▽ 要約
改正:2025年8月7日に投資銀行法が可決しBTC業務を容認
要件:最低資本金5,000万ドル・顧客は流動資産25万ドル以上
制度:SSF/BCR監督・流動性25%・資本比率8%など
構想:ONBTCが「Bitcoin Banks」示唆、実装詳細は未公表
何が「エルサルバドル ビットコイン銀行」なのかという疑問に対し、投資銀行法の可決(8月7日)とONBTCの示唆(8月8日)で制度と方向性が同時に進み、要件・監督・影響を短時間で把握できる。
何が起きたのか(時系列と要点)
投資銀行法が8月7日に可決され投資家限定の特別銀行区分が創設されたため、翌8日のONBTC示唆と相まってBTC等の資産を扱う制度と構想が同時に前進した。
投資銀行法はビットコイン、ステーブルコイン、トークン化証券、金(トークン化含む)等の取り扱いを可能にし、既存銀行法の一部規定は適用除外となる。ONBTCは世界初の「ビットコイン銀行」を示唆したが、開業時期や免許の詳細は未公表である。
法の中身(資本・顧客・監督)
高資本・高流動性・投資家限定の設計により、機動性を確保しつつリスクを抑えた案件金融の実装が狙いとなった。
要点は次のとおり。最低資本金5,000万ドル、流動性準備は払込資本の25%、自己資本比率は8%。顧客は「自由に使える」流動資産25万ドル以上の投資家に限定。単一先25%規制や関連行取引禁止の一部は適用除外で、監督は中銀BCRと金融監督庁SSFが担う。
何が“ビットコイン銀行”なのか
BTC建ての与信・投資・カストディ等を制度下で扱えるため、投資家向けの案件金融をBTCネイティブに回す土台が整った。
ONBTCの示唆は制度の上に具体プロダクトを載せる段階を意味し、初期は投資家限定で開始し、既存ウォレットや取引所、外部カストディの連携が想定される。
背景−BPI案の経緯
2024年にBPI(Bancos Privados de Inversión)案が審議入りし、最低資本金5,000万ドルや株主2名以上などの骨子が議論され、今回の法制化につながった。
ビットコイン法定通貨化以降の制度整備の延長線上で、資本と規律を伴う投資家向け銀行区分が設けられた位置づけである。
影響とリスク(制度・市場・国際関係)
制度が整ったため国際マネーの呼び込みや資本市場の深耕が期待される一方、利用者保護・AML/CFT・ボラティリティ管理の高度化が求められる。
投資家限定・高資本・強流動性の枠はランや誤配分の抑制に資するが、預金保険の適用外項目や集中与信規制の除外があるため、ガバナンス強化と情報開示の徹底が前提となる。
対外面では、IMFとの合意に沿って2025年1月に「受領義務の任意化」が行われており、法的整合は保たれている。採用実態では2023年に「未使用が88%」との調査もあり、段階導入と用途特化が現実的である。
誰が使えるのか
顧客は流動資産25万ドル以上の投資家に限られるため、現段階では“普通の銀行”ではなく投資銀行モデルに近い。
初期はクロスボーダー案件の資金調達、BTC・安定通貨・トークン化証券を用いたストラクチャリングに焦点が当たり、家計金融や中小商取引への波及は制度拡張と商品設計の成熟度次第である。
市場波及(価格・資本流入・他国)
制度確立を受け資本流入期待は高まるが、BTCの高いボラティリティや国際規制の不確実性が残るため、段階導入と開示の質が評価の分岐点となる。
国内政策は義務づけの緩和と制度化を併走させており、IMFとの整合を取りつつ推進する姿勢が見て取れる。他国は様子見が多いが、成功例が出れば「投資家限定×デジタル資産型」銀行区分の創設が波及し得る。
▽ FAQ
Q. 投資銀行法はいつ、何票で可決されましたか?
A. 2025年8月7日(現地)に55票で可決。投資家向け特別銀行の枠組みが成立しました。
Q. 最低資本金や顧客要件はどうなっていますか?
A. 最低資本金は5,000万ドル。顧客は流動資産25万ドル以上の投資家に限定されます。
Q. 監督機関と主な規制は?
A. 監督はSSFとBCR。流動性25%、自己資本比率8%が柱で、一部の集中規制は適用除外です。
Q. 「ビットコイン銀行」構想は確定ですか?
A. ONBTCが示唆しましたが、免許やサービス内容の詳細は未公表です。
Q. 国民の利用状況とIMF合意の関係は?
A. 2023年は88%が未使用との調査があり、2025年1月に受領義務は任意化されています。
■ ニュース解説
2025年8月7日に投資銀行法が可決し、BTC等を扱う投資家限定の銀行区分が創設。資本金5,000万ドル、流動性25%、自己資本比率8%などが柱で、8月8日にはONBTCが「Bitcoin Banks」を示唆。2024年のBPI案が下敷きで、2025年1月の任意化改正により国際合意とも整合。
行動指針:初期は投資家向け案件中心となるため、カストディ方式、清算回線、ヘッジ手段、流動性・自己資本・集中与信の開示水準を基準に実務的な選別を行うのが現実的。
※本稿は投資助言ではありません。
(出典:Asamblea Legislativa de El Salvador,Diario El Mundo,CriptoNoticias)