▽ 要約
合併:2025年8月14日完了、銘柄NAKAのまま継続
新体制:Bailey氏がCEO就任、医療はPickett氏が管掌
調達:PIPE5.4億+転換社債2億でBTC購入を推進
目標:100万BTCと機関・政府向けサービス構築
投資家の関心は「医療企業がなぜBTC財務に舵を切るのか」。結論は、上場器を活用した大規模調達で企業財務をビットコイン基準へ再設計するためだ。2025年8月14日に合併を完了し、PIPE5.4億ドル等を原資に買付を継続、最終目標は100万BTC。カインドリーMD ナカモト 合併 ビットコイン財務戦略を、背景・新体制・リスクまで解説する。
合併の背景と新体制
医療事業を維持しつつBTC財務を独立展開するため、逆さ合併で上場アクセスを確保し、Bailey体制のもと「ナカモト」ブランドを切り出した。
合併は2025年8月14日に完了し、社名はKindlyMD、ティッカーはNAKAを継続。ビットコイン財務は「ナカモト」ブランドで独立運営し、CEO兼会長にBitcoin Magazine共同創業者のDavid(Davide)Bailey氏が就任。医療業務はTim Pickett氏(上級医療責任者)が統括、取締役会にはPerianne Boring氏(Chamber of Digital Commerce創設者)、Mark Yusko氏(Morgan Creek CIO)らが参画する。
ブランド再編と役割分担
医療収益とBTC財務を分離したため、規制対応と投資家説明が明確化し、両事業のKPIが可視化された。
KindlyMDは既存の外来・データ事業を継続し、ナカモトはBTC財務・サービスを担う。銘柄はNAKAのまま市場アクセスを維持し、投資家は一つの上場株式で医療とBTC財務の両エクスポージャーを取得できる。
資金調達の内訳と使途
合併同時のPIPEで約5.4億ドルを調達し、翌日に2億ドルの転換社債を予定したため、BTC購入原資を一気に確保できた。
6月には追加で5,150万ドル(1株5.00ドル)のPIPEを実施し、累計コミットは約7.6億ドル規模に到達。使途は一貫して「ビットコイン購入と一般企業目的」で、ワラント行使で21BTCを先行取得済み。6月20日の追加調達公表後、株価は一時7%下落する場面もあったが、需要は厚く短期で完売した。
希薄化・負債とガバナンス
調達は株式中心のため証拠金取引型の連鎖清算リスクは相対的に小さい一方、継続的な希薄化と転換社債条件はモニタリングが要る。
希薄化管理と投資家への情報開示(BTC保有・取得単価・調達条件)を高頻度で行う体制が重要となる。
100万BTC方針の実装とサービス拡張
調達資金の大半をBTCに即時転換する方針のため、機関向けカストディと執行体制を固め、公開市場での透明な開示で投資家にエクスポージャーを提供する。
同社は最終的に100万BTCの保有を掲げ、公開市場での継続買付(コーポレート・トレジャリー戦略)を主軸に据える。株式・社債の機動的発行で資金を積み増し、投資家需要が続く限り買付を継続する設計だ。
保管・執行――Anchorage Digital
連動する取引・保管はAnchorage Digitalが担うため、マルチシグ・コールド保管と機関グレードの執行でオペレーショナルリスクを抑制できる。
同社は米国で唯一の連邦チャーターを持つデジタル資産銀行を傘下に持つAnchorageと連携し、カストディとトレーディングを分離・冗長化して管理する。取引所残高依存を避け、バランスシート保有のまま監査対応を行う。
機関・政府向け「ビットコイン財務」サービス
自社の財務運用で得たノウハウをプロダクト化したため、企業・政府のBTC導入支援と運用ソリューションを横展開できる。
「ナカモト」ブランドではトレジャリー運用、カストディ、執行、開示・会計支援、アドバイザリー等の包括的メニューを想定。目的は「透明かつ規制順守の構造でBTCエクスポージャーを公開市場へ提供」することだ。
業界比較とリスク
MicroStrategy(現Strategy)の大規模保有やMetaplanetの拡大路線が先行例である一方、価格変動・規制・希薄化のリスクは常に残る。
最大級の企業保有としてStrategyは2025年8月時点で約62.9万BTCを保有し、株式・優先株・社債を駆使して累積を続ける。他方、MetaplanetはBTCを担保にM&A資金を得る「第2段階」へ踏み出した。成功事例がある一方、2022年のTeslaの戦略縮小例が示すように企業の方針転換リスクも無視できない。KindlyMDもBTC価格・規制・調達環境に業績が連動しやすく、希薄化管理と情報開示が株主価値の鍵となる。
▽ FAQ
Q. 合併はいつ完了し、ティッカーは?
A. 2025年8月14日に合併完了。社名はKindlyMDで、NASDAQティッカーはNAKAを継続使用。
Q. 資金調達の規模と使途は?
A. PIPE5.4億ドルと転換社債2億ドル等を調達し、主にビットコイン購入と運転資金に充当予定。
Q. BTC保有目標と現状は?
A. 最終目標は100万BTC保有。2025年6月末時点で21BTC取得済みで、以降も継続買付の方針。
Q. カストディは?
A. Anchorage Digitalを専属カストディに指名し、マルチシグとコールド保管で機関投資家水準の管理。
Q. 株価反応は?
A. 2025年6月20日の追加PIPE発表直後、KindlyMD(NAKA)の株価は寄り付き後に一時7%下落。
■ ニュース解説
合併が8月14日に成立したため、KindlyMDはNAKAの上場器を活かしつつ「ナカモト」ブランドでBTC財務を独立運営し、PIPE5.4億ドル等を原資に継続買付と機関・政府向けサービスを拡充する。
投資家の視点:希薄化・転換社債条件・BTCボラ・規制の4点を常時点検し、開示(保有BTC・取得単価・ロックアップ)を追跡するのが基本。バリュエーションは「BTC保有量×時価」と希薄化後株式数、負債性調達のコストで評価する。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:Newswire,Anchorage Digital,SEC)