2025年8月暗号資産ニュース総まとめ

▽ 要約

ETF:米現物の純買い越し継続で上値を支援。
企業:メタプラネットなど日本勢がBTC追加取得。
規制:トランプ令とFRB撤回で銀行チャネル改善。
ステーブルコイン:JPYC承認方針と香港・中国の整備。

8月の暗号資産市場は、米現物ETFの強いフローと規制の転機、日本企業の採用拡大が重なり、中期の強気シナリオを補強した。結論は「需給と制度が同時に前進」。本稿では2025年8月暗号資産ニュースまとめとして、価格動向→企業採用→政策→ステーブルの順に、数字と日付を明示して短時間で把握できる形に解説する。

市場・価格:ETFフローと金利見通し

米現物ETFの純流入が新規発行を上回り、9月利下げ観測が高まったため、需給と金利の両面でBTCは下支えされた。
8月28日、米スポットBTC-ETFは約1,620BTCの純買いとなり、同日の新規採掘量約450BTCの3.6倍に達した。IBITの保有は約74.6万BTC、米ETF合計は約129万BTCとされ、半減期後の固定供給と相まってフローの価格感応度を高めた。利下げ観測(9月0.25%:約87%)の上昇もリスク資産の追い風となった。

BTC:8/25のフラッシュクラッシュ

清算連鎖と薄商い時間帯が重なったため、25日に急落→短期反発となった。
8月25日(JST)に一時的な急落が発生し、その後は主要サポートで下げ止まり。イベント消化後はETFフローが需給の底堅さを示した。月末のデイリーダイジェストでも、政策とフローの材料が整理されている。

ETH:4,000ドル回復と企業トレジャリー

ETF流入の再加速と企業のETH保有拡大が重なったため、8月上旬に4,000ドル台を回復した。
USD建てではATH未満だが、円建てでは既に過去高更新実績がある。SECが流動性ステーキングの非証券扱いを明確化したこともセンチメントを押し上げ、関連トークンやL2が連れ高となった。

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政策・規制:米国の方針転機

トランプ政権の行政命令、FRBの特別監督撤回、SECの方針明確化が連鎖したため、銀行・機関チャネルの摩擦が低下した。
8/7に「政治的・非金融要因によるディバンキング」を禁じる大統領令が発出され、120〜180日の是正プロセスが始動。8/15にはFRBが「新型活動監督プログラム」を終了し通常監督へ回帰、6/23の“評判リスク排除”と併せて銀行の判断枠組みが平準化された。SECは8/6に流動性ステーキングを非証券とする見解を示し、8/7にはXRP訴訟が控訴取り下げで終結。8/15にはアトキンスSEC議長が「米国を暗号資産の世界的中心に」と表明した。

ステーブルコイン・決済:制度整備の進展

国内外で制度整備とプロダクト実装が同時進行したため、法定通貨建てトークンの実需射程が広がった。
国内では8/18に金融庁がJPYC承認方針を示し、電子決済手段として全額保全・償還義務などの設計が明確に。域外では香港が監督枠組みをアップデートし、中国では人民元連動トークンの承認枠組みに進展が見られた。

▽ FAQ

Q. 8月の市場で何が最重要?
A. 8/25のBTC急落と、8/28の米ETF純買い1,620BTC(採掘量の3.6倍)が需給の強さを示した(IBIT74.6万BTC)。

Q. 日本企業の主な動きは?
A. メタプラネットが8/12に518BTC、8/18に775BTCを追加。Lib Workとジェイフロンティアも導入・実証へ動いた。

Q. 米規制の“転機”は何?
A. 8/7のディバンキング禁止令、8/15のFRB特別監督終了、8/6のSEC流動性ステーキング非証券が重なった。

Q. ステーブルコインの国内進展は?
A. 8/18にJPYC承認方針。円建て決済の実装に道が開き、送金・法人決済のユースケースが拡大へ。

■ ニュース解説

ETF純流入と利下げ観測が需給を締め、米規制の緩和的明確化が銀行チャネルを押し広げた一方で、8/25の急落が示す流動性の薄さとボラ拡大には注意が要る。
事実:8/28はETF純買いが採掘の3.6倍、IBIT約74.6万BTC。背景:トランプ大統領令とFRBの通常監督回帰、SECの方針転換。影響:企業のBTC/ETH採用と日本のJPYC承認方針が、実需と会計・決済の導線を拡張。
投資家の視点:フロー(ETF)と政策(FOMC・監督文書)を並行監視し、①下落時の最大ドローダウン前提のポジション設計、②トレジャリー株/ETF/現物・ステーキングの役割分担、③国内外ステーブルの規制要件(保全・償還・カストディ)を確認しながら、分散と流動性管理を徹底したい。

※本稿は投資助言ではありません。