【6月3日仮想通貨】メタがビットコイン備蓄を否決、XChat始動で進むデジタル資産市場の最前線

【要約】
・メタ株主がビットコインの財務備蓄を大差で否決
・マスクがXChatを発表、秘密通信と“ビットコイン式”暗号技術を導入
・Metaplanetが合計8888BTC保有、さらなる買い増し報告
・台湾BitoPro取引所がハッキング被害か、約1150万ドルの喪失疑い
・米国や韓国など主要国で規制や政策が進展
・各種プロジェクトの資金調達やステーブルコイン関連データが増加傾向

メタのビットコイン備蓄提案とその反響

米テック大手メタ(Meta Platforms)の株主総会で、「会社財務の一部をビットコインに振り替える」提案が株主によって否決されました。賛成はおよそ392万株に対し、反対は49億株以上と圧倒的多数による反対が確認されています。
この背景には、株主が仮想通貨の価格変動に不安を感じていることが挙げられます。過去にはマイクロソフトでも同様の提案が見送られた例があり、メタの株主もボラティリティへの懸念を理由に挙げたようです。提案者の意図としては、ビットコインを保有することによる株主価値の向上が狙いでしたが、今回の会議では採択を得られませんでした。

マスクが始動「XChat」とビットコイン式暗号

イーロン・マスク氏は自身の運営するXプラットフォーム上で、新しい秘密通信機能「XChat」を発表しました。特徴としては、Rust言語で開発された堅牢な暗号化技術が導入され、閲覧後の消去が可能なメッセージや電話番号不要の音声・ビデオ通話をサポートします。
特筆すべきは、“ビットコイン式”とも呼ばれるエンドツーエンド暗号化が活用されている点です。これは高い安全性を誇り、利用者のプライバシーを強固に保護すると期待されています。

MetaplanetのBTC大口保有と加速する投資

日本の上場企業であるMetaplanetが、さらに1088枚のビットコインを追加購入し、保有枚数は合計8888枚となりました。購入金額は合計1222.69億円相当に上り、平均取得単価はおよそ1375万円(1BTCあたり)と報告されています。
このような企業による仮想通貨投資は、コーポレート・トレジャリー(企業財務)が暗号資産に注目し始めている一例といえます。

台湾BitoProのハッキング疑惑と取引停止

ブロックチェーン分析家ZachXBTの調査によると、台湾の取引所BitoProが2025年5月8日頃、ハッカーから攻撃を受けた可能性があります。被害総額は約1150万ドルとされ、Tronやイーサリアム、Solanaなど複数のネットワークにあるホットウォレットから資金が盗まれ、DEXを通じてロンダリングされた疑いが浮上しています。
BitoProは公式声明で「システムメンテナンスによるサービス一時停止」を表明するにとどまり、詳細なハッキング被害の公表は行っていません。利用者保護に関して、早急かつ十分な情報開示が求められる状況です。

規制・政策面の変化とCBDCの是非

米国

  • 美連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は、「ステーブルコインは新たな決済手段にすぎず、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の必要性は支持しない」と明言しました。

韓国

  • 2023年まで続いていた機関投資家への仮想通貨取引禁止規定が徐々に緩和され、非営利団体World Vision Koreaがアップビットで0.55ETHを売却。これが韓国での機関投資解禁後初の事例となりました。

DEXの取引量シェアが過去最高の25%に

The Blockの調査によれば、2025年5月の現物取引量に占めるDEX(分散型取引所)のシェアは25%に達し、月間取引額は4102億ドルを超えたとされます。なかでもPancakeSwapが1716億ドルと高いシェアを示し、次点にはAerodromeやPumpSwapが続きました。
中央集権型取引所に比べて透明性やセキュリティ面での強みが評価され、分散型取引所が存在感を増している現状がうかがえます。

資金流入や投資動向を追う

CoinSharesの報告によると、先週(5月最終週)のデジタル資産投資商品の純流入額は2.86億ドルに達し、過去7週間の累計流入額は109億ドルに。特にイーサリアムが約3.21億ドルと大きく資金を集め、2024年12月以降で最も好調な6週間を記録しました。一方、ビットコインは一部のマイナス材料もあり、800万ドルの流出という結果です。
地域別では、アメリカが1.99億ドルの大幅な流入を記録し、香港もETF上場以来最高となる5480万ドルの流入。逆にスイスからは3280万ドルが流出し、年初からの累計流出も継続しているとのことです。

ステーブルコインやセキュリティ関連の注目

ステーブルコイン

  • Conduitが3600万ドルを調達し、ステーブルコイン基盤のインフラ構築を加速。
  • 一方、米財務長官が「アメリカはデフォルトせず、債務上限を早急に引き上げる」と述べ、マクロ的にステーブルコインへの需要や市場への資金流入に影響を与える可能性があります。

セキュリティ

  • Nervosのクロスチェーンブリッジ「Force Bridge」がハッキングされ、被害額は約300万ドルとの報道。
  • TONブロックチェーンでは主チェーンのスケジューラに問題が生じ、一時的にブロック生産が停止しましたが、修正プログラムにより既に再開しています。

ニュースの解説

上記のように、仮想通貨市場は大手テクノロジー企業のビットコイン備蓄提案や、通信プラットフォームの新機能導入、取引所のハッキング疑惑など、多方面からのトピックが同時進行しています。特にステーブルコインをめぐる新サービスや大規模な資金調達は、今後の普及とインフラ整備において重要な役割を果たすでしょう。
また、メタがビットコイン備蓄を拒否した一方で、Metaplanetが積極的にBTCを買い増すなど、企業ごとの戦略が大きく異なる点は興味深いトレンドです。規制面でも米国、韓国それぞれの動向が明確になりつつあり、ステーブルコインやCBDCの将来像、金融機関の参入可否などが世界規模で検討されています。こうしたニュースの積み重ねが市場全体の流動性や信頼感に波及し、分散型金融(DeFi)やステーブルコイン経済圏のさらなる拡大を促す可能性が大いにあると考えられます。