▽ 要約
BitMine 186.7万ETHと現金6.35億ドルを開示
SharpLink 83.7万ETHで第2位の企業保有
The Ether Machine 15万ETH投資受入で約49.5万ETH
Yunfeng Financial 1万ETH購入でWeb3/RWA強化
上場企業によるETHの準備資産化が加速している。中でもBitMineは最速で186.7万ETHに到達し、雲鋒金融は1万ETHを初取得した。ETHトレジャリー戦略が企業財務と市場構造をどう変えるのか、その事実と含意を解説する。
BMNR:世界最大のETHトレジャリーの現在地
BitMineは2025年6月の方針転換以降に大口取得を重ね、186.7万ETHと6.35億ドルの現金を示したため、上場企業として最大のETH保有主体となった。
同社はNYSE American(BMNR)に上場し、直近の開示ではETH評価額約83.2億ドル、現金を含む暗号資産+キャッシュ合計で約89.8億ドルに達した。供給の5%確保を掲げる長期戦略を公表し、基軸は長期保有とステーキング利回りの獲得である。
調達と執行:OTC経由の迅速な蓄積
買付はGalaxy DigitalやFalconX等の機関向けプラットフォーム経由のOTC執行を軸に進み、ETH価格の調整局面を捉えて短期に枚数を積み上げたため、資産規模の拡張スピードが際立った。
資本面では増資や既存投資家からの支援で「現金+与信」を並走させ、ステーキングでの年率利回りを上積みする設計を取る。
主要プレイヤーとの比較:SharpLink/Ether Machine
SharpLinkはETH財務戦略を宣言後にATMで機動的に資金を調達し、8月末時点で837,230 ETH(約36億ドル)へ拡大したため、上場企業第2位の規模となった。
The Ether MachineはJeffrey Berns氏から150,000 ETH(約6.54億ドル)相当の投資コミットを受け、総保有・コミットは495,362 ETHとなった。一方でBMNRが「ETH版MicroStrategy」の筆頭格であることは変わらない。
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Yunfeng Financialの1万ETH購入:RWA/Pharos文脈の初手
雲鋒金融(香港0376)は準備資産の一部として1万ETH(約4,400万ドル)を取得したため、Web3・RWA・デジタル通貨・AIに踏み込む新戦略の実装段階に入った。
同社はAnt Group系の技術組織と戦略提携し、RWA特化チェーン「Pharos」への投資も発表した。法定通貨依存の低減とトークン化ビジネスの基盤整備を狙い、今後は市場・規制に応じた保有調整や他通貨の検討も示唆している。
市場の反応と香港の位置取り
発表直後、株価は一時前日比+9.55%高の3.67HKドルを付けたため、伝統金融のETH導入がアジアでも進む象徴例として注目が集まった。
香港は暗号資産取引のライセンス整備やトークン化実証で先行するため、地場大手の参入は地域金融機関の採用加速に波及し得る。一方で価格変動と規制変更リスクが残るため、運用はリスク管理前提となる。
マーケット構造の変化:BTC版との対照
ETHを準備資産化する「企業トレジャリー」は、BTCで先行したStrategy(旧MicroStrategy)の手法を参照しつつ、ステーキングという「利回り」を内包する点が特異だ。
2025年8〜9月時点の目安は、BitMine=約186.7万ETH、SharpLink=約83.7万ETH、Ether Machine=約49.5万ETH。BTC側ではStrategyが約62.9万BTCを保有し、暗号資産企業トレジャリーの最大規模として比較軸を提供している。
▽ FAQ
Q. BitMine(BMNR)のETH保有は?
A. 2025-09-02時点で1,866,974 ETH、評価約81億ドルと現金6.35億ドルを開示。NYSE American上場。
Q. SharpLink(SBET)はどれくらい保有?
A. 2025-08-31時点で837,230 ETH(約36億ドル)。私募とATMで継続取得。
Q. The Ether Machineの状況は?
A. Jeffrey Berns氏の15万ETH投資で計495,362 ETH確保。Q4にナスダック上場予定。
Q. Yunfeng Financialの狙いは?
A. 1万ETH取得でWeb3/RWA推進。Ant Groupと提携し、RWA特化チェーン「Pharos」にも戦略投資。
Q. BTC版との比較は?
A. Strategy(MSTR)は約62.9万BTCを保有。ETH版ではBitMineが最大でSharpLink、Ether Machineが続く。
■ ニュース解説
上場企業のETH保有が短期間で数十万ETH規模へ拡大したため、トークン化やステーキングを含む「ETHトレジャリー」が財務手段として定着しつつある一方で、価格変動と規制方針の影響は依然大きい。
投資家の視点:短期はETH価格とボラティリティ、規制ニュースの感応度を前提にディスカウント/プレミアム(mNAV)を確認し、中期は資本調達余地(ATM・転換社債)とステーキング運用体制、カストディ/ガバナンスを比較した銘柄選別が有効となり得る。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:PR Newswire,GlobeNewswire,SEC/EX-99.1)