▽ 要約
市場:BTCは$88,000台へ回復
需給:2025-12-29にHYPEが約$256M解放
フロー:米BTC ETFは2025-12-26に-$276M
規制:EU DAC8など2026-01-01施行
年末の薄商いで価格が振れやすい中、HYPE アンロックとETFフロー、主要国の規制・取引所イベントを同時に確認し、短期需給のリスクを整理する。

年末の薄商いで相場が読みにくい中、HYPE アンロックは短期需給を揺らすのか。結論として、解放規模だけでなくETFフロー、セキュリティ、規制カレンダーを同時に点検したい。本稿は2025-12-29時点の材料を投資家目線で解説します。
市況総括
年末でもBTCは反発したが、ETF流出とデリバ清算が同時に走り、方向感は定まりにくい。
BTCは2025-12-28に一時$88,008まで回復した。
高値圏からの調整後に買い戻しが入りやすい一方、薄商いではニュース起点の値幅が出やすい。
清算データは空売り側の巻き戻しが目立ち、短期のボラティリティを押し上げた。
CoinAnk集計では直近24時間の清算は合計$54.1573Mで、ロング$17.6406M、ショート$36.5167Mだった。BTCは$3.8984M、ETHは$7.9556Mとされ、観測窓や集計元によって数値は変動し得る。
米国時間2025-12-26の現物ETFはBTC・ETHともに純流出で、需給面の重しが残った。
BTC現物ETFは合計-$276Mで6日連続の純流出とされ、IBITは-$193M、FBTCは-$74.3756Mが目立った。ETH現物ETFも合計-$38.6989Mで3日連続の純流出とされ、ETHAは-$22.122M、ETHEは-$16.5769Mだった。
暗号資産と貴金属・株式の強弱がずれる「分裂相場」も材料視されている。
銀は最高値圏とされ、時価総額が世界上位に浮上したとのデータも出た一方、BTCは高値からの調整局面にある。S&P 500が史上最高値を更新し7,000接近が意識されたとの見方もあり、リスク資産内でも強弱が分かれた。
センチメントは強気・弱気の評価が割れており、短期は過度な一般化が危険だ。
トレーダーPlan CはBTCが微観で「隠れ熊市」にあると指摘した一方、相関の崩れを上昇の前兆とみる意見もあり、単一シナリオへの依存は避けたい。
規制・政策アップデート
2026-01-01を起点に税務・銀行資本・ライセンスの変更が重なり、準備不足は取引継続リスクになり得る。
EUでは暗号資産の税務透明化を狙うDAC8が2026-01-01に発効する見通しだ。
域内事業者は取引・利用者情報の報告体制を整える必要があり、クロスボーダー取引の実務負荷が増える可能性がある。
英国では取引所に対し、英国居住者の取引記録を収集・報告する義務が2026-01-01から求められる。
顧客データの整合性が重要になるため、KYCや取引履歴の保全が「後から」課題化しやすい。
香港ではバーゼル委員会の枠組みに沿った暗号資産エクスポージャーの資本規制が2026-01-01に開始予定だ。
無許可型ブロックチェーンの暗号資産エクスポージャーに対し1,250%のリスクウェイトが想定され、銀行の関与形態や商品設計に影響する余地がある。
リトアニア中央銀行はMiCAライセンスを持たない事業者のサービス提供は2026-01-01以降「違法」と改めて警告した。
利用者側でも、取引所やカストディがどの法域・免許で提供されているかの確認が重要になる。
法制度面では、デジタル資産の権利帰属を「支配(control)」で整理する潮流が続いている。
中国では最高人民法院系の学術誌が、米UCC改正(2022年版)の「可控电子记录(controllable electronic record)」を紹介し、電子貨幣・仮想財産を見据えた商法整備の必要性に言及した。
企業・資金調達・プロジェクト動向
供給イベントとセキュリティ対応が同時期に出ており、短期需給は「解放」と「停止」の両面で振れやすい。
今週はトークン解放が集中し、最大はHYPEの約992万枚(約$256M)だ。
Token Unlocksの予定では、HYPEは2025-12-29 16:30 JST(07:30 UTC)に流通比2.87%が解放される。続いてSUIは2026-01-01 09:00 JSTに約4,369万枚(流通比1.17%)、EIGENは2026-01-01 13:00 JSTに約3,682万枚(流通比9.74%)が解放予定とされた。
