イオレ×Slash Vision資本業務提携、協業開始

▽ 要約

提携 イオレがSlash Visionに出資し協業開始
持株比率 8082株・136万1817ドル、持株比率5.05%
連携 SlashCard×レンディング接続やオン/オフランプ
市場 翌日S高、Neo Crypto Bank設立で期待感

「イオレ Slash Vision 資本業務提携」は、決済と運用をつなぐ暗号資産金融の実装を日本で加速させる一手であるため、資本・業務の両面で接続を深める狙いがある。読者は出資条件、プロダクト連携、子会社設立、株式市場の反応までを短時間で把握できるよう解説する。

提携の骨子と狙い

両社はセルフカストディ前提の決済基盤にレンディングを重ねるため、ウォレット×カードとイオレの金融機能を統合しUXと収益性の同時向上を図る。
イオレは中計で暗号資産トレジャリーとレンディングを二本柱に据え、DeFiへ段階的接続する「Neo Crypto Bank」を構想する。Slashは非カストディ設計の「SlashCard」でステーブルコイン担保の与信と円建て決済を実現する設計で、日本の制度適合を前提にする。両者の接続により、入金(オンランプ)→決済→運用→換金(オフランプ)が一気通貫となり、ユーザーの滞留時間とLTV向上が期待できる。

技術・事業連携の具体像

収益ドライバーをユーザー資産の回遊性で高めるため、(1)ウォレット残高をレンディング原資へ接続、(2)JPY⇄USDC/JPYCのオン/オフランプ整備、(3)SlashCard起点でイオレ金融サービスへ誘導する導線を共同で設計する。
レンディング接続では、ユーザーが自ら管理する資産をそのまま原資化できるため、預け替え摩擦を下げつつ利息獲得機会を提供できる。オン/オフランプは将来のライセンス取得(電子決済手段等)を見据え、合法かつ低摩擦なチャージ/換金の導線を整える。アプリ内からのアカウント連携やUI誘導も段階実装し、カード利用から運用への自然移行を促す。

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資本提携の条件と市場の初期反応

払込日を確定した第三者割当のため、資本関係によって開発優先度とコミットメントを高める狙いがある。
イオレはSlash Visionの普通株式8082株を取得し、取得価額は136万1817ドル(約2.04億円)、払込日は2025年10月31日、ラウンド終了後の持株比率は5.05%を見込む。業務面ではSlashCardとウォレットにイオレのレンディング基盤を接続、オン/オフランプやロイヤリティ連携を進める。市場は好感し、発表翌日の2025年9月30日には株価が前日比+705円の5210円でストップ高となった。

ガバナンスと実装を担う新会社の設立

事業と会計の切り分けで説明力と監督性を高めるため、暗号資産運用の専業子会社を設けた。
イオレは2025年9月29日付で「Neo Crypto Bank合同会社」(資本金100万円)を設立し、同社が暗号資産の投資・運用とポートフォリオ管理、リスク評価、財務報告体制の中核を担う。これによりレンディング事業や将来のDeFi活用、ステーブルコイン関連サービスの統合を、制度面とオペレーション面で推進しやすくなる。

SlashCardの国内展開ロードマップ

制度適合を前提に実装を進めるため、Q4に発行時期を置きUX検証とパートナー連携を整える。
Slashは2025年10月に非カストディ型・暗号資産担保型クレジットカード「SlashCard」を日本で発行予定とし、BINスポンサー等と連携する。担保はUSDC等のステーブルコインで、与信・担保管理・精算はスマートコントラクトと国内カード事業者の役割分担で設計される。

▽ FAQ

Q. 出資額と持株比率は?
A. 普通株式8082株を136万1817ドルで取得、持株比率は5.05%。払込予定日は2025-10-31。

Q. SlashCardの国内リリース時期は?
A. 2025年10月を計画。USDC等を担保にVisa/Mastercard加盟店で円決済を想定。

Q. Neo Crypto Bank合同会社の位置づけは?
A. 2025-09-29設立。イオレ100%子会社として暗号資産の投資・運用とガバナンスを担う。

Q. 市場の初期反応は?
A. 2025-09-30、イオレ株は+705円の5210円でS高。提携と運用子会社設立が材料視。

Q. 日本の金融リテラシー水準は?
A. S&P調査(2015年)で日本は43%・38位。教育必修化やNISA拡充で改善が進む。

■ ニュース解説

出資で資本関係を結び事業連携を加速したため、決済(SlashCard)と運用(レンディング)を一体化する実装が進む一方で、オン/オフランプとガバナンス子会社の設立により制度対応と説明可能性を補強した。
投資家の視点:短期は思惑で株価変動が大きくなり得るため、払込完了(10/31)と協業のKPI(カード発行・オンランプ実装・貸出残高など)の進捗で評価軸を更新するのが一般的だ。ステーブルコイン規制やカードスキームの適合状況、信用・不正管理の運用実績もモニターしたい。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:イオレ,SLASH VISION PTE. LTD