▽ 要約
ナッジ連携:2025年10月からJPYC払いを段階導入
サービス仕様:指定ウォレット送金でカード代金を返済
利用範囲:Visa約1億5000万加盟店の支出を後日清算
注意点:1件100万円上限・当初はPolygon対応のみ
「クレカ代をデジタル円で払えるのか?」という疑問に対し、Nudgeが日本初の仕組みでJPYC払いに対応し、カード網とオンチェーンを橋渡しする。読めば、JPYC払い Nudgeカード の実装と使い分け、制度上の留意点まで一気に把握できるように解説する。
提携の全体像(仕組み・導入時期・背景)
Nudgeが2025年10月からJPYC返済を順次導入し、資金移動業登録を得たJPYCの電子決済手段発行が始まるため、カード網と円建てステーブルコインの連動が可能となった。
NudgeとJPYCの提携は、次世代クレジットカード「Nudge」での利用代金を、ユーザーが指定アドレスへJPYCを送付することで返済できるようにするもの。開始当初は対象者を限定し、Polygon版JPYCから対応予定で、将来的にチェーンと対象を拡大する。Nudgeの「いつでも好きなだけ返済」にJPYC払いが加わり、銀行振込やATM入金と並ぶ新たな選択肢となる。
導入時期は2025年10月目処。前提として、JPYCは2025年8月18日に資金決済法上の資金移動業(関東財務局長第00099号)登録を取得し、電子決済手段としてのJPYC発行を開始する計画だ。
背景には、ステーブルコイン市場の拡大と日本の制度整備がある。改正資金決済法(2023年施行)で、法定通貨裏付けの「電子決済手段」が創設され、銀行・信託会社・資金移動業者のみが発行可能となった。JPYCは円預貯金と日本国債で価値を保全し、1:1の償還を前提に運用される。
技術と運用のポイント
開始当初はPolygonで受け付けるため、少額・迅速・24時間の送金が可能となり、ユーザーはJPYC残高から即時に返済できる。一方で、送金手数料(ガス代)は相場と混雑度に左右される。
返済フローは、①通常のVisa決済→②後日Nudgeアプリに請求確定→③「JPYC払い」を選択し指定アドレスへ送金→④受領検知で返済完了、という流れだ。加盟店側は従来通り円で売上を受領し、店舗側の追加負担はない。
規制と安全性
JPYCは暗号資産ではなく電子決済手段に分類され、裏付け資産の全額保全と償還が求められるため、日々の決済での価格変動リスクを避けやすい。他方、日本の資金移動業の種別により1件あたりの送金に上限があり、高額決済は当面の制約となる。
使い方・影響・今後の展望
クレジットカードの普及網を入り口に、オンチェーン上のデジタル円で家計・事業の支払いを自在に清算できるようになるため、ユーザー体験とユースケースが一気に広がる。
どこで・どう使うか(実店舗/オンライン)
Visa加盟店(国内外)でのカード支出を後日JPYCで返済できる。コンビニ、飲食、EC、サブスク、公共料金までカバーされ、海外でのカード利用分も日本円ステーブルコインで清算が可能だ。手元のウォレットから24時間返済でき、銀行営業時間や引落日程に縛られにくい。
ユーザーの主なメリット
価値安定の円建てで家計管理がしやすく、カードの利便性とオンチェーン送金の即時性を両立できる。送金コストはPolygon利用時に小さく抑えられ、細かい返済や即時の繰上げにも向く。発行体は準備資産からの金利収入で運営されるため、発行・償還のユーザー手数料は原則無料とされている。
留意点・初期制約
当面は対象者限定・Polygonのみの開始で、順次拡大される見込み。ウォレット運用・秘密鍵管理などの基礎リテラシーは不可欠だ。ガス代は発生し、他チェーン対応時は相対的に高コストの局面もあり得る。第二種資金移動業の枠では1件100万円の上限がある点にも注意したい。
主要ステーブルコイン比較
JPYCは円・日本法準拠・全額保全の電子決済手段として国内決済を主軸に、USDT/USDCはドル建・グローバル流動性が高く、DAIは分散型・過剰担保でクリプトネイティブな金融に強い。
項目 | JPYC | USDT | USDC | DAI |
---|---|---|---|---|
連動通貨 | 円(JPY) | 米ドル | 米ドル | 米ドル |
発行主体 | JPYC(資金移動業) | Tether | Circle等 | MakerDAO(分散型) |
裏付/担保 | 円預貯金+日本国債 | 主に米国債等 | 米国債中心のMMF等 | 暗号資産の過剰担保 |
主用途 | 国内決済・送金 | 取引・クロスボーダー | 企業決済・清算 | DeFi基軸 |
市場動向と展望
世界のステーブルコイン発行残高は2025年に2,500億ドル超の水準とされ、オンチェーンの年間移転額はVisaとMastercard合計を上回ったとの推計もある。米国では連邦レベルの安定コイン法(通称Genius法)が成立し、EUのMiCAも施行段階だ。国内ではJPYCの他、信託型の発行基盤や交換業者の拡充で、円建ての選択肢が増える見通し。JPYCは当面Ethereum/Avalanche/Polygonに対応予定で、カード網連携からオンチェーン完結型決済や企業間決済へと領域拡大が進むだろう。
▽ FAQ
Q. いつからJPYC払いできる?
A. 2025年10月から段階導入。まずPolygon版JPYCで、対象ユーザーを限定して開始される。
Q. どの店舗で使える?
A. Visa約1億5000万超の加盟店での支出を、後からJPYC送金で返済できる(国内外)。
Q. 送金上限や規制は?
A. 第二種資金移動業では1件100万円上限。第一種や信託型の整備で高額領域が広がる見込み。
Q. ガス代はどれくらい?
A. Polygonでは通常数円~数十円相当が目安。混雑や設定により変動し、他チェーンは高くなり得る。
■ ニュース解説
Nudgeが2025年10月にJPYC返済を始めるため、国内初の「カード支出のステーブルコイン返済」が実装され、資金移動業登録を得たJPYCの発行開始と制度整備が背景となり、カード網とオンチェーン送金の接続が一気に進む。
投資家の視点:短期はユーザー獲得と運用・償還オペレーションの安定化、法制度(送金上限・仲介事業者拡充)と多チェーン対応が普及カギ。中期はB2B決済・越境送金・プログラマブル決済の実装状況をモニター。ドル建て主流の中で、円建てのニッチを制度・信用で攻め切れるかを見極めたい。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:PR TIMES)