HYPEは解放スケジュールとは別に、Hyperliquid Labs保有分の配布イベントも示された。
Hyperliquidは、Labsが保有する120万HYPEをアンステークし、2026-01-06にチームメンバーへ配布する計画を公表したとされるため、需給を読む際は「解放」と「配布」のタイミングを分けて見たい。
Flowは約$3.9Mの攻撃を受け、財団は修正(Mainnet-28)の配備を公表した。
一方で、deBridge共同創業者は、主要橋接パートナーと十分に連携しない回滚(ロールバック)はシステム的・経済的な二次被害が拡大し得るとして慎重対応を促した。
Ethereum共同創設者Vitalik Buterinは、Windows初期設定がオンライン接続必須だとして「反ウートピア」と批判した。
新PCでLinux導入前に一度Windowsを起動したところ、ネット接続とMicrosoftサーバー連携がないと手続きが進まないと述べ、中央集権的な依存点への警戒を示した。
Uniswapは財庫から1億枚のUNI(約$596M)を焼却し、供給圧縮の材料となった。
提案では将来の手数料も焼却に回す想定で、短期は需給改善の材料になり得る一方、需要側の回復が伴うかは別途検証が必要だ。
Trust Walletは拡張機能の事件に関連し、2,630件超の補償申請があるとCEOが説明した。
申請額は$1.05M〜$3.5Mの幅があるとされ、補償プロセスの遅れはユーザー心理とブランドの双方に影響し得る。
Coinbaseは暗号市場が構造的ドライバーへ移行し、主戦場は永続先物・予測市場・ステーブルコインと決済だと整理した。
循環的な「景気循環」よりも、規制整備・プロダクトの実需・市場インフラの成熟が中期トレンドを左右しやすいという見立ては、セクター配分の再検討材料になる。
イベント(12/29-01/04)
年末年始は流動性が落ちやすく、マクロ指標と取引所メンテが同時に価格発見を歪める可能性がある。
注目マクロは2025-12-31のFOMC議事要旨公表で、低流動性の中で反応が増幅し得る。
米国では同週に新規失業保険申請やPMI確報も予定され、短期の金利観測とリスク資産の連動に注意したい。
取引所・サービス側ではUpbitが2026-01-01 02:00-08:00にシステムメンテを予定している。
案内では2025-12-31 20:00以降に入出金が停止されるため、年跨ぎの移動を予定する場合は余裕を持った対応が必要だ。
Binanceは2025-12-31にBinance Liveを終了し、関連機能をBinance Squareへ統合する。
また、FDUSD建ての一部マージンペアの整理など、年末にかけて商品ラインアップの調整が続くため、取引条件の変更点は事前確認したい。
▽ FAQ
Q. HYPEの大規模解放はいつ?
A. Token UnlocksではHYPEが2025-12-29 16:30 JSTに約992万枚(約$256M、流通比2.87%)解放予定。
Q. BTC現物ETFの直近フローは?
A. SoSoValue集計で2025-12-26(米国時間)のBTC現物ETFは合計-$276M、IBITは-$193Mの純流出。
Q. 2026-01-01に重なる主要ルール変更は?
A. EUのDAC8発効と英国HMRCの報告義務が2026-01-01に開始し、取引所は域内取引履歴と顧客データの提出が必要。
Q. Flowのセキュリティ事案は何が論点?
A. Flowは約$3.9Mの被害後にMainnet-28を配備したが、deBridge側はロールバック計画の整合性リスクを指摘。
■ ニュース解説
年末の低流動性のため価格が跳ねやすいので、トークン解放とETFフローを同時に見て需給を誤認しないことが重要だ。一方で、Flowの復旧や各国規制の施行準備は中期のインフラ要因として効いてくる。
投資家の視点:短期は解放・メンテ・清算での値幅拡大を想定し、長期は規制対応の進度やプロジェクトの透明性、収益源が明確な領域(決済・デリバ・予測市場等)への資金集中を観察したい。
※本稿は一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
(参考:Bitget)





