【要約】
・米国証券取引委員会(SEC)が「イーサリアムとソラナのステーキング型ETF」の合法性に疑問を示す
・大口投資家がKrakenへ605枚のイーサリアムを追加送金
・イーサリアム現物ETFには10日連続で資金流入が続き、総資産も大幅拡大
SECが指摘する「イーサリアムとソラナのステーキング型ETF」の懸念
米国証券取引委員会(SEC)は、REX SharesおよびOsprey Fundsが提案している「イーサリアムとソラナのステーキング型ETF」の登録申請に対し、連邦証券法に基づくETFや投資会社としての定義を満たさない可能性があると主張しています。具体的には、これらのファンドが投資会社としての要件を誤って解釈し、ETFとして不適切な登録を行った疑いがあるというのです。
SECは提出された登録声明の内容について、「投資会社の定義に合致しているとの開示は誤解を招く可能性がある」と懸念を示しました。一方、REX Financialの総法律顧問であるGreg Collett氏は、「当社としてはSECの懸念に対応できると考えており、問題を解消するまではファンドをローンチする予定はない」と表明しています。この発言から、現段階ではSECとの協議が続くとみられ、イーサリアムとソラナのステーキング型ETFが実際に市場に投入されるまでには、さらなる法的手続きや開示の修正が必要になるでしょう。
大口投資家の動き:Krakenへの605ETH送金
一方、市場の個人投資家や機関投資家の動向を示すデータとして、イーサリアムのウォレットの移動が注目を集めています。2025年5月31日の報道によれば、「2015年ICOで10万枚のETHを保有していたOGアドレス」が、Krakenへ605枚のイーサリアム(約153万ドル相当)を新たに送金しました。送金時のコストは1ETHあたり0.31ドルと推定されており、このアドレスの保有主は初期投資コストが非常に低いことがわかります。
過去10日間で同じアドレスから合計4003枚、総額約1040万ドル相当のETHがKrakenに送金されており、平均的な取引価格は2598ドル程度とされています。まだ約24998枚のETHが残っていることから、引き続きこの大口投資家の動きは市場にインパクトを与える可能性があります。大口の売買動向は投資家心理に直結し、価格変動にも影響を及ぼし得るため、警戒が必要です。
イーサリアム現物ETFの資金流入が10日連続で増加
ステーキング型ETFに対して法的な不透明感が指摘される一方、イーサリアム現物ETFの市場動向は堅調です。SoSoValueの最新データによると、2025年5月30日(米東時間)にはイーサリアム現物ETF全体で約7024.02万ドルの資金が新たに流入しました。これにより、10日連続の純流入という好調なペースが維持されています。
特に、ブラックロック(BlackRock)が提供するETF「ETHA」には一日のみで7024.02万ドルが流入し、ETHAの累計純流入額は約46.06億ドルに達しました。この記事執筆時点でイーサリアム現物ETF全体の総資産価値は約94.45億ドルで、イーサリアムの時価総額に占めるETF比率は3.04%を記録しています。さらに、歴史的な累計純流入額は30.46億ドルに到達し、機関投資家をはじめとする幅広い投資家層がイーサリアムの成長性を評価しているとみられます。
ニュースの解説
今回の米SECによる「イーサリアムとソラナのステーキング型ETF」への疑義は、暗号資産業界が急速に金融商品を多様化させる中で、法的枠組みの明確化が依然として課題であることを浮き彫りにしました。一方で、既に市場に出ているイーサリアム現物ETFには、潤沢な資金が継続的に流れ込んでおり、投資家からの需要が高い状況が続いています。大口投資家のETH売却動向とあわせて、今後も規制や市場参加者の動きが仮想通貨市場全体の流動性とボラティリティに影響を与えていくことは確実でしょう。特に、ステーキング型ETFの行方がどう決着するかは、投資商品としての暗号資産の成熟度合いを測る上で大きな指標となり得ます。