配当負担と評価損が財務を急激に圧迫する。投資家は(1) BTC見通しの強さ、(2) 同社の流動性バッファ、(3) 優先株累積配当の持続性を要チェック。

本稿は情報提供であり、投資助言ではない。

(出典:Barron’s ,Seeking Alpha,X,The Block