▽ 要約
企業決算:売上12.39億円・経常174.18億円で黒字化
暗号資産:評価益100.35億円を計上、上期を押し上げ
貸借対照表:総資産2,382億円・純資産2,010億円に拡大
保有量:8/12時点で18,113BTC、世界6位規模
第2四半期(4-6月)でメタプラネットはビットコイン評価益の計上により大幅黒字化し、資産規模も急拡大した。メタプラネット 2025年第2四半期決算 の要点を整理し、損益構造の変化とリスク・資金調達動向を短時間で把握できるように解説する。
2025年Q2の実績と上期ハイライト
評価益計上と収益構造の変化が同時に進んだため、単体四半期で黒字転換し、上期累計でも売上・利益が前年から大幅改善となった。
第2四半期(単体)は売上12億3,900万円、営業利益8億1,600万円、経常利益174億1,800万円、純利益111億0,600万円。上期累計では売上21億1,600万円(+1156.0%)、営業利益14億900万円、経常利益105億6,500万円、純利益60億5,900万円となり、前年の赤字から大幅黒字に転じた。
黒字化の主因—BTC評価益とQ2の価格反発
第2四半期のBTC価格上昇を受け評価益が営業外収益に立ち、これが経常段階を強く押し上げた。
4-6月にBTC円建ては約1,238万円→約1,566万円へ上昇し、上期累計で評価益100億3,500万円を計上した。第1四半期の評価損74億1,300万円を上回る規模で反転し、Q2単体の黒字化に直結した。一方、為替差損7億8,600万円や繰延税金費用の発生も確認され、非営業要因のブレが大きい決算構造となっている。
セグメント—BTCインカム中心へ
BTC関連の収益化が進んだため、上期売上はビットコイン・トレジャリー事業が19億0,400万円、ホテル・メディアは2億1,200万円にとどまった。
上期の売上構成は約9割がBTC関連で、主に保有BTCを活用したオプション・プレミアム等のインカム手法が寄与した。旧来事業は補助的な位置づけとなり、同社の事業ポートフォリオはBTC中心に移行した。
バランスシートの拡大と資金調達
BTC取得と評価益の積み上げにより資産・自己資本が急増したため、6月末の総資産は2,382億1,400万円、純資産は2,010億100万円に到達した。
同社はゼロクーポンの普通社債(無利息)発行や「ムービング・ストライク方式」の新株予約権(“555ミリオン計画”)等を組み合わせ、BTC取得資金を機動的に確保している。6月末には0%普通社債による約300億円規模の調達を開示し、6月6日には最大5.55億株の新株予約権(行使価額の随時修正・行使停止条項付)を決定した。これらは希薄化管理と調達確度の両立を狙う設計で、BTCの継続取得を支える。
BTC保有量の最新動向と順位
第2四半期末時点の保有は13,350BTCで、8月12日の追加取得により18,113BTCへ増加した。
直近の買い増し(518BTC、取得総額約90.86億円)で累計取得額は約2,703.64億円に達した。企業保有ランキングでは世界上場企業の上位に位置し、アジア有数のBTCトレジャリー企業としての地位を固めている。
投資家・市場の受け止め
決算で利益構造が具体化したため、国内メディアは評価益・資産増を速報し、英語圏ではMicroStrategy型戦略との比較、中文圏では保有量・調達額など大きな数字に注目が集まった。
機関投資家の関心も高まり、7月にはフィデリティ子会社NFSの大量保有が判明するなど、株主構成のグローバル化が進展した。一方で、ギャラクシー・デジタルは“教訓無視”のリスクを指摘するなど、レバレッジとボラティリティに対する警鐘もある。
▽ FAQ
Q. 2025年Q2の単体実績は?
A. 売上12.39億円・営業益8.16億円・経常益174.18億円・純利益111.06億円(4-6月)。
Q. 上期(1-6月)の業績は?
A. 売上21.16億円・営業益14.09億円・経常益105.65億円・純利益60.59億円で黒字化。
Q. 6月末の財政状態は?
A. 総資産2,382億1,400万円、純資産2,010億100万円。前四半期比で大幅に増加。
Q. BTC評価損益の影響は?
A. 第1四半期は評価損74.13億円、上期は評価益100.35億円で差引プラスに転じた。
Q. 最新のBTC保有量と順位は?
A. 8/12時点18,113BTCで世界6位規模(上場企業)、アジア有数のトレジャリー企業。
■ ニュース解説
Q2でBTCが反発したため評価益が営業外収益に計上され損益が反転し、一方で為替差損や税効果も発生したが資本増強とBTC取得の継続でバランスシートは急拡大した。
投資家の視点:評価益依存の利益は価格変動に脆弱であるため、キャッシュ創出力(インカム手法の持続性)と調達条件(希薄化・クーポン・担保条件)のモニタリングが要諦。ランキング上位化は資本市場での資金動員力を高めるが、ボラティリティ管理と情報開示の一貫性が信認の鍵。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:メタプラネット)