8月20日:EVMはウォール街のExcel

▽ 要約

機械仮想:Circle/Stripeが許可型L1を発表。
企業:金融はEVM人材確保が必須に。
作業量:QubicがXMR攪乱、次はDOGE投票。
市場:ETHは4,075〜4,150に調整観測。

企業が自前のEVMを抱える時代が始まり、EVMはウォール街のExcelになるとの見立てが現実味を帯びたため、企業チェーンの射程、PoWの新たな脆弱点、ETHの短期レンジを横断解説する。

企業EVM“Excel化”の現実味(Arc/Tempo)

企業の安定通貨決済要件が膨らむため、EVM互換の許可型L1は私設台帳で始まりつつも開発者誘致次第で開放型へ接近し、結果的にETH価値捕捉を補強する。
CircleはEVM互換のArc(20の規制順守検証者)を打ち出し、StripeはTempo(ParadigmのRETH採用が示唆)を準備する。Robinhood Chainに続く“企業EVM”の波は、バックエンドの台帳刷新として現実の業務要件(KYC・決済・会計)に直結する。金融機関は“EVMを理解し運用できる人材”を確保することで、既存の清算ネットワークに依存しない新たな競争力を得る。一方で、トークン無発行の許可型L1は当面“私的決済DB”に留まる可能性があるが、報酬設計次第でOSSエコシステムへ接続する余地も大きい。

Robinhoodから始まる“企業EVM”人材の需給

ユーザー体験を崩さない範囲でEVMを内在化するため、Robinhood、Circle、Stripeのような大手はSolidity/インフラ/オフチェーン会計の横断人材を抱え、これが金融の“基礎スキル”化する。
報酬はチェーン運用・検証・ブリッジ/DA選定・監査対応まで多能工を要求し、EVM人材の市場価格は上昇が続く。

企業チェーンとETHの価値捕捉

清算・与信・会計がEVM互換に寄るため、ブリッジやL2接続を通じて最終的な価値はETHへ回帰し、手数料や流動性需要が間接的に積み上がる。
許可型L1の普及は直接のガス需要を生まない局面でも、L2/ETHのユースケース拡張と資本呼び込みに繋がりうる。

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QubicとPoW安全性—XMR再編・DOGE投票

宣言ベースの算力誇示が心理戦を誘発したため、XMRの6ブロック再編や2.32GH/s観測と“実効51%”論争が続き、DOGE標的投票で波紋が拡大した。
QubicはXMRで“自私的マイニング”とみられる6ブロック再編を達成し、Krakenは入金を一時停止した。他方、開発者は「完全掌握ではない」と反論し、実効算力は35%前後との試算も提示された。投票ではDOGEが300票超で次の標的に選ばれたが、DOGEはLTC連合のScrypt ASIC算力と時価総額350億ドル超の厚みがあり、即時の実害は不確実だ。とはいえ、検閲・再編の“示威”だけでも流動性と取引所の運用に影響を与えうる。

ETH/BTCのレンジ—押し目と反発目処

PPI上振れを受け資金配分が変化したため、ETHは4,075〜4,150ドルの押し目観測が優勢で、反発時は5,100ドルが目安、一方BTCは111,900ドル維持が焦点となる。
8/19にはETHが一時4,200ドル割れ、BTCも115,000ドルを割り込んだ。週次ではETHエコへの資金流入が相対的に強く、ETF・企業買い越しが分散を促す構図が続く。

Copyトレード市場—“流量”偏重の歪み

短期ROI偏重が“勝者総取り”を生むため、マルチアカウント・時間窓選択・再スタートで成績が美化され、利用者の回撤把握が難しくなる。
Sharpe導入や分級制は改善だが、未実現損・最大DD・未平倉情報の開示なくして透明性は担保されない。中長期は“価値共創”型のKPI設計が鍵だ。

規制・企業ハイライト

規制の確度が上がるほど企業実装は進むため、RFIや審査延長と並行して実需の導線(自動車決済等)が太くなる。
米財務省はGENIUS法に基づき、違法検知の技術意見を10/17まで募集。SECはTruth Social/ETH・XRP等ETF判断を延長。シンガポールのVWはFOMO Pay連携でBTC/ETH/ステーブル支払いを導入(日次4,500SGD、累計13,500SGD上限)。LayerZeroのStargate買収提案は支持97%超で進行中だ。

▽ FAQ

Q. ArcとTempoはEVMに何をもたらす?
A. Arcは20検証者の許可型L1、TempoはRETH活用示唆で、企業決済のEVM化を加速する。

Q. QubicのDOGE標的は現実的?
A. DOGEはScrypt ASICと高算力で防御が厚く、即時の51%実現は不透明だ。

Q. ETHの短期レンジはどこ?
A. 4,075〜4,150ドルの押し目観測、反発時は5,100ドル近辺が第1目標。

Q. VWシンガポールの支払い上限は?
A. 1日4,500SGD、累計13,500SGDで、BTC/ETH/USDT/USDCに対応する。

Q. LayerZero×Stargate投票の条件は?
A. 支持率97%超、締切8/24、STGは0.1675ドル評価、1 ZRO=0.08634 STG換算。

■ ニュース解説

企業のEVM採用が進む一方でPoWの再編脆弱性が顕在化し、規制はRFIと審査延長で制度設計を詰めるため、短期フローはETH優位・現物ETF主導で選別が続く。
投資家の視点:企業EVMはトークン無発行でも開発者・決済導線でETHへ波及しやすい。PoWは算力集中・取引所の確認数増加に留意。短期はETHの押し目とBTCのレンジ下限を分けて管理し、裁量Copyの過度なROI追随は回避したい。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:PANews,Foresight News