▽ 要約
資金調達:第7・第8回新株予約権で約49.8億円をBTC取得に充当。
事業開始:ビットコイントレジャリーは2025年9月開始。
目的:財務基盤強化と企業価値向上、第二の柱として運用収益も設計。
評論:株価は100円台から急騰も、BTC連動リスクが増す公算。
投資家の関心は「なぜ今、いくらで、どこまでやるのか」だ。Defコンサルティングは約49.8億円を調達し、その大半をビットコイン取得に充てる財務戦略を掲げ、2025年9月から新事業を始動する。Defコンサルティング ビットコイントレジャリーを一次資料で読み解き、狙い・比較・規制・リスクまでを短く解説する。
資金調達と事業の骨子
第7・第8回の新株予約権で約49.8億円を確保し、その多くをBTC取得に充てるため、9月にビットコイントレジャリー事業を開始する。
同社は第7回36万個(EVO FUND向け)と第8回16万個(The capital・役員向け)を発行し、合計52万個の新株予約権で最大5,200万株の潜在株式数を見込む。調達資金4,982,640,000円のうち約4,982百万円をビットコイン取得に充当し、保有・運用からのインカムも設計する。割当日は2025年9月10日、行使期間は第7回が2025年9月11日〜2027年3月11日、第8回が2025年9月11日〜2028年9月8日とされる。
調達スキームと使途の詳細
合計52万個の予約権をEVO FUND等に割当て最大5,200万株の希薄化を容認し、資金をビットコインの早期・大量取得に投じる。
当初行使価額は96円(下限48円)で、価格修正条項を伴う設計だ。資金使途では「ビットコイントレジャリー戦略に基づくBitcoin取得」に約49.82億円を明記し、取得数量分散・取得時期の最適化・市場モニタリングでリスク低減を図るとしている。
開始時期と運用方針
2025年9月に開始し中長期保有を前提に運用インカムも設計するため、保有・運用で企業価値向上を狙う。
まずは財務戦略としての取得・運用を先行し、規制や市場動向を見ながら暗号資産関連の新規事業展開も段階的に検討する方針だ。
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戦略の狙いと背景
時価総額24.3億円でグロースの40億円基準を下回るため、BTCをデジタルゴールドとして備蓄し市場評価と投資家層拡大を狙う。
同社は既存のコンサルティング事業と並行し、第二のビジネスの柱としてトレジャリーを位置づける。下村社長は「国内で圧倒的No.1のBTC保有企業」を第一フェーズの目標とし、将来的にStrategy(旧MicroStrategy)やTeslaに並ぶ「グローバルBTC企業」を掲げている。
他社動向と市場の反応
先行例が保有を拡大しているため、材料視した短期資金が小型グロースに流入しやすい。
メタプラネットは2025年8月に518BTCを追加購入し、保有は18,113BTCに拡大。GMOインターネットグループは株主優待を「自社株買付代金×0.03%相当のBTC付与」に変更し、SBIは暗号資産ETF構想を打ち出した。発表直後の市場では、Def株は100円台から急騰し短期資金の流入が観測された。
メタプラネットの積み増し
8月に518BTCを追加し保有18,113BTCとなったため、トレジャリー戦略の注目度が一段と高まった。
日本発の大型保有企業の存在は、国内企業のBTC保有に対する受容性を高め、相対評価の基準点にもなる。
GMO・SBIが示す制度期待
GMOは株主優待をBTC付与に切替え、SBIは暗号資産ETF構想を公表したため、国内投資家のBTC露出経路が広がる。
優待やETF構想は「間接保有」の選択肢を増やし、企業の財務戦略や投資家のアクセス性に制度面から追い風を与える可能性がある。
規制・会計と主要リスク
国内は交換業登録等の枠組みが整いETFは未承認であり、価格変動・流動性・規制変更が業績や株価に波及しうる。
2017年の資金決済法改正で交換業登録が制度化され、2020年の改正でもルールが強化された。2025年7月には金融庁に「暗号資産・ブロックチェーン・イノベーション参事官」ポストが新設され制度検討が進む。一方、米国では2024年1月に現物ビットコインETFが承認され国際的な制度整備が進展している。
国内外の規制動向
金融庁の新設ポストが制度改革のアクセラレータとなる一方、米国のETF承認は資産クラスの制度的受容を後押しする。
日本でのETF解禁時期は未確定だが、税制・開示・会計処理(減損ルール等)を含む総合的な整備が争点となる。
投資家が見るべき指標
BTC取得のルールと保管体制が信頼性の要であるため、比率・平均取得単価・希薄化の推移、カストディと監査、開示の継続性が焦点となる。
また下落局面の耐性(ヘッジ方針、キャッシュバッファ、レンディングやオプション活用の方針)を注視したい。
▽ FAQ
Q. 調達総額とBTC充当額は?
A. 4,982,640,000円を調達し、約4,982百万円をビットコイン取得に充当予定(2025-08-25開示)。
Q. 事業開始時期は?
A. 2025年9月開始予定。まず取得・運用を進め、その後の暗号資産関連事業を検討する。
Q. 経営の目標は?
A. 下村社長は国内No.1のBTC保有企業を第一フェーズとし、StrategyやTesla級を目標に掲げる。
Q. 他社はどう動いている?
A. メタプラネットは保有18,113BTC、GMOは優待BTC付与、SBIは暗号資産ETF構想を公表した。
Q. 主なリスクは?
A. 価格変動・規制変更・流動性・保管等。株価がBTCに連動しやすくなる点も懸念される。
■ ニュース解説
約49.8億円をBTC取得に充て9月に新事業を開始するため、時価総額課題の打開と資本市場での存在感向上を狙う一方で株価のBTC連動性は高まる。
投資家の視点:取得ルール(分散・上限比率)と保管体制(カストディ/マルチシグ)、情報開示(取得単価・評価・希薄化)を見極め、価格下落期の耐性(ヘッジ方針と現金同等物)に留意。相対評価ではメタプラネットやANAPの運用開示と比較するのが有効。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:Def consulting,PR TIMES)