▽ 要約
・【6/14速報】イスラエル空爆でBTC急落も10.1万ドル付近が支え
・米GENIUS法17日採決へ、規制透明化が進展
・企業BTC採用拡大、短期は需要増・長期はLTV警戒
・Solana現物ETF“7月上場説”でSOLに最大3.4倍余地
・米債利回り急騰とPTCV強制売却が想定外リスク
はじめに
14日未明、イスラエルの対イラン空爆報道でBTCは一時10.26万ドルまで急落し、24時間爆倉額は11億ドルに達した。しかし10.1万ドルのテクニカル支持線で反発。ETHは2,455ドルまで下げるも、機関投資家が6時間で1.27億USDCを投じ4.88万ETHをOTC取得したことが確認され、終値は2,500ドル台を回復した。
ステーブル規制のGENIUS法案は17日に上院最終表決予定。また、SECはSOL・DOGE等のETF審査を10月までに判断する見通しだ。これら6月14日時点の事実情報を起点に、下期市場を3大テーマで読み解く。
米マクロ環境の改善
2025年初の関税ショックで一時0.2%減まで落ち込んだ米GDPは、6月時点で3.8%へ急回復。FRBの年内利下げ観測も追い風となり、リセッション確率は大きく後退した。Coinbaseは「ソフトランディング+財政刺激」でBTCは今後3〜6か月さらに上昇余地と判断している。
金利反転とBTCの相関
過去サイクルでは10年債利回り低下局面でBTCは平均+140%のアウトパフォームを記録。ただし、30年債が5%超で急騰する場合は株式・クレジット市場が波乱となり、逃避資金が一時的に金とBTCへ集中する可能性も指摘された。
企業の暗号資産採用ラッシュ
改正FASB基準により、上場企業は保有コインの含み益を公正価値で計上できるようになった。現在82万BTCを保有する228社のうち、およそ20社が「Strategy型」(レバレッジ+転換社債)を導入。2025年下期は模倣組の増加が見込まれ、短期需給は強気だ。
潜在リスク:PTCVの連鎖売却
可転債の満期が集中する2029〜30年に向け、LTV悪化時の強制清算がシステミックリスクとなる。特に新規参入組は財務耐性が低く、「動機売り」による連鎖安は注視が必要だ。
米規制の明朗化
上院通過が視野に入った**GENIUS法(ステーブルコイン)と下院審議中のCLARITY法案(市場構造)**が年内成立する公算が大きい。Stable先行→市場構造の二段階整備により、SEC/CFTCの権限は整理され、ETF審査も加速すると見込まれる。
ETFパイプライン
SECには80件超の暗号ETF申請が滞留。7月〜10月にかけ
- マルチアセット指数
- インカインド(現物交換)
- Staking組入型
- 単一アルト(SOL, XRP 等)
の可否判断が集中する。可決なら流入資金がスポット市場を押し上げる構図だ。
アルトコインを巡る注目材料
Solana現物ETF
6月11日、SECがS-1修正版を7日以内に要求したことで「最速7月上場」との期待が高まった。ベースケースでBTC ETF流入の5%がSOL ETFへ流れると、GSR試算ではSOLは**3.4倍(〜500ドル)**上値余地がある。
韓国のレバレッジ解禁
韓国政府は「デジタル資産基本法」草案にて、ウォン建て安定コイン+現物レバ取引を容認する方向。Upbit現物出来高はすでに20億ドル規模であり、倍率3〜10倍のレバレッジが解禁されれば、アルト市場に新たな流動性が流入する見通しだ。
カウンターリスクと対処
- 米30年債利回りの急騰
5%台が定着すると企業・消費者与信コストが上昇し、リスク資産全体が調整入り。 - PTCV強制売却リスク
2026年以降のリファイナンス失敗は大規模売却を誘発し得る。 - ETF否認・審査遅延
アルトETFが全滅の場合、期待先行で積み上がったポジションが解消される。
投資家は長短デュレーションの分散と、財務健全性の高い発行体の選別が急務となる。
■ ニュース解説
6月14日早朝の地政学ショックが示したように、市場は流動性枯渇下で**“驚弓之鳥”となりやすい。他方で規制整備とETFパイプラインは強気材料として機能する。投資家はイベントカレンダー(6/17 GENIUS表決、7月初旬SOL ETF可否、10月ETF最終期限)**を基準にポジションを調整し、レバレッジ過多を避けながらガバナンス強化銘柄へ分散することが望ましい。