▽ 要約
ビットコイン追加:メタプラネットが2,205 BTCを追加取得し保有15,555 BTCへ
優先株構想進展:BTC担保・年利9〜10%想定の無議決優先株を検討中
資金使途:調達資金は追加BTC購入に循環投入、2027年21万BTC目標
マーケット影響:希薄化抑制で株価下支えも配当負担が財務課題に
将来展望:日本の高利回り商品空白を埋める革新的ファイナンスと評価
メタプラネット ―「メタプラネット BTC担保優先株」が再び市場の耳目を集めた。7 月 7 日早朝、同社は2,205 BTC(約2.4 億ドル)を追加購入したとX公式で発表。保有残高は15,555 BTCへと一段拡大した。さらに以前から報じられる「BTC担保優先株」構想が具体化すれば、資金調達手段は大きく変わり、日本の個人金融資産2,200兆円の受け皿になり得る。本稿では最新のBTC追加取得と優先株計画の全貌、市場インパクトを整理する。
1. 2,205 BTC追加購入の概要
結論から言えば、メタプラネットは一晩で約2.4 億ドル相当のBTCを買い増し、保有量を15,555 BTCとした。購入単価は平均10.92 万ドル/BTCと推測され、直近のオプションプレミアム収益を原資とした可能性が高い。
1-1. 取得後の保有ポートフォリオ
- 保有総額:15,555 BTC ≒ 16.9 億ドル
- 時価総額比:同社時価総額(約21 億ドル)の8割弱をBTCが占める
- ランキング:公開企業BTC保有量で世界第4位、テスラを上回る
2. BTC担保優先株構想の要点
BloomingBit報道によれば、メタプラネットは日本円建て・年9〜10%配当のA種優先株発行を準備中だ。議決権を伴わず、担保として同社保有BTCを差し入れる方式を採用する見込み。MicroStrategyが24年に米市場で発行したSTRF(年利10%・永久優先株)を日本流に移植するモデルといえる。
2-1. 商品設計の主要スペック
項目 | 内容 |
---|---|
発行通貨 | 日本円 |
配当利回り | 9〜10%(固定) |
優先順位 | 配当優先・残余財産優先/議決権なし |
担保 | 保有ビットコイン全量の一部 |
調達規模 | 未公表(発行上限10億円規模との観測) |
使途 | 調達即日で追加BTC購入へ |
2-2. なぜ優先株か
従来同社はMSワラント増資でBTCを買い進め、約30%の希薄化を招いた。優先株なら議決権を希薄化せずに固定配当で資金を呼び込める。個人NISA枠での購入も想定され、円ベース高利回り商品に飢える国内投資家の需要を汲む。
3. マーケットへの影響
3-1. 株価ボラティリティ
普通株の需給は短期的に優先株へ資金が流れる可能性があるが、希薄化懸念低減とBTC保有増加が評価されれば、長期ではmNAV上昇が株価を下支えする見通し。
3-2. 財務健全性
固定配当はキャッシュアウト要因。ただし同社は「ビットコイン・インカム・ジェネレーション事業」で高いBTCイールド(Q1:95.6%)を達成し、配当原資を確保できる収益構造を示している。
4. 21 万BTCロードマップ
メタプラネットは2027年末21 万BTC保有という野心的目標を掲げる。優先株によるレバレッジ型調達とオプションプレミアム収益の循環モデルが達成の鍵を握る。
▽ FAQ
Q. メタプラネットはなぜ円建てで発行するの?
A. 国内個人マネーを直接取り込み、為替ヘッジコストを排除する狙いがあります。
Q. 配当9〜10%は持続可能?
A. BTCオプション戦略の恒常的インカムと担保BTC増加で原資を確保する設計です。
Q. 普通株主の議決権は薄まる?
A. 発行対象が無議決優先株のため、普通株主の議決比率は維持されます。
Q. 21 万BTC目標は現実的?
A. 年4万BTC超の買い増しが前提で、レバレッジ調達とBTC価格上昇が両立すれば到達可能と試算されます。
■ ニュース解説
今回の2,205 BTC追加は、メタプラネットの「BTC準備資産型企業」路線を裏付ける行動だ。優先株計画が実現すれば、日本市場で初となるBTC担保証券が誕生し、低金利と円安に悩む国内投資家に新たな選択肢を提示する。もっとも固定配当10%は社外流出キャッシュの増加を意味し、BTC相場急落局面での耐性が試される。投資家は配当負担・BTCボラティリティ・レバレッジ度合いのバランスを注視したい。
(出典:同社公式X,panewslab,tradingview,kabutan)