【要約】
・HashKey が香港Web3の新たな拠点として議論を呼ぶ背景
・「コンプライアンスは利益にならないのか?」という疑問に対するHashKeyの見解
・上場企業が続々と暗号資産を財務戦略に組み込む動き
・2025年6月2日~3日の重要ニュース:取引所のライセンス取得や新たな資金調達など
・香港Web3とHashKeyが今後目指す「長期主義」の可能性
香港Web3の「遅い」コンプライアンス戦略は果たして失策か?
近年、香港政府は Web3・暗号資産に関する制度整備を急ピッチで進めています。中でも2022年に特区政府が発表した「仮想資産政策宣言」を契機に、立法やライセンス枠組み、市場メカニズムの整備が着実に進行中です。
一方で「香港は出遅れた」「Web3のトレンドを逃した」といった批判もあります。しかし HashKey は、その見方に対し「世界的な金融センターである香港は、法的基盤を固めつつ着実にエコシステムを構築している。秒単位で計られる100m走ではなく、長距離走のような持続的な進化を狙っているのだ」と語ります。この“コンプライアンス重視”がWeb3の普及や投資家保護、そして大口資金導入の面でプラスに働く可能性は高いといえるでしょう。
HashKeyが示す「コンプライアンスでも利益は生み出せる」証拠
「コンプライアンス路線では儲からないのでは?」という疑問は、暗号資産業界で繰り返し持ち上がります。実際に、免許やKYC・AML対応などのコストは小さくありません。しかし HashKey は、香港拠点の取引所事業(HashKey Exchange)について「わずか2年弱で収支トントンに到達」したと述べています。
これは以下のようなサイクルがうまく働いた結果だと推察されます。
- ライセンス取得:法規制に合った透明性で大口資金を呼び込む
- 顧客の信頼獲得:安全かつコンプライアンスな取引環境が投資家マネーを拡大
- 収益の安定化:取引量増加とサービス多角化による費用回収
さらに同社は「野蛮な拡大ではなく、コンプライアンスこそがメインストリームになる」と強調し、実際にOTC(店頭取引)や基幹インフラビジネス領域で爆発的な成長を遂げています。この結果、「コンプライアンスでは収益が伸ばせない」といった先入観に一石を投じた形です。
上場企業も「暗号資産財務」を本格化
今や大手上場企業が続々と暗号資産を財務戦略に組み込む時代です。2025年には SharpLink Gaming や GameStop、さらに一部の銀行までがビットコインやイーサリアムを自社の財務資産として追加しました。
- MicroStrategy:世界最大級のBTC保有企業。早くから比特コインを財務に活用し、一部の企業に大きな影響を与えました。
- MercadoLibre:ラテンアメリカの金融テック大手。イーサリアムへの投資も進めるなど、分散投資を加速しています。
- Coinbase:米国最大の暗号資産取引所。自社でもビットコインを保有し、グローバルな上場企業として独自の財務管理を展開中。
こうした動向は、暗号資産を単なる投機対象ではなく企業財務の一手段として捉える意識の高まりを示唆しています。特に「ビットコインを企業の現金同等物とみなす動き」が広がり、リスク分散やポートフォリオ最適化の文脈で採用されるケースが増えているようです。
6月2日~3日の重要ニュースまとめ
先ごろ報じられた暗号資産関連ニュースから、特に注目すべき項目をいくつか挙げます。
- Neuralinkが6.5億ドルのEラウンド調達
- 脳とコンピュータを直結するブレイン・マシン・インターフェース分野で注目されるNeuralinkが大規模資金を確保。
- OSLグループがインドネシアのライセンス企業を1,500万ドルで買収
- 香港を拠点とするOSLグループが東南アジア市場への本格参入を狙う動き。
- Binance.USが Hyperliquid(HYPE)取り扱い準備
- 新興取引所トークンの上場計画。アメリカ市場での展開に注目が集まる。
- ビットコインETFやステーブルコイン関連の意見公募
- 規制当局がWisdomTreeのETF申請などに関する意見を求める動き。
香港のトレンドや規制強化をはじめ、グローバルな視点でも業界が大きく動いていることが明確にうかがえます。
- 規制当局がWisdomTreeのETF申請などに関する意見を求める動き。
香港Web3を支える長期主義とHashKeyの未来
HashKey は最新のインタビューで、「我々は10年先を見据えている」と言及しました。急成長を謳う地域やプロジェクトが乱立する中、あえて時間をかけてコンプライアンス整備と信頼構築を優先する香港の動きこそが長期的に高いリターンをもたらすという見解です。
実際、香港には成熟した金融インフラや投資家保護、国際規格の法制度などが集約されており、強固な土台の上にWeb3を構築できる土壌があります。また「安易な“スピード重視”ではなく、“堅実なマイルストーン積み上げ”こそが最終的なゴールに近づく道筋だ」とHashKeyは強調しています。
ニュースの解説
今回の情報を総合すると、香港が進めるコンプライアンス的な整備とHashKeyの「長期志向」という視点は、暗号資産市場全体のクリーンアップと信頼回復に大いに寄与しそうです。さらに、世界の上場企業によるビットコイン・イーサリアムへの投資事例は「暗号資産の本格的な財務活用」フェーズの到来を裏付けています。一方、各国政府・規制当局はETFやステーブルコインなどへの検討を加速させ、暗号資産を正式な金融商品として取り込もうとする流れも見られます。
コンプライアンスが前面に立つ香港やHashKeyの取り組みは、リスクとリターンの適切なバランスを模索する動きとも言えるでしょう。投資家にとっては安全性と透明性が確保される恩恵があり、同時にグローバルな大口マネーも流入しやすくなる環境が整いつつあります。これからの香港Web3市場において、HashKey の役割はさらに大きなものとなるはずです。今後の展開に要注目です。