EightcoのWorldcoinトレジャリー戦略

▽ 要約

発表:WLDを主要準備資産、2.5億ドル私募
株価:OCTO終値45.08ドル、日中5,600%高
参加:World FoundationやKrakenなどが拠出
銘柄コード:9/11にOCTO→ORBSへ変更

米Eightco Holdingsは2025年9月8日、WLDを財務の主要準備資産に据える2.5億ドル私募を発表し、株式は急騰、WLDも大幅高となった。Eightco Worldcoin トレジャリー戦略は、企業財務における暗号資産の新潮流とAI×Web3の交差点を象徴しつつ、規制・ボラティリティの高リスクも解説する。

発表の骨子とスキーム設計

WLDを主要準備資産とし1.46ドルで約1.712億株を私募、加えて2,000万ドルの戦略投資で総額2.7億ドル規模となったため、将来のWLD需給への影響が意識された。
同社は私募資金をWLD取得に充当し、ETHと現金を副次的準備資産に位置づける。主幹投資家はMOZAYYXで、World Foundation、FalconX、Kraken、Pantera、GSR、Brevan Howard等が参加。クロージングは2025年9月11日予定で、同日ティッカーをOCTOからORBSへ変更する。発表ではサム・アルトマン氏やダン・アイヴス氏のコメントも示され、PoH(人間性証明)を核にしたAI時代の認証基盤としてWorldの役割を強調した。

参加投資家とガバナンス

著名機関の参加とダン・アイヴス氏の会長就任が同時に示されたため、資金面とガバナンス面の「実行力シグナル」が株式のテーマ化を加速した。
BitMine Immersion(NYSE: BMNR)は1.46ドルで約1,369.9万株、2,000万ドルの戦略投資を実行。BMNRは大規模なETH保有で知られ、Ethereumアライメントの文脈からWLD(ERC‑20)採用を後押しした。

市場インパクト:株式と暗号資産

OCTOは9月8日に前日1.45ドルから一時83ドル超、終値45.08ドル(+3,009%)まで急騰し、出来高・時価総額とも急拡大したため、個人投資家主導のテーマ物色が全市場に波及した。
同時にWLDは当日40〜56%上昇(1.54ドル前後)と報じられ、株式のニュースフローが暗号資産市場にも伝播した。背景には「企業トレジャリーによる大口需要の前倒し織り込み」と「AI×ID文脈の再評価」がある。

WLDの需給ドライバー

2.5億〜2.7億ドル規模の取得観測が流通供給にインパクトを与えるとの思惑が強まったため、短期資金の流入とショートカバーが加速した。一部アナリストは過去高値回帰シナリオに言及し、出来高・SNSトレンドは強気へ転じた。

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波及:DATブームとAI×クリプト

Eightcoに続き、Forward IndustriesはSolanaを準備資産とする1.65億ドルではなく16.5億ドル規模のコミットメントを発表し株価が急伸、CaliberCosはLINK購入で1,000%超高と報じられたため、DAT(デジタル資産トレジャリー)が一気にテーマ化した。
一方、Nasdaqは暗号資産購入目的の株式発行に株主承認を求める運用を厳格化すると報じられ、拙速な「資金調達→暗号購入」スキームに対しブレーキが意識される。

規制・リスクファクター

Worldcoinは欧州やアフリカで一時停止・削除命令等の執行や審査が続くため、プライバシーとデータ管理の不確実性が依然として価格・評価に影を落とす。
他方、米国ではVisa・Stripe等との連携を発表し実用面の拡張が進むが、規制順守とUXの両立が中長期の鍵となる。

Eightcoの事業文脈と「Orb」

Eコマース在庫金融・包装子会社を持つ伝統的企業が、AI時代のPoH基盤を資産政策として組み入れたため、ブランド(ORBS)と資本政策の同時転換で新規ストーリーを獲得した。
World(旧Worldcoin)の「Orb」は虹彩をスキャンしZK技術でIDを紐づける専用端末で、将来のボット排除やUBI的配布を見据える。Eightcoはこの理念と需給効果の両面に賭け、WLDを「主要準備資産」に明確化した。

▽ FAQ

Q. Eightcoの増資条件は?
A. 1.46ドル×約1.712億株で2.5億ドル、BMNRが2,000万ドル追加。9/11締結見込み。

Q. ティッカー変更はいつ、何に?
A. 2025年9月11日にOCTO→ORBSへ変更予定。Orbデバイスに由来。

Q. 9月8日の株価はどの程度動いた?
A. 日中5,600%高の83ドル超、終値45.08ドルで約3,009%高を記録。

Q. WLDの当日上昇率は?
A. 40〜56%上昇し1.54ドル前後。出来高増で強気ムードに。

Q. 主な規制リスクは?
A. スペイン・ポルトガル・独バイエルン・ケニアで停止や削除命令等が継続。

■ ニュース解説

EightcoがWLDを主要準備資産とする2.5億ドル私募を示したためOCTOとWLDに短期資金が集中した一方で、Nasdaqの株主承認要件や各国の規制審査が変動を増幅した。
投資家の視点:開示文書とクロージング条件(上場規則承認・RRA)、希薄化率とロックアップ、資金の実際のWLD充当タイミング、カストディ・会計処理(減損・時価評価)、規制ニュースフロー(EU・アフリカ)を時系列で点検し、シナリオ別のポジションサイズを厳守した分散を基本としたい。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:PR Newswire