▽ 要約
フェーズ移行:BTC担保で資金調達し事業買収へ
銀行買収案:国内デジタルバンク取得を検討
市場反応:株価9%急騰、BTC一時10万8千ドル
リスク要素:レバレッジと希薄化に投資家警戒
メタプラネットのビットコイン戦略が「第1幕=大量保有」から「第2幕=事業拡大」へ移った――この一報は、ビットコイン相場と同社株を揺さぶりました。本稿ではフェーズ2の全容、資金調達スキーム、想定されるM&A、そして投資家が直面する機会とリスクを解説します。
ビットコイン戦略第2フェーズの全体像
メタプラネットは7月8日、保有するBTCを担保にレバレッジを掛け、収益事業の買収を進めると表明した。第1フェーズで1万5,555BTCを蓄積し、世界5位の企業保有量を確保した同社は、3〜7年を見据えた拡大局面に入る。
フェーズ1との違い
資産「蓄積」から資産「活用」へ。これまでのBTC買い増しは株主価値を暗号資産の時価に連動させる戦略だったが、フェーズ2ではキャッシュフロー創出を重視し、実業に踏み込む。
資金調達とM&Aシナリオ
同社は6月にMSワラント5億5,500万株を発行し、最大7,709億円を調達可能にした。さらに米子会社を通じ最大50億ドルのBTC担保ローン枠を設定。CEOサイモン氏は「有望なデジタル銀行を含む複数案件を精査中」と語る。
デジタル銀行買収の狙い
銀行免許と預金基盤を取得し、BTC担保の与信・決済を国内で展開する構想。これにより既存リテール銀行を凌駕するスピードと手数料競争力を得る計画だ(出典:FTインタビュー)。
株式市場とビットコイン相場のインパクト
発表当日、メタプラネット株は前日比+9%の1,540円へ急伸し出来高は通常の4倍に拡大。ビットコインも同時刻に108,000ドルをつけ、アジア市場のセンチメントを押し上げた。
「日本版MicroStrategy」評価
MicroStrategy同様、株式がBTCのパーペトゥアルETF的役割を果たす。ファンド勢は伝統的口座でBTCエクスポージャーを取れる手段として注目している。
リスクと規制上の論点
価格変動リスクと規制不確実性が最大の懸念。BTC価格が50%下落すると担保割れで追加証拠金が発生し得る。また、銀行買収には金融庁の認可が不可欠で、最短でも半年以上の審査が必要だ。
希薄化とレバレッジの両刃
増資とワラント行使は株式希薄化を招く。さらにBTC担保ローンの金利上昇は返済負担を高め、両リスクが同時発現すると財務健全性が揺らぐ。
▽ FAQ
Q. フェーズ2の公式発表日は?
A. 2025年7月8日、サイモンCEOが金融各紙取材で開始を宣言。
Q. 調達規模はいくら?
A. MSワラントで最高7,709億円、BTC担保借入で最大50億ドル。
Q. 主な買収候補は?
A. 日本のデジタル銀行を筆頭に、安定収益のフィンテック企業。
Q. 株価への初動は?
A. 発表当日に+9%高の1,540円、ボラティリティも急上昇。
■ ニュース解説
本案件は、企業財務におけるビットコイン活用モデルが「保有」から「担保利用」へ進む転換点を示す。成功すれば暗号資産と伝統金融の融合事例として世界的ベンチマークとなるが、価格ボラティリティに晒されるリスクも比例して高まる。投資家は好機と危険の両面を見極める必要がある。
(出典:金融庁ガイドライン,東証データ,Metaplanet IR,Financial Times)