▽ 要約
ハイライト TOKEN2049でSunPerp(孫悟空)を正式発表。
プロダクト 手数料補助とダークプール、USDT基軸。
ブランディング 中国語名でアジア需要を狙う。
コンテキスト TRONはUSDT基盤からデリバティブ拡張。
業界は「CEXからDeFiへ」の潮流をどう捉えるべきか。結論は、ジャスティン・サンのTOKEN2049スピーチが示したジャスティン・サン SunPerp(孫悟空)の戦略が、その答えの一つになり得るという点だ。手数料補助、ダークプール、USDT基軸という設計で決済チェーンから取引チェーンへ軸足を広げ、アジア市場を射程に入れる意図が明瞭だった。
スピーチの要点—SunPerpの設計と狙い
Hyperliquid型の分散型パーペチュアルDEXとして、手数料補助とダークプールで約定コストと情報リークを抑え、USDT基軸でETH/BNB/Arbitrum等へ段階展開する方針が示された。
サン氏は「業界のベストプラクティスを統合し、“ジャイアントの肩の上に立つ”」と述べ、資本の流出入がCEXからDeFiへ移る不可逆トレンドに対する直接の回答だと強調した。会期は10/1–2のTOKEN2049(MBS)で、同発表は基調セッションの一つとして現地報道が相次いだ。
ダークプールと手数料補助の機能
ダークプールは大口の注文情報を秘匿して市場インパクトを抑える狙いがあり、初期段階では承認・入出金時のガス相当を補填する設計が示唆された。USDTを精算通貨に据えることで、既存のTRON送金圏の流動性をそのままデリバティブに接続する。
設計思想は「CEXの使い勝手×DeFiの透明性」を標榜し、Hyperliquid/Asterなど既存強豪のベストプラクティスを取り込む「レイトカマー優位」を打ち出す。
「孫悟空」ブランドの導入
英語名SunPerpと並行して中国語ブランド「孫悟空」を採用し、会場は名称の発表で“どよめき”に包まれた。中国語圏への明確な訴求を通じてアジアのマスアダプションを加速させる狙いが読み取れる。
「孫悟空」はDeFiの主要DEXとしては稀な中国語ブランドで、象徴性と話題性を両立させたメッセージ設計と各国メディアは評した。
ローンチ状況と今後の展開
公開βは既に稼働し、報道ベースでユーザー1万人超・累計取引高9億USDT超、直近数週間で取引ペアを100–200に拡張するとされた。
クロスチェーンはTRON発で、順次Ethereum/BNB/Arbitrumなどへ接続予定と説明されている。
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背景—TRONとUSDT決済エコシステム
TRONはUSDTの主要発行・流通レイヤーで、2025年8月時点でTRON上USDTは820億ドル超、日次アクティブユーザーは100万超との講演報告がある一方、チェーン別シェアは期間によりイーサリアムと拮抗しながら推移する。
この「決済優位」をSunPerpでデリバティブ取引へ延伸し、送金需要からトレーディング需要までの連続動線を構築する戦略だ。
ジャスティン・サンとは
中国出身の起業家でTRON創設者。資産評価は時点により乖離があり、Bloombergは2025年8月時点で約124億ドル前後(順位は200位台)、Forbesは85億ドルを推計する。Bloombergの詳細開示を巡る仮処分申立は9月下旬に却下された。
資産評価と保有構造
BloombergプロファイルではTRX保有が供給の過半に及ぶとの分析が報じられ、BTC・ETH・USDT等の保有内訳も示されたと伝えられる。サン側は一部内容を争い、Bloombergとの法廷係争が続く。
$TRUMPコイン最大保有者としての話題
$TRUMPは2025年1月に発行された大統領公認のミームコインで、5月の上位220名限定ディナーではサン氏が「最大保有者」として招かれた。CBSやBusiness Insider、Politico等がその位置づけを報じている。
価格は高ボラティリティで推移し、循環供給200百万枚・総供給10億枚、発行体側が大口保有する点は倫理面の論点ともなった。
WLFI凍結問題と規制面の近況
9/5にトランプ関連DeFi「World Liberty Financial(WLFI)」がサン氏ウォレットの凍結・ブラックリスト化を行ったと報じられ、本人は「不当」と反論した。SECとの民事係争は2/26付で手続一時停止が共同申立され、解決協議が続く。
▽ FAQ
Q. TOKEN2049での発表は?
A. TRON初のPerp DEX「SunPerp」。手数料補助・ダークプール、USDT精算でETH/BNB/Arbitrum接続予定(2025-10-02)。
Q. 「孫悟空」導入の意義は?
A. 英語名に加え中国語名を採用し、アジア圏の浸透を優先。名称発表に会場が沸いた(10/2、シンガポール)。
Q. β版の利用実績は?
A. 報道ではユーザー1万人超・累計9億USDT超。数週間で100–200ペアに拡張計画(2025-10-02)。
Q. TRON×USDTの最新値は?
A. 8月時点でTRON上USDT発行が820億ドル超、DAU100万超との講演整理。チェーン別シェアは時期で変動。
Q. サン氏の資産評価は?
A. Bloombergで約124–136億ドル(200位台)、Forbesで85億ドル(#401)。評価差は手法に依存(2025年時点)。
■ ニュース解説
SunPerp発表が示すのは、TRONのUSDT決済基盤を足場にデリバティブへ拡張する転換であり、アジア訴求の「孫悟空」導入が需要喚起を狙う一方で、規制・ガバナンス論点(WLFI凍結や保有集中)も残る、という構図だ。
投資家の視点:短期はベータ版指標(出来高・スプレッド・清算件数)とクロスチェーン展開の実装速度を追跡し、中期はTRON上USDTの流動性滞留度合いとCEX→DeFiの資本移動を観測したい。規制面のヘッドライン(米SECや政治関連)によるボラ拡大には備えるべきだ。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:Decrypt)