▽ 要約
テクノロジー:オンチェーン板+HyperBFTで低遅延を両立
指標急伸:HYPE最高値・月次収益1.06億ドル・市占拡大
波及銘柄:AVNT上場加速、PUMPは買戻しで反発
USDH:発行者決定で収益内製化に道、規制と実装が課題
過熱感が語られる「Hyperliquid バブル」は、実需由来の高出来高・高収益と大型のトークン施策が重なった結果であり、短期の熱狂と長期の基盤整備が同居する局面であるため、冷静な指標検証と持続性の見極めが重要となる。
【$HYPE】ハイパーリキッド(Hyperliquid/ハイリキ)エアドロップ完全ガイド|2025最新
Hyperliquidとは—技術設計と他Perp DEXとの差
オンチェーン注文板と独自合意HyperBFTで遅延と透明性を両立したため、CEX級の板感覚と自己保管の利点を同時に実現した。
Hyperliquidは独自L1上で完全オンチェーンのオーダーブックを運用し、取引・清算・資金調達をチェーンに記録する。HyperBFTは低遅延最適化のBFTで、サブ秒確定と高スループット設計が特徴だ。AMM型(GMX等)やオフチェーン板(dYdX v3等)と異なり、板そのものをチェーン側に持つ構造が差異を生む。HyperEVMの本稼働により、EVM互換のスマコン展開も始まり、HIP-3(パーミッションレスなパーペ市場生成)の導入が進む。
立上げ戦略
需要の大きいパーペ取引を最初の看板に据えたため、ポイント施策→エアドロ→買戻しという誘因と、UI刷新・通貨ペア拡充など体験改善が相乗し、板厚と流動性が循環的に強化された。
コンセンサスと実装
HyperBFTとモジュール化されたHyperCore/HyperEVMの連携により、スポット板とスマコン層が同一ネットワークで相互接続する設計が、超低遅延と拡張性を両立する。
指標で読む「バブル的」盛り上がり
価格・出来高・収益・ユーザーの全指標が同時に拡大したため、短期的な投機色と中長期の採用拡大が重なって見える。
HYPEは2025年9月12日に過去最高値圏へ到達し、流通約3.34億枚の下で時価総額は大台に乗せた。出来高は2025年7月に月間約3,19兆ドル、8月もさらに拡大し、月間収益は1.06億ドルと過去最高域。分散型パーペ市場のシェアは2024年末~2025年にかけて急伸し、上位競合を大幅に上回る状態が続く。
トークン動向(HYPE)
上場来のエアドロ配布後に上昇基調へ転じ、夏以降は買戻し・需要増・ETF観測が支えとなった。
初回配布は2024年末に実施され、2025年夏以降はプロトコル収益の多くを原資とする買戻しにより需給が改善。9月には米資産運用会社のETF計画報道も加わり、最高値更新に弾みがついた。
出来高・収益
月間出来高は2025年7月に過去最高を樹立し、8月も拡大したため、収益は月次で1億ドル超に達した。
分散型パーペ全体の月間出来高もHyperliquid牽引で過去最高圏に到達。ブロックチェーン横断の収益シェアでも高水準を占め、プロトコルとしての収益性が群を抜いた。
ユーザー基盤と資金流入
登録ユーザーは2025年7月時点で60万超に到達し、ステーブルの預入残高も数十億ドル規模へ拡大した。
2024年のエアドロ以降、ウォレット統合や外部UI連携の進展も寄与し、アクティブ層が厚みを増した。オンチェーンのステーブル残高はUSDC中心に推移し、チェーン内の流動性厚みが深まっている。
波及銘柄と周辺プロジェクト(AVNT/PUMP/Based・PUP・Upheaval)
Hyperliquid発のトレンドが他チェーンのPerpやミームトークンにも拡散したため、エコシステム的なミニバブルが連鎖した。
Avantis(AVNT)
Base上のPerp DEXで、2025年9月にトークンをローンチ後、主要取引所へ一斉上場した。
9月15日にBinanceで現物上場、同日に韓国のUpbit/Bithumbでも上場となり、出来高と価格が急伸。立ち上げ時のエアドロ配分など攻めの需要喚起で話題化した。
Pump.fun(PUMP)
ミームコイン発行手数料を原資に段階的な市場買戻しを行うモデルが機能したため、需給が改善し価格が反発した。
