▽ 要約
ビットコイン保有方針:9–12月に5億円分を段階取得。
デジタル資産戦略:住宅NFTとBTC決済で国際販売へ。
株価反応:8/18開示後に株価一時13%高。
実装時期:住宅NFT初号は2026年1月発行予定。
国内上場のLib Workが「Lib Work ビットコイン保有」を打ち出し、住宅NFTとBTC決済を核にWeb3×住宅の新市場を狙うため、9–12月に5億円相当のBTCを段階取得する決定を公表した。目的は資産分散と価値保全、そして国際販売への決済基盤整備である。本稿は意思決定の根拠、住宅NFTの実装計画、会計・規制論点までを解説する。
取締役会が決めたBTC取得の要点
9〜12月に総額5億円のBTCを段階取得し中長期保有を基本とするため、資産分散とインフレ・円安耐性の強化を狙う。
日本の超低金利・円安環境で現預金の実質価値毀損リスクが高まる中、発行上限を持つBTCを代替資産として組み入れる判断だ。取得は定期的・段階的に実行し、住宅販売で受領するBTCも原則保有を継続する。含み益は将来的にM&A原資へ転用する構想も示された。
目的とリスク管理
超低金利と円安進行への備えとして代替資産を組み入れる一方で、市況急変時は一部売却も許容する体制を整える。
資産多様化と価値保全を主眼に、財務の耐性強化と事業投資の機動性を両立させる。定期取得は価格分散に寄与し、時価評価の会計処理とリスク管理ポリシーでボラティリティに備える。
株価・市場反応
8月18日の開示直後に株価は一時13%上昇したため、デジタル資産戦略への期待が短期的に織り込まれた。
デジタル資産活用と住宅NFT/BTC決済の連動は、事業の新規性と財務戦略の一体性を市場が評価した格好だ。足元では価格変動性が高いため、IRでは取得進捗・評価損益の四半期開示が重要となる。
3Dプリンター住宅NFTとBTC決済
設計データと所有権情報をNFT化しBTC決済を受け入れることで、国境を越えた住宅取引の透明性と流動性を高める。
Lib Earth House model Bの3D設計CADをNFT化し、唯一性・履歴・権利をブロックチェーンで管理する。物理住宅に紐づく所有証明NFTも発行し、二次流通やフランチャイズ・ライセンス展開の基盤とする。
導入時期と対象
山鹿市のLib Earth House model Bを対象に2026年1月に初号NFTを発行する予定で、日本国内から段階的に展開する。
初回は「No.001」などのシリアルで希少性とブランド価値を担保し、将来的に海外販売にも拡張可能な決済・権利移転フローを整える。購入時は法定通貨とBTCの選択制を想定する。
技術・ガバナンス
土・石灰・天然繊維を用いた大型3Dプリントの採用で環境負荷を抑える一方、NFTで知財・所有履歴を改ざん耐性高く管理する。
土壌系素材によりセメント依存を低減し、地域資源活用とCO₂削減に寄与する。完成後は窓・屋根・設備を人手で組付け、太陽光・蓄電でオフグリッド化も視野に入れる。知財保護・KYC/AML・所有権連携の運用規程が要諦となる。
購入・流通の想定フロー
購入者は公式または提携マーケットでNFTを取得し、物理住宅の引渡しとセットで権利を獲得する。二次流通ではオンチェーンで所有権を更新し、必要に応じてロイヤリティを自動分配する仕組みを組み込む。
Web3戦略の全体像と論点
BTC保有で財務耐性を高めつつ住宅NFTで収益多角化を図るため、会計・規制・KYC/AMLの実装と運営ガバナンスが鍵となる。
BTCの含み益をM&A等に再投資する循環と、プラットフォーム化で外部事業者を取り込む構想は相乗効果が大きい。他方で、暗号資産の時価評価・NFT売上の収益認識・越境販売の規制順守・消費者保護の仕組み化が不可欠だ。
プラットフォーム化と競争力
自社の仕組みを他社へ開放することで先発優位を狙う一方で、実物資産の権利移転設計や法的接続性を確保する必要がある。
住宅ID・点検履歴・修繕ログの標準化、登記・実世界手続きとのシームレス連携、紛争解決プロセスの明確化が「参加する価値」を左右する。手数料・ライセンス・データ利活用の料金設計も論点だ。
会計・税務・コンプラ
BTCの時価評価やNFT売上の収益認識、暗号資産決済のKYC/AML整備を早期にルール化することで事業の信頼性が高まる。
四半期での評価損益開示、売上計上のタイミング(引渡基準・権利移転)、本人確認・資金洗浄対策、顧客保護のための返金・取消ポリシー設計が必要である。
▽ FAQ
Q. Lib Workはいつ、いくらのBTCを買うのか?
A. 2025年9月〜12月に総額5億円相当を段階取得し、原則中長期保有とする方針(1431・適時開示)。
Q. 住宅NFTの初回発行と対象物件は?
A. 熊本・山鹿市の「Lib Earth House model B」で、2026年1月に初号NFT発行・受注開始予定。
Q. 株価はどの程度反応したか?
A. 2025年8月18日の発表直後、Lib Work(1431)は一時13%高の場面が報じられた。
Q. なぜBTC決済に対応するのか?
A. 為替・送金コストを抑え海外顧客の直接購入に対応するためで、国際販売網の拡大を狙う。
Q. 技術面の差別化要因は?
A. 土・石灰・繊維の土系素材を大型3Dプリンタで成形し、NFTで設計権利と所有履歴を管理する点で新規性が高い。
■ ニュース解説
Lib Workが2025年8月18日にBTC長期保有と住宅NFT/BTC決済の推進を決定したため、財務の分散と国際販売基盤の整備が同時に進む一方で、会計・規制・KYC/AMLなど運用上の整備が短期課題となる。
取締役会が9〜12月に5億円相当のBTC取得を決議し、住宅NFTと決済対応を「デジタル資産戦略」として連動させた。日本の超低金利・円安環境と建設業の人手不足・資材高、データ起点の住宅流通DXの必要性が背景にある。株価は一時13%高となり、グローバル取引への参入障壁低減とブランド価値向上が期待されるが、ボラティリティと制度面の整備が鍵となる。
投資家の視点:①取得計画と時価評価ポリシー、②住宅NFTの販売・権利移転フロー、③KYC/AML・返金規程など顧客保護、④含み益の資本配分(M&A・新規投資)の優先順位をモニターしたい。
※本稿は投資助言ではありません。