【要約】
・仮想通貨ニュース:地政学リスクや中米貿易協議、新台幣の急騰、韓国のETF政策転換など世界的に資金がどこへ向かうのかが注目されている。
・Token2049ディバイ会場では活況が復活、プロジェクトの“再建”姿勢が目立つ。
・印パ情勢の緊迫化による地政学リスク、中国やアメリカを巻き込んだ展開に。
・米連邦準備制度の利上げ停止に対する評価は分かれ、世界的に通貨政策が二極化。
・中米貿易交渉に新たな動き。追加関税の大幅取り下げで合意し、今後に注目。
・ビットコインは10万ドルを突破、企業による大量取得や新会社設立が話題。
・韓国大統領選で暗号資産ETF合法化に向けた公約が競われ、政策変化の可能性。
・TONは一時期の停滞を抜け出す構造転換を模索中。新たなEVM互換などで復活なるか。
Token2049ディバイ会場:熱気再来
今年のToken2049ディバイは昨年の悪天候が影を潜め、会場は盛況を極めた。各取引所や有望プロジェクトがブースを構え、“建設モード”に再シフトした姿勢が目立つ。特に投資家・プロジェクト間のミーティングが頻繁に行われ、前年の悲観ムードから一転して活気が戻りつつある。
ディバイ市内ではイベントが同時多発的に開催されており、移動に時間を要する問題点もあったが、それでも熱量は衰えない。興味深い話題として、世界的な“ピスタチオ不足”にディバイ産チョコレートが一役買っているとのエピソードも伝わり、消費者の関心が高まっている。
地政学リスク:インド・パキスタン情勢
今月、印パ間の緊張が再度高まった。インド支配地域のカシミールで起きたテロ事件を発端に、インドは「辛杜尔作戦」と名付けた軍事行動を実行。パキスタンはこれを「戦争行為」と断じ、両国はLOC(実効支配線)周辺で交火を続けている。
印パはともに核保有国であり、衝突が拡大すれば世界的な金融市場に大きな波及効果をもたらす恐れがある。中国はパキスタン側を支持する立場を示し、アメリカや国連は自制を呼び掛けるも、両国首脳の強硬姿勢が続けば解決は容易ではない。
マクロ経済政策と中米貿易交渉
流動性供給と利上げ動向
中国人民銀行は預金準備率を引き下げ、市場に大規模な資金を注入した。一方でアメリカは2025年前半まで利上げを一時停止し、インフレ抑制と成長のバランスを図る。英国は4.25%に利下げ、各国が異なる金融政策を取る構図が鮮明だ。
また新台幣は2日間で10%超の急騰を見せ、外資の台湾株式投資が増加している。AIブームによる半導体需要が原因とされるが、輸出産業には逆風が予想される。
中米貿易交渉
5月12日、日内瓦で米中が協議し、互いの追加関税を部分的に撤廃・停止する声明を発表。アメリカは対中関税の91%を撤回し、中国も報復措置の一部を停止した。ただし、まだ未解決の項目も多く、最終目標は「単独追加関税の完全撤廃」とのこと。
長引く貿易摩擦が両国経済を蝕んでおり、グローバルサプライチェーンの混乱は今後も続くとみられるが、今回の緩和措置は市場の安堵材料となった。
ビットコイン企業ブーム:StrategyからMetaPlanetまで
ビットコイン価格はついに10万ドルを突破し、約10万1,000ドルで推移している。企業保有量も増加傾向が強まった。
- 旧称MicroStrategyのStrategyはCEOマイケル・セイラー氏の下、追加で1,895BTCを購入。累計保有は55万5,450BTCとなり、企業として世界最大級のビットコイン保有者を維持。
- 東京上場企業MetaPlanetも555BTCを購入し、計5,555BTCの保有に。社名の“5”にちなむ縁起が注目を集め、株価は13%上昇。年内に1万BTCを目指す方針を示す。
- 「ビットコインマガジン」CEOのデビッド・ベイリー氏は“Nakamotoカンパニー”を立ち上げ、メディアやマイニング事業を含む大型投資を計画している。
TONの行方:過去の重荷と再構築
Telegram由来のブロックチェーンとして期待されたTON(The Open Network)は、過去のSECとの係争やトークン大口保有の偏りなど、多くの課題を抱えてきた。
現在は有志の開発チームが主導し、SNS連携やBOTエコシステムの構築を行っている。しかしエコシステム内では流動性やアクティブユーザー数の減少が指摘され、同時に新たな開発レイヤー「TAC(EVM互換アーキテクチャ)」などでエコシステムを再構築する動きが見られる。
TONが停滞期を乗り越えられるかは、今後の技術実装とコミュニティ拡充次第といえる。
ニュースの解説
仮想通貨ニュース全体を俯瞰すると、まず地政学リスクが顕在化する中で、各国の金融政策が分岐している点が重要だと言えます。新台幣の急騰や米中関税の相互緩和は市場に不安と期待が同居する状況を生み、資金がどこへ流れるかが投資家の最大の関心事です。
一方、ディバイで開催されたToken2049はプロジェクトや投資家の熱気を再燃させ、ビットコインが企業主導で活況を続ける姿は相場全体の下支えにもつながっています。さらに韓国のETF合法化をめぐる大統領選公約は、国レベルで暗号資産が政策の最前線に立つ事例の一つでしょう。
また、TONのように、一度は挫折を経験しながら技術的リソースや新たな設計で復権を目指す取り組みもあり、今後の方向性から目が離せません。今の仮想通貨市場は、地政学・金融・技術革新が複雑に絡み合う局面にあり、それぞれのプレイヤーがどのように動くかが次のステップを決める鍵となるでしょう。