暗号資産転換で急騰した日本企業の実像

▽ 要約

堀田丸正:Bakkt約30%出資と財務BTC化が材料
オープンハウスG:暗号資産決済拡張で越境販売を強化
コンヴァノ:21,000BTC計画と20億円購入決議で急騰

投資家は「なぜ暗号資産転換で株価が跳ぶのか」を知りたい。結論は、具体的な数量と日付を伴う開示がテーマ性と需給を同時に刺激するためである。本稿は堀田丸正、オープンハウスG、コンヴァノの三例を一次情報で整理し、暗号資産転換の持続性と留意点を絞って解説する。

堀田丸正×Bakkt:ビットコイントレジャリー化

Bakkt傘下の出資により筆頭株主の交代と社名変更方針、BTCの財務組入れが示されたため、低位株特有の値幅とテーマ性が重なり短期で急騰した。
8月6日に約30%取得が発表され、RIZAPグループから筆頭株主が移る構図となった。新体制では「bitcoin.jp」への改称とビットコイン保有を軸に据える戦略が示され、経営陣の派遣も予定された。従来は繊維・宝飾品卸の同社だが、財務方針の転換が市場で強いインパクトを生んだ。

開示と資本関係の転換(8/6–8/12)

8/6の取得発表と同日のIRで主要株主交代の見通しと臨時株主総会準備が示され、意思決定のタイムラインが明確化したため、先回りの思惑買いが広がった。
基準日設定や人事刷新の観測が相次ぎ、短期間で「事業転換→体制転換→財務方針転換」の道筋が可視化されたことが、個人投資家のテーマ資金を呼び込んだ。

株価の反応と背景(8/5–8/19)

夜間開示直後から連続ストップ高が続き、8/18に460円まで上昇したため、発表前の50円台から一時8倍超の水準となった。
需給は連日の買い気配で逼迫し、SNSや掲示板で「テンバガー候補」と話題化。短期の過熱感と話題性が相乗してボラティリティが拡大した。

オープンハウスG:不動産×暗号資産決済

訪日・海外投資家向けに暗号資産決済を導入し、8/18の米BTR開発開始と相乗して先進性の評価が高まり、ブランディング強化の効果が株価にも波及した。
同社は1/31にBTC・ETH決済を導入、3/21にXRP・SOL・DOGEへ拡張した。運用は自社サイト「Open House Global」経由で、越境販売の利便性向上を狙う。加えてLightning Networkコミュニティ「Diamond Hands」協賛など、技術的な蓄積を活用している。

導入の経緯と拡張(1/31・3/21)

初期はBTC・ETHに限定したが、春に主要アルトへ拡張したため、対応範囲の広さで海外顧客の裾野が拡大しやすい体制になった。
暗号資産の価格変動やAML対応などの課題は残るものの、決済手段の多様化を先導した点で象徴的である。

株価と投資家反応(8/18–8/19)

8/18の米カンザス州BTRコミュニティ開発開始の発表を契機に、暗号資産決済導入の先進性と事業ポートフォリオ拡張が評価され、株価は上場来高値近辺まで上昇した。
暗号資産界隈の有力者がSNSで取り上げたことで話題が拡散し、材料視が進んだ一方、投資家の間では本業の収益貢献度を見極める慎重姿勢も根強い。

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コンヴァノ:21,000BTC計画と初期実行

21,000BTCの長期KPIに加え、8/12の20億円現物購入決議と8/14の業績上方修正が連鎖したため、テーマ資金の流入で株価が急騰した。
8/4の計画は世界供給の0.1%に相当する保有を目標とし、フェーズIとして2,000BTC取得から着手する構成。財務の価値保存手段としてBTCを位置づけ、インフレや円安への対応策としても活用する狙いを示した。

KPIとフェーズ構成(8/4計画)

「2027年3月末までに21,000BTC」という定量目標が示されたため、投資家は達成プロセスと資金計画の実行可能性に注目した。
若年層やESG投資家への訴求も意識した戦略であり、異業種による大規模な暗号資産保有方針として国内でも異例である。

20億円購入決議と業績上方修正(8/12・8/14)

8/12に総額20億円の購入を取締役会で決議し、8/14の通期予想上方修正が続いたため、8/19には年初来高値の2,547円に達した。
一方で第三者割当増資などの希薄化懸念も指摘され、購入BTCの価格変動リスク管理や会計・税務対応が問われる段階にある。

▽ FAQ

Q. 堀田丸正(8105)は何を発表した?
A. 2025年8月6日にBakkt傘下が約30%取得を公表し、bitcoin.jpへの改称とBTC財務組入れ方針を示した。

Q. オープンハウスG(3288)の対応通貨と日付は?
A. 1/31にBTC・ETH、3/21にXRP・SOL・DOGEへ拡張し、海外顧客の不動産購入手続きに対応した。

Q. コンヴァノ(6574)の計画と初期実行は?
A. 8/4に21,000BTC保有を掲げ、8/12に20億円購入を決議、8/14の業績上方修正と併せて注目を集めた。

Q. 株価反応の共通点は?
A. 開示直後の需給逼迫で急伸し、8105は8/18に460円、6574は8/19に2,547円を記録した。

■ ニュース解説

3社は暗号資産活用の数量と時期を伴う開示でテーマ性と需給が同時に刺激され短期で急伸したが、収益化とリスク管理の実装が今後の評価を左右する。
投資家の視点:一次情報で金額・数量・時期を確認し、暗号資産関連損益と本業の収益ドライバーを分けて把握すること、希薄化の有無や自己資本政策、減損・公正価値測定など会計・税務の扱い、AML・規制対応の進捗を継続点検することが重要である。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:Bakkt,堀田丸正 IR,オープンハウスグループ IR,コンヴァノ TDnet