企業のビットコイン購入最新動向 2025年版|世界主要企業の戦略を完全解説

【要約】
企業のビットコイン購入 はインフレヘッジ・財務多様化・長期投資を目的に急拡大。
MicroStrategy が約58.2万 BTCで先頭を走り、「企業版ETF」と呼ばれる規模へ。
テスラ は15 億ドルで取得後に一部売却、現在は約9,720 BTCを維持。
マイニング勢 MarathonRiot が“掘って貯める”戦略で保有量を急拡大。
日本発の メタプラネット は1 年で8,888 BTCへ―「日本版MicroStrategy」化。
保険・運用会社 MassMutualRuffer など伝統金融も参入し市場心理を刺激。
売却益を確定させたRuffer美図のような短期型も存在し、戦略は多様。
2025年会計基準変更(時価評価容認)の追い風で、企業保有は今後も増勢見込み。

はじめに — 企業のビットコイン購入とは何か

企業のビットコイン購入(企業のビットコイン購入)は、余剰資金や社債調達資金を用い、ビットコイン(BTC)を自己勘定で保有する動きです。インフレ環境下で価値保存資産を求める流れと、会計基準の見直しが重なり、2020年以降急速に拡大しました。本稿では、上場・非上場、金融・テック・マイニングなど多岐にわたる企業の事例を網羅し、保有規模・目的・市場インパクトを整理します。

米国勢の牽引役

1. MicroStrategy(米国)— ビットコイントレジャリーの草分け

  • 購入時期・規模
      2020年8月の初回買い付け以降、社債発行を繰り返し 累計約 58.2 万 BTC/約408 億ドル を取得。
  • 狙い 「現金は溶ける氷」との認識から、インフレヘッジと株主価値の長期保全を宣言。
  • 影響 BTCと株価が高相関化し、強気局面では120 ドル→1,400 ドル超へ10倍化。減損会計リスクも抱えつつ“企業版ETF”と評される存在に。

2. Tesla(米国)— フォロー・ザ・リーダー

  • 購入 2021年1月に 15 億ドル/約4.3 万 BTC を取得。
  • 売却 2021 年3月・2022 年Q2に計85 %を売却し、現在9,720 BTC を保有。
  • 狙い キャッシュ多様化と将来的決済手段の試行。
  • 影響 初報でBTC価格16 %急騰。イーロン・マスク氏の発言が相場変動要因に。

マイニング企業 — 掘っては貯めるビジネスモデル

1. Marathon Digital Holdings

  • 市場購入 2021年1月に 4,812 BTC(1.5 億ドル)を一括取得。
  • 累積保有 自社採掘分を売らず、2025年4月末で 48,237 BTC/約46 億ドル
  • 戦略 「売らない」方針で株主価値最大化。強気相場では業績を大きく押し上げた一方、価格下落期には評価損リスク。

2. Riot Platforms

  • 保有 2025年時点で 18,692 BTC/約20 億ドル
  • 特徴 電力コスト優位性と設備投資でハッシュレート拡大。株価は“BTCレバレッジ銘柄”として機能。

暗号資産サービス企業

1. Galaxy Digital Holdings

  • 保有 15,449 BTC/約16 億ドル(推定)。
  • 目的 業界リーダーとして「自らステークホルダーとなる」メッセージ。市場低迷時には評価損、上昇時には黒字転換。

2. Coinbase Global

  • 購入 2021年夏に2.72 億ドル/6,885 BTC
  • 方針 利益の10 %を暗号資産保有へ充当。上場企業として異例のコミットメント。

日本企業の台頭

1. メタプラネット— “日本版MicroStrategy”

  • 取得 2024年4月開始、2025年5月で 8,888 BTC/約970 億円
  • 将来計画 2027年までに 21 万 BTC を目標。
  • 影響 株価は1 年で約30倍に急騰。資金調達とボラティリティ管理が課題。

2. Nexon(ネクソン)

  • 購入 2021年4月に 1,717 BTC/1 億ドル
  • 保有 売却せず長期保有を継続。2021 年Q2に評価損45 億円を計上。

伝統金融・その他事例

1. MassMutual(米国)

  • 2020年12月に 1 億ドル 相当のBTCを取得(約5,000 BTCと推定)。
  • 保険会社としての試験的投資が大きな心理的インパクトを与えた。

2. Ruffer Investment(英国)

  • 2020年11月に 6 億ドル/約4.5 万 BTC を投資し、2021年4月までに 11 億ドル で全量売却。
  • わずか5 か月で 5 億ドル の利益を確定し、短期戦略の成功例として語られる。

3. Meitu(中国/香港)

  • 2021年3–4月に 4,941 万ドル/940.89 BTC5,000 万ドル/31,000 ETH を購入。
  • 2024年までに全量売却し、7,963 万ドル の純利益を確定。

その他の保有企業(概要)

  • マイニング他 Hut 8 Mining(約10,237 BTC)、Hive Digital(約2,287 BTC)など。
  • 新興国企業 タイ Jasmine International(約506 BTC)他。
  • 宇宙開発 SpaceXは最大3.73 億ドル相当を保有後に売却したと報道。
  • 政府系 エルサルバドルは国家準備金として2,381 BTCを保有。

ニュースの解説 — 今後の論点と市場への示唆

2025年会計基準の改正により、企業は従来の減損会計ではなく時価評価を選択できる見通しです。これにより評価益を財務諸表に反映しやすくなり、**「ビットコイン保有=株主価値向上ツール」**という認識がさらに広がる可能性があります。一方、

  • 為替・金利変動 が調達コストを圧迫し、
  • 規制強化 が資金調達や保有戦略に影響を与える懸念も残ります。

とくにメタプラネットのように大規模な追加取得を掲げる企業は、資本政策とボラティリティ管理の両立が注目点です。いずれにせよ、企業のビットコイン購入 は単発のトレンドではなく、財務戦略の選択肢として定着しつつあります。価格サイクルの波を伴いながらも、2025年以降の企業トレジャリー戦略を占う重要テーマになるでしょう。