【要約】
・メタプラネット 株価がビットコイン相場と連動し、大幅な値動きを繰り返している
・2024年4月のBTC購入方針転換以降、株価は一時46倍に急上昇し「和製マイクロストラテジー」と評される
・2025年末までに1万BTCを保有する計画のもと、6月2日に追加購入を発表、累計保有量は8,888BTCに達した
・増資や社債発行で巨額資金を調達し、ビットコイン購入資金に充当する独自戦略を推進
・評価損益が変動しやすいためリスクも大きいが、国内外の投資家から大きな期待と注目を集めている
メタプラネットの株価とボラティリティ
メタプラネットの株価は、ビットコイン相場と歩調を合わせるように極端な上昇と下落を繰り返しています。2024年4月にビットコインを財務の柱とする方針を打ち出したのを機に、同年4月時点の20円弱から2025年2月には約46倍(6,650円)まで大幅上昇しました。その後、ビットコイン価格の調整とともに急落する局面もありましたが、2025年5月に米国時間5月21日のBTC最高値更新を受ける形で再び急騰。5月20日から22日まで連日ストップ高となった一方、翌23日にはストップ安へ急落するなど、投機色の強い値動きを示しています。さらに6月に入るとBTC追加購入の発表が好感され、6月3日には前日比+16.05%高の1,359円まで再上昇しました。
ビットコイン保有戦略と追加購入の概要
同社は「ビットコインを主要準備資産とする」という独特の財務戦略を掲げ、2025年末までに1万BTC、2026年末までに2.1万BTCを保有する目標を公開しています。6月2日に1,088BTCの追加購入を発表したことで、累計保有量は8,888BTCに到達。平均取得単価は約1,375万円/BTCで、総投資額は1,200億円超に上ります。この保有量は国家としてBTCを保有するエルサルバドルの約6,195BTCを上回り、「日本版マイクロストラテジー」の呼び名を裏付ける規模となっています。
資金調達とIR発表のポイント
巨額のビットコイン購入費用を捻出するため、メタプラネットは増資や社債発行を積極的に活用しています。2025年5月末には2日連続でゼロクーポン社債を発行し、合計7,100万ドル(約103億円)を調達。これにより6月2日の1,088BTC追加購入を可能にしました。また、新株予約権(ワラント)の行使による増資も断続的に行われており、発行済株式数は1年足らずで約1.8億株から6億株規模へ拡大しています。一方、同社は「BTCイールド」という独自KPIを用い、株式希薄化以上にビットコイン資産を増やせているかをモニタリングしている点が特徴的です。
最新の財務・業績状況
2025年12月期から連結決算に移行した同社は、ホテル事業を含む本業収益の伸長もあり、2025年第1四半期は売上高8億7,700万円・営業利益5億9,200万円を記録しました。しかし、期末のBTC評価額が購入時を下回った影響で74億円超の評価損を計上し、最終損益は-50億円の赤字となっています。会社側は「評価損はあくまでも会計上の時点評価にすぎず、長期的戦略には影響しない」としており、その後のBTC相場反発で評価額は大幅に回復している模様です。
SNS・メディアでの注目度
メタプラネットの株価急騰劇やBTC一極集中の財務方針は、Bloombergや暗号資産関連メディアから「日本のマイクロストラテジー」として報じられました。SNSでも「ビットコイン関連株の代表格」として連日話題となり、急騰時には「どこまで上がるのか」「押し目なのか」の議論が白熱。急落時には「バブル崩壊か」「空売り勢vs買い勢のチキンレースか」といった書き込みが相次ぎ、売り予想と買い予想が拮抗する状況が続いています。
市場関係者のコメントと分析
肯定的な見方としては、海外からの戦略投資が示すように「長期的にビットコイン価格が上がれば株主価値も飛躍的に伸びる」という意見が多く聞かれます。逆に、ビットコイン相場下落時の財務リスクや度重なる増資による株式希薄化を警戒する声も根強いのが事実です。事実上の「ビットコインETF」のように機能しながら管理コスト(希薄化)を株主が負担しているのではないか、という批判も一部で指摘されています。
ニュースの解説
メタプラネットの株価は、今後もビットコイン価格次第で乱高下する可能性が高いと考えられます。同社のようにBTCを大量に買い増す企業は国内では珍しく、投資家目線でも高い注目度が続きそうです。一方で、単なるバイアンドホールドにとどまらず社債や増資を使いこなし、ビットコイン運用で積極的に利益を狙う姿勢は、リスク管理の成否が企業価値を大きく左右する要因になります。日本市場において、これほど大規模に暗号資産を取り込む企業の登場は新たな投資テーマとして確立しており、今後もビットコイン相場の動向とセットで注視されることは間違いありません。