▽ 要約
WG開催:2025-10-22、DEXの取扱いを正式議題に
方針:利用禁止でなくUI・周辺経路の「DEX規制」包摂
送金段階:無登録先・アンホステッド宛で警告・確認義務
当面:周知とアクセス経路の整理、国際動向も注視
金融庁WGはDEX規制を「禁止」でなくUI提供者や送金段階に焦点化し、利用者保護と透明性を高める包摂的枠組みを検討しています。
国内でも利用が広がるDEXを「違法」と切って捨てるのか——答えはノーです。金融庁WGは2025-10-22、DEXを利用禁止にする議論ではなく、UI提供者や送金段階の行為規制で保護と透明性を底上げする設計を示しました。本稿は会議資料を精読し、何が論点で、何が決まっていないのか、そして投資家が何に備えるべきかを解説します。
DEXの制度射程
WGはDEXを制度射程に含める方向を明示し、利用者保護を主眼にUI提供者への説明義務・KYC等の行為規制、無登録・アンホステッド宛送金時の警告・目的確認などを検討課題として提示した。
会合は2025-10-22に開催。議題は業規制の見直し、無登録業者への対応、海外業者・DEXの取扱い、不公正取引規制(インサイダー等)でした。DEXは「禁止措置」ではなく、まずUIや周辺経路から実効性を持たせる段階的アプローチが示されています。
背景(制度・産業・技術)
国内では無登録業者対応が強化され、2025-02にはApple/Googleに海外CEXアプリ削除を要請したと報じられ、アクセス経路の統制が先行している。
また、2025年改正資金決済法で「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業(媒介のみ)」が創設され、利用者保護は維持しつつ、預かりを伴わないUI/仲介に過不足のない規制を当てる枠組みが導入されました。WGのDEX議論はこの延長線上にあります。
市場への影響(価格・流動性・フロー)
UIや出金段階での規律強化が進むため、国内から接続可能なフロントエンド・送金経路は限定され、KYC済みUI経由のフロー比率が上がる一方、プロトコル自体の稼働は直ちに阻害されにくい。
論点とリスク(賛否の整理)
国内UIへの規律は実効性が期待される一方、VPN等で海外UIに接続する潜脱余地は残るため、交換業者の出金時警告・確認や熟慮期間の義務化が実務上の歯止めとして位置づく。
他方、完全分散のDEX/DeFiをどこまで法の名宛人とできるかは国際的にも未確定で、EUのMiCAは「完全に分散したサービスは適用外」との趣旨を掲げつつ適用範囲の明確化を継続中。米国でもCLARITY法案等が分散度に応じた扱いを模索しています。
今後の注目点(時系列)
短期は周知強化とUI/送金段階のルール設計が進み、中期は登録制の適用範囲・要件、長期はプロトコル開発者の責任範囲や国際整合の具体化が焦点となる。
▽ FAQ
Q. 日本居住者がDEXを使うのは違法か?
A. 現時点で「利用行為」自体を処罰する規定は確認されず、当局は無登録業者への警告と周知を中心に運用しています(2025-10-23時点)。
Q. WGで具体的に示されたのは?
A. DEX接続UI提供者に対する説明義務・本人確認等の行為規制検討、そして無登録・アンホステッド宛送金時の警告・確認・熟慮期間の義務化案です。
Q. 出金は止められるの?
A. 交換業者側でのモニタリングや一定期間の移転制限が例示され、必要に応じ出金抑制などの実務対応が想定されています(詳細設計は今後)。
Q. CEXアプリ削除は今後もある?
A. 2025-02の要請は前例であり、無登録業者への実効策として同趣旨の要請が再度講じられる可能性はあります。
■ ニュース解説
WGは「禁止」でなく包摂: DEXは利用禁止ではなく、UI提供者への説明義務・KYC等、出金時の警告・目的確認・熟慮期間導入など、アクセス経路とゲートキーパーを介した保護を重視する方針です。一方で、完全分散サービスの直接規制は国際的にも未解決で、まずは周辺から実効性を高める段階的設計が示されました。
投資家の視点(行動指針・一般論): ①国内登録UI/経路を優先、②無登録・アンホステッド宛送金時の警告内容と目的確認に整合、③VPN等の潜脱は「保護対象外」拡大のリスク、④インサイダー等の不公正取引規制の拡充議論も併走——これらを念頭に運用ルールをモニターし、証跡管理・KYC更新・資金フローの可視化を徹底しましょう。
※本稿は一般的情報であり投資助言ではありません。
(参考:金融庁)





