▽ 要約
CFDトレード:IBIT・ETHAを24時間取扱い、現物受渡しなし。
税制:店頭CFDは「先物取引等」区分で20.315%の分離課税。
国内:国内ETF未上場で、制度改正の検討が進展。
暗号資産ETFの国内未上場が続くなか、日本の投資家はIG証券のCFDを通じてIBIT・ETHAの値動きに円建てでアクセスできるようになった。IG証券 暗号資産ETF CFD 20%課税 という関心に対し、本稿はCFDの仕組み、20.315%分離課税の根拠、米欧・シンガポール・韓国の課税比較、さらに国内制度の行方までを一次情報で解説する。
IG証券がIBIT・ETHAをCFD提供した背景
IG証券は2025年9月30日、ブラックロックのIBIT・ETHAをCFDの「24時間取引銘柄」として追加し、国内未承認の現物ETFに代わる投資経路を整備した。
米国の現物ETF承認と大型化
SECは2024年1月10日に米国初のビットコイン現物ETP群を承認し、IBITは翌11日にNASDAQ上場、AUMは2025年10月6日時点で約984.7億ドルに達したため、IGの取扱い拡充の土台となった。
国内未承認→CFDでアクセス
投資信託が暗号資産現物を組み入れられない日本ではETF上場が実現しておらず、投資家はCFDなど代替手段で需要を満たしている。
IG証券のCFD取引の仕組み
CFDはETFそのものを保有せず価格差のみを決済するため、原市場の時間外もIGの提供レートで売買できる一方、スプレッド拡大等のリスク管理が必要となる。
取引時間・口座・コスト
IBIT・ETHAは「バラエティ(VIX他)」口座で24時間取引対応、手数料・スプレッドは商品ページ記載の条件に従う。
価格形成と流動性
IBITは30日平均出来高4,642万株、30日中央値スプレッド0.02%、プレミアム/ディスカウントは±数bpで安定し、CFDの参照元としても流動性面の恩恵が大きい。
IBIT・ETHAのETF構造と特徴
両ETFは現物保有の信託型で分配は基本ゼロ、指数はCME CFのNY版(BTCはBRRNY、ETHはEDRNY)に連動し、IBITのカストディはCoinbase Custody(2025年にAnchorage追加)など、強固な体制が敷かれる。
急拡大するAUM
IBITは取引開始34営業日でAUM100億ドルを突破し、2025年10月時点で約984億ドル。ETHAも2025年7月に100億ドルへ到達し、10月6日には約185億ドル規模と拡大した。
税制―なぜ20.315%の申告分離課税か
店頭CFDは「先物取引に係る雑所得等」に該当し、一律20.315%で申告分離課税、同区分内の損益通算と3年の繰越控除の特則が適用される。
法令上の位置付け
国税庁タックスアンサー「先物取引」区分(No.1522)とIGの税務ヘルプに基づく整理で、暗号資産そのものの現物譲渡所得(総合課税)とは別枠に扱われる。
特定口座の対象外と申告
FX・CFDは特定口座の対象外のため、IGの年間損益報告書を用いて確定申告する運用となる。制度上の特定口座は「上場株式等の譲渡・配当」に限定される。
海外の課税比較(米・欧・星・韓)
各国はETF・暗号資産の課税思想が異なるため、保有形態と居住地で実効税率が変わる。
米国
現物型ETF(IBIT・ETHA)の売却益はキャピタルゲイン課税(長期0/15/20%)。一方、先物系は1256条の60/40方式が適用される点が特徴。
欧州(ドイツ例)
ドイツは個人の暗号資産現物を1年以上保有すれば非課税だが、ETFは通常の金融所得課税の枠組みに入る。BMFの2025年通達で取り扱いが再確認された。
シンガポール
原則キャピタルゲイン課税なし。頻繁な取引等は事業所得認定の余地があるため、投資スタンスによって課税性が分かれる。
韓国
暗号資産の譲渡益課税(20%)は度重なる延期を経て、2027年1月施行に先送りと整理されている。最新の税制改正情報では2025年適用案は見直された。
日本の制度見通し(ETF上場・税制)
金融庁は2025年8月の「令和8年度税制改正要望」で暗号資産の分離課税導入と、暗号資産ETFの組成を可能にする検討を明記したため、上場解禁と税制見直しが並行して進む可能性がある。
▽ FAQ
Q. IG証券のIBIT・ETHAは現物購入できますか?
A. いいえ。IGはCFDで提供し、受渡しは不可。2025年9月30日追加で平日ほぼ24時間取引です(IBIT・ETHA)。
Q. 税率はなぜ20.315%の申告分離課税?
A. 店頭CFDは「先物取引に係る雑所得等」とされ、所得税15%・住民税5%・復興税0.315%で分離課税です。
Q. 損失はどう扱えますか?
A. 同区分内(先物取引等)で損益通算でき、確定申告で翌年以降3年間の繰越控除が可能です。
Q. 特定口座は利用可能?
A. 不可。FX・CFDは特定口座対象外のため、IGの年間損益報告書で各自申告します。
Q. IBIT・ETHAの指数・カストディは?
A. CME CFのNY版指標に連動し、IBITはCoinbase Custody等がカストディ(2025年にAnchorage追加)です。
■ ニュース解説
IG証券がIBIT・ETHAのCFD取扱いを開始したので、国内ETF未上場でも円建てで現物ETFの値動きに連動した投資が可能となり、一方で税務は店頭デリバティブ扱いの申告分離課税と通算・繰越の特則に従う。
投資家の視点:短期売買にはCFDの機動性と20.315%の税率メリットが適合しやすい。一方、長期保有はETF現物や年金口座(米国居住者)など居住国の税制優遇を比較し、レバレッジ・価格乖離・時間外スプレッドのリスク管理を明確化したうえで手段選択したい。
※本稿は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。