▽ 要約
新仮想通貨立法:米下院が暗号3法の手続き投票を217対212で可決
ジーニアス進展:ステーブルコイン規制が週内署名へ前進
CBDC禁令:NDAA組込みで保守派が賛成に転向
トランプ介入:大統領の説得と電話が決着を後押し
9時間を超えた記録的審議の末、米下院は暗号資産関連3法案の審議日程を正式に確定しました。なぜ重要か? ステーブルコインを初めて包括的に規制するGENIUS法案が、早ければ今週中に大統領署名へ進むためです。この記事では投票の経緯と今後の見通しを整理し、読者が押さえるべきポイントを提示します。
投票結果—9時間マラソン審議の概要
手続き投票は217対212で可決し、GENIUS法案・CLARITY法案・反CBDC法案が本会議採決に進む。水曜午前から始まった審議は9時間超えで下院最長記録。保守派12名が前日に反対したが、CBDC禁令を国防権限法案(NDAA)に付帯する条件で立場を翻意した。
前日否決からの急転直下
- 7月16日(火):196対223で手続き投票が否決。12名の共和党議員がGENIUS法案のCBDC文言を問題視。
- ホワイトハウス会談:同日夜、トランプ大統領が造反議員11名を招き支持取り付け。
- 7月17日(水):投票は二転三転。最終ラウンドでCBDC条項修正が確約され、賛成票が増加。
スティーブ・スカリース院内総務の提案
CBDC禁令をNDAAに組み込む案を提示し、保守派の要求を実質的に満たす。これにより手続き投票が成立した。
法案別の進行状況
GENIUS法案—ステーブルコイン規制の最終直線
- 上院は6月に可決済み。
- 本会議採決は17日深夜可決見通し。通過すればトランプ大統領が週内署名へ。
CLARITY法案—市場構造の包括整理
- SECとCFTCの管轄を分ける市場構造法案。
- 票読みでは超党派支持も、上院銀委は草案公開を一時延期。
反CBDC法案—監視懸念で対立
- 個人向けCBDCを禁止。
- 議論は党派色が濃く、NDAAに付帯して可決を狙う。
トランプ大統領の直接介入
大統領の圧力が造反議員を動かし、投票結果を決定づけた。
Truth Socialで「Happy Crypto Week」と投稿し、即日ホワイトハウス面談→電話で最終合意を確認。Mike Johnson議長は「大統領が満足した」とコメント。
今後のカレンダー
日付 | 予定 | 注目点 |
---|---|---|
7月18日(木) | 下院本会議採決 | GENIUS法案可決が焦点 |
7月19〜20日 | 大統領署名の可能性 | 署名式に与野党議員招待 |
7月下旬 | 上院でCLARITY・反CBDC審議 | 銀行委員会草案と調整 |
会期末(秋) | NDAA最終成立 | CBDC禁令条項の去就 |
投資家・業界へのインパクト
規制の見通しが立ち、ステーブルコイン事業と議会ロビー活動が加速する。
- 市場心理改善:手続き可決後、関連株・トークンが上昇。
- ロビー成果:業界は「歴史的勝利」と評価。
- 残るリスク:上院・ホワイトハウスで条文が変わる余地。
国際的な波紋
米国の動きがEU・中国・日本の規制議論に影響。
- EUはMiCA施行、中国はe-CNY推進、日本は信託型ステーブルコイン法制を整備。
- 米国の反CBDC姿勢は各国CBDC戦略と対照的。
まとめ
9時間投票という異例の展開を経て、米下院は暗号資産3法案を最終審議段階へ押し上げた。GENIUS法案は週内署名が視野に入り、ステーブルコイン市場の拡大とドル覇権強化に弾みを付ける。一方、CBDC禁令を巡る党派対立と上院審議の行方はなお注視が必要だ。
▽ FAQ
Q. GENIUS法案とは?
A. 米ドル建てステーブルコイン発行者を許可制とし、準備金1:1裏付けと情報開示を義務付ける初の連邦法案です。
Q. 手続き投票の結果は?
A. 2025年7月17日、下院が217対212で可決し、9時間超の審議は史上最長となりました。
Q. なぜ前日に否決された?
A. CBDC条項の曖昧さを理由に12名の共和党議員が反対し、196対223で否決されていたためです。
Q. 今後のスケジュールは?
A. 木曜に本会議採決、可決すればトランプ大統領が週末までに署名すると見込まれます。
Q. CBDC禁令はどうなる?
A. 国防権限法案への付帯が確定し、上院審議を経て成立の可能性が高まっています。
■ ニュース解説
米下院は現地時間 7 月 17 日、暗号資産関連3法案(GENIUS 法案・CLARITY 法案・反CBDC 法案)を本会議採決へ進める**手続き投票(ルール投票)**を実施し、賛成 217 ― 反対 212で可決しました。審議は約9 時間に及び、下院のルール投票としては最長記録です。
(出典:PANews,Politico,PunchBowl)