【要約】
・Movement Labs:6600万枚のMOVEトークンを不明な仲介業者へ渡した疑いが浮上し、3800万ドル相当が一気に売却される事態へ。内部統制の問題や影の顧問など複雑な関係が暴露。
・5月のWeb3大注目イベント:PectraアップグレードやFTX弁済の次回配布、米連邦準備制度理事会(FOMC)政策金利の発表、Consensus Toronto 2025などビッグイベントが続々。
・Solana DePINレポート:HeliumやRenderをはじめとする去中心化インフラプロジェクトが台頭。高性能を武器に、計算リソースやマップ情報を分散化する動きが加速。
・ビットコイン価格予測:CryptoQuantは「楽観的なら15万ドル超も視野、悲観なら7万ドル台にとどまる」とする分析を公表。
・美図創業者が香港にAI-Web3センター:約6.5億香港ドルでビルを購入し、AI&Web3系の起業拠点とする構想を発表。
・Coingecko調査:ここ5年で約700万の暗号資産プロジェクトのうち、約370万がすでに取引停止。2024年~2025年の2年間で全体の8割以上が姿を消す結果に。
・Aptosの成長とMove言語:Aptos創業エンジニアが語る「グローバルなトランザクションエンジン」構想。高性能と開発者サポートを武器にエコシステムを拡大。
・Eric Trump氏の発言:Trump家支援のWLFIが発行する安定通貨USD1が、投資ファンドMGXによるバイナンスへの20億ドル投資で利用される予定と公表。
Movement Labsの疑惑:大規模トークン売却と内部統制の欠如
Layer2プロジェクトMovement Labsが直面する危機が、仮想通貨市場を騒然とさせています。元の目的は「MOVEトークンに流動性を与える」ためのマーケットメイクだったはずが、6600万枚のMOVEが中間業者Rentechの手に渡り、上場翌日に3800万ドル相当が一気に売却されたことが判明。結果、MOVEの価格は大暴落し、バイナンスも関連アカウントを凍結。
さらに内部ドキュメントによれば、複数の顧問やプロジェクト幹部が意見の食い違いを抱えたまま契約を締結していた形跡もあり、影の顧問や秘密契約といった不透明な要素も浮上。今後、Movement Labsの評判やエコシステム形成に深刻な影響が出ると見られています。
5月のWeb3主要イベント:PectraアップグレードやFTX弁済など
次に、5月のWeb3業界を取り巻く重要イベントをチェックします。
- イーサリアムPectraメインネットのアップグレード:ネットワーク性能や手数料軽減が期待され、開発者や投資家の注目が高まっています。
- KrakenによるFTX弁済分配:破綻したFTXの資産を巡る返済が段階的に行われており、次回分の出資先など動向に関心が集まります。
- FOMC利上げ発表:米国金融政策の動向は暗号市場にも影響を及ぼすため、多くの投資家が警戒感を強めている状況。
- Consensus Toronto 2025、Bitcoin Conference 2025:業界を代表するカンファレンスが連続開催され、新規技術やパートナーシップの発表が期待されています。
Solana DePINが熱い:HeliumやRenderなど主要プロジェクトの台頭
Solanaチェーン上で進化する「去中心化物理インフラ(DePIN)」も注目度が高まっています。Heliumを筆頭に、GPUレンダリングを分散化するRender、地図データをコミュニティで収集するHivemapperなど、多くのプロジェクトが高いトランザクション処理能力を生かして成長。特にコンピュートリソースや通信インフラを個人が提供し、トークンで報酬を得る仕組みは、今後のWeb3社会基盤を支える可能性が大いにあります。
ビットコインの未来価格:CryptoQuantの3パターン予想
ビットコイン価格はこのところ堅調に推移していますが、CryptoQuantは半年先を見据えた3つの可能性を指摘しました。
- 楽観シナリオ:指標が1.0を上回り続ければ、15~17.5万ドルまで上昇する可能性。
- 中立シナリオ:指標が0.8~1.0に留まり、9~11万ドル付近を推移。
- 悲観シナリオ:指標が0.75を下回ると、短期保有者の売りが出て7~8.5万ドルに落ち着く見込み。
直近の値動きをみる限り、悲観シナリオよりも前者2つの可能性が高いとの見解が示されています。
美図創業者が香港で6.5億香港ドルの商厦を購入、AI-Web3拠点に転用
画像加工アプリ「美図秀秀」で知られる美図(Meitu)の創業者である蔡文勝氏は、香港・天后地区のビルを約6.5億香港ドルで取得。1~2階にはAIテーマのカフェを設置し、3階以降をAI-スペースやAI×Web3関連企業向けの共有オフィスとして提供する構想を明らかにしました。香港がWeb3ハブとして急速に存在感を高める中、次世代のスタートアップ集積地を目指す動きに注目が集まっています。
Coingecko調査:5年で700万プロジェクトが登場も半数超が消滅
Coingeckoが公開したレポートによると、過去5年間にリストされた約700万の暗号資産プロジェクトのうち370万がすでに活動停止。特に2024年~2025年にプロジェクト消滅が集中し、全体の8割超がこの2年間に姿を消したと報告されています。memeトークン乱立や低品質プロジェクトの大量発生が背景にあると考えられ、投資家はプロジェクトの実態やユースケースをしっかり見極める必要があると警鐘が鳴らされています。
Aptos創業エンジニアが語る「Move言語」と高性能チェーンの展望
Meta(旧Facebook)由来のエンジニアらが開発を続けるAptosは、ブロック生成速度やGas手数料の安さに加え、Move言語による安全性の高さで知られています。Aptos初期メンバーであるSherry Xiao氏は、
- 高トランザクション処理能力
- アカウント抽象化や動的分散機能など独自機能
- AIなど他分野との連携可能性
を強調。さらに、アジア市場への進出策として香港やシンガポールなどで開発者コミュニティ支援を拡充中です。今後は**「グローバルなトランザクションエンジン」**を目指し、大手機関とのコラボやDeFiエコシステムの強化を進める意向を示しています。
Eric Trump氏が言及:WLFIの安定通貨USD1がバイナンス投資で使用へ
アメリカ前大統領ドナルド・トランプ氏の息子Eric Trump氏は、Trump一族が支援する投資ファンド「World Liberty Financial(WLFI)」のUSD1というドル建てステーブルコインが、アブダビの投資会社MGXによるバイナンスへの約20億ドルの投資に利用される見込みだと述べました。これはトークン2049のディバイ開催イベントで公表されたもので、金融機関や機関投資家によるステーブルコイン活用の新たな一例として注目されています。
ニュースの解説
今回の「5月2日 仮想通貨ニュース」では、複数の大きな話題が同時進行で起きていることが特徴です。Movement Labsのようにプロジェクト内部の不透明さが露見したケースは、ガバナンスの重要性やトークン管理のリスクを改めて示しました。一方で、SolanaやAptosといった次世代チェーンは、並列処理技術や新言語によるセキュリティ強化で新しい流れを作り出しています。
また、香港でのAI-Web3拠点創設やビットコインの強気見通しなど、暗号資産市場には依然として強い成長意欲が感じられます。ただし、Coingecko調査にもあるように多くのプロジェクトが消滅している事実も無視できません。
市場としては引き続き、プロジェクトの実態・コミュニティの継続性・技術的優位性など多角的な視点が求められる局面にあります。今後も世界的な金融政策やWeb3×AIの新潮流がどのように発展していくのか、注視していく必要があるでしょう。