2025年夏までの累計買戻し額は6,000万ドル超に達し、直近1か月でも2桁%の反発局面を形成。手数料→買戻し→価格の循環でコミュニティ牽引力を高めた。
Based/Upheavalと$PUP
Based経由の取引でHyperliquid側の報酬も同時に狙える構図が広がったため、PUP保有インセンティブが強化された。
PUPは2025年8月のHyperdrop後に急騰。BasedはPUP200万枚保有者にXP+25%のブーストを付与し、将来のエアドロ期待(Based/Upheaval/HYPE S2)が重なったことでPUP需要が急増した。
盛り上がりの背景(技術・報酬・コミュニティ)
高速L1×オンチェーン板とUX刷新で実需を取り込み、エアドロ/ポイントと買戻しで需給を引き締めたため、需要と物語が共振した。
技術ではHyperBFT/HyperEVMでの低遅延・拡張性、プロダクトではUI・通貨ペア拡充、経済設計では高比率の買戻しとコミュニティ配分が奏功。SNSでの攻略情報共有と大口の可視化も熱狂を増幅した。
見通しとリスク(EVM拡張・供給・競合・規制・USDH)
エコシステム拡張で評価根拠は強まる一方、トークン供給と規制・競合・ステーブルコインの実装には不確実性が残るため、熱狂の持続性は基盤整備に依存する。
エコシステム拡張(HyperEVM/HIP-3)
2025年2月にHyperEVMが本稼働し、HIP-3で外部ビルダーの市場生成が可能となる見込みのため、ネイティブdApp拡大が成長ドライバーとなる。
複数のネイティブdAppがテスト/本番に進み、板流動性とスマコン生態系の結節点としての機能が問われる。
トークン供給と売り圧
2025年11月以降にコア貢献者分の解禁が段階開始となる見通しのため、月次の新規供給が価格の重石になり得る。
プロトコル収益の買戻しが需給を一部相殺しても、市況悪化や買戻しペース鈍化時はボラティリティが上振れしやすい。
競合・模倣
Perp DEXはコード拡散が速く、他L1/L2で追随が出るため、可用性・板厚・ビルダー誘致策で差別化を継続できるかが鍵。
dYdXなど既存勢の巻き返しも想定され、優位の維持にはインフラとエコの更新速度が求められる。
規制
米国でのETF関連の動きは機関資金の導線になり得るが、証券性や上場面での見解未確定が残るため、地域別の流動性偏在が続く可能性がある。
USDH(ネイティブステーブルコイン)
2025年9月、USDHの発行者はNative Marketsに決定し、USDC依存の一部内製化に道が開けたため、収益源の多角化余地が生まれた。
一方で、ペグ維持・流通獲得・規制適合の実務、ならびに既存USDCエコとの両立が成功の前提となる。
▽ FAQ
Q. HYPEはいつ最高値を付けた?
A. 2025年9月12日に57.3ドル近辺の過去最高値、流通約3.34億枚で時価総額は約140億ドル規模。
Q. 月間出来高・収益の記録は?
A. 2025年7月に月間3,19兆ドル規模、8月の月間収益は1.06億ドルで過去最高域。
Q. AVNTの上場インパクトは?
A. 2025年9月15日にBinance/Upbit/Bithumbへ上場し、24時間出来高が急増、価格は0.99ドル到達。
Q. PUMPの買戻し規模は?
A. 累計6,000万ドル超の買戻しで1.65億枚以上を吸収、直近1か月で2桁%の反発。
Q. USDHの発行者は?
A. 2025年9月15日にNative Marketsへ決定。段階的実装でUSDC依存の一部内製化が進む見込み。
■ ニュース解説
HYPEが最高値更新、出来高・収益が過去最高域に達した一方で、11月以降の供給解禁と規制・競合・USDH実装の成否が中期の需給と評価に影響し得る。
投資家の視点:短期は出来高・買戻し・USDH実装進捗を確認し、中期はHyperEVM/HIP-3によるdApp拡大と継続的な収益原資を重視してモニターする。ボラティリティに備え、建玉管理と流動性の厚い市場での執行を徹底したい。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:Hyperliquid Docs)