GENIUS法案、米下院で前進—9時間投票の舞台裏

要約

新仮想通貨立法:米下院が暗号3法の手続き投票を217対212で可決
ジーニアス進展:ステーブルコイン規制が週内署名へ前進
CBDC禁令:NDAA組込みで保守派が賛成に転向
トランプ介入:大統領の説得と電話が決着を後押し

9時間を超えた記録的審議の末、米下院は暗号資産関連3法案の審議日程を正式に確定しました。なぜ重要か? ステーブルコインを初めて包括的に規制するGENIUS法案が、早ければ今週中に大統領署名へ進むためです。この記事では投票の経緯と今後の見通しを整理し、読者が押さえるべきポイントを提示します。

投票結果—9時間マラソン審議の概要

手続き投票は217対212で可決し、GENIUS法案・CLARITY法案・反CBDC法案が本会議採決に進む。水曜午前から始まった審議は9時間超えで下院最長記録。保守派12名が前日に反対したが、CBDC禁令を国防権限法案(NDAA)に付帯する条件で立場を翻意した。

前日否決からの急転直下

  • 7月16日(火):196対223で手続き投票が否決。12名の共和党議員がGENIUS法案のCBDC文言を問題視。
  • ホワイトハウス会談:同日夜、トランプ大統領が造反議員11名を招き支持取り付け。
  • 7月17日(水):投票は二転三転。最終ラウンドでCBDC条項修正が確約され、賛成票が増加。

スティーブ・スカリース院内総務の提案

CBDC禁令をNDAAに組み込む案を提示し、保守派の要求を実質的に満たす。これにより手続き投票が成立した。

法案別の進行状況

GENIUS法案—ステーブルコイン規制の最終直線

  • 上院は6月に可決済み。
  • 本会議採決は17日深夜可決見通し。通過すればトランプ大統領が週内署名へ。

CLARITY法案—市場構造の包括整理

  • SECとCFTCの管轄を分ける市場構造法案。
  • 票読みでは超党派支持も、上院銀委は草案公開を一時延期。

反CBDC法案—監視懸念で対立

  • 個人向けCBDCを禁止。
  • 議論は党派色が濃く、NDAAに付帯して可決を狙う。

トランプ大統領の直接介入

大統領の圧力が造反議員を動かし、投票結果を決定づけた。
Truth Socialで「Happy Crypto Week」と投稿し、即日ホワイトハウス面談→電話で最終合意を確認。Mike Johnson議長は「大統領が満足した」とコメント。

今後のカレンダー

日付予定注目点
7月18日(木)下院本会議採決GENIUS法案可決が焦点
7月19〜20日大統領署名の可能性署名式に与野党議員招待
7月下旬上院でCLARITY・反CBDC審議銀行委員会草案と調整
会期末(秋)NDAA最終成立CBDC禁令条項の去就

投資家・業界へのインパクト

規制の見通しが立ち、ステーブルコイン事業と議会ロビー活動が加速する。

  • 市場心理改善:手続き可決後、関連株・トークンが上昇。
  • ロビー成果:業界は「歴史的勝利」と評価。
  • 残るリスク:上院・ホワイトハウスで条文が変わる余地。

国際的な波紋

米国の動きがEU・中国・日本の規制議論に影響。

  • EUはMiCA施行、中国はe-CNY推進、日本は信託型ステーブルコイン法制を整備。
  • 米国の反CBDC姿勢は各国CBDC戦略と対照的。

まとめ

9時間投票という異例の展開を経て、米下院は暗号資産3法案を最終審議段階へ押し上げた。GENIUS法案は週内署名が視野に入り、ステーブルコイン市場の拡大とドル覇権強化に弾みを付ける。一方、CBDC禁令を巡る党派対立と上院審議の行方はなお注視が必要だ。

▽ FAQ

Q. GENIUS法案とは?
A. 米ドル建てステーブルコイン発行者を許可制とし、準備金1:1裏付けと情報開示を義務付ける初の連邦法案です。

Q. 手続き投票の結果は?
A. 2025年7月17日、下院が217対212で可決し、9時間超の審議は史上最長となりました。

Q. なぜ前日に否決された?
A. CBDC条項の曖昧さを理由に12名の共和党議員が反対し、196対223で否決されていたためです。

Q. 今後のスケジュールは?
A. 木曜に本会議採決、可決すればトランプ大統領が週末までに署名すると見込まれます。

Q. CBDC禁令はどうなる?
A. 国防権限法案への付帯が確定し、上院審議を経て成立の可能性が高まっています。

■ ニュース解説

米下院は現地時間 7 月 17 日、暗号資産関連3法案(GENIUS 法案・CLARITY 法案・反CBDC 法案)を本会議採決へ進める**手続き投票(ルール投票)**を実施し、賛成 217 ― 反対 212で可決しました。審議は約9 時間に及び、下院のルール投票としては最長記録です。

(出典:PANews,Politico,PunchBowl