【要約】
・米国のマクロ指標や貿易摩擦リスクを背景にビットコイン短期回調が見られる
・長期上昇見通しは依然として強く、機関投資家による買い増しが続く
・FTXによる約50億ドルの流動性釈放が市場に新たな動きをもたらす可能性
・ETHをはじめとするアルト市場でも上昇予測が散見される
・Tetherのビットコイン保有や大手資産運用企業の提言が相次ぎ、グローバル資金流入が加速
市場の現状:ビットコイン短期回調とその背景
ここ数日のビットコイン価格は一時的に10万5千ドル台を割り込み、短期的な回調局面が鮮明になりました。米国の貿易摩擦再燃懸念や利下げを巡るFRB動向に加え、短期的には大口ETFから約3.59億ドルが流出したことが、投資家心理を冷やす一因となっています。ただし、テクニカル面やマクロ指標を総合すると、中長期では依然として強気の見通しが多く、下値を積極的に拾う機関投資家の動きも顕著です。
長期上昇を裏づける材料:機関マネーと著名人の見解
● 機関投資家の買い増し戦略
ウォール街の大手資産運用会社や証券企業がビットコインをポートフォリオに組み込み始め、2%程度の割り当てを推奨する声も増えています。特に、香港を拠点とする企業の例では、ビットコインやイーサリアムを大量保有することで株価が年初来で449%も上昇し、市場から注目を集めています。こうした事例は「機関投資家の本格参入=長期上昇トレンドの下支え」を示す要因の一つと言えるでしょう。
● 著名投資家・経営者の強気発言
- マイケル・セイラー(Michael Saylor):企業がビットコインをバランスシートに取り入れた場合、5年以内に90%の確率で成功すると言及
- アーサー・ヘイズ(Arthur Hayes):イーサリアムは年内にも4000~5000ドルの水準に達する可能性があると予測
- トランプ大統領の家族:2026年末にはビットコインが17万ドルを超えるとの大胆な見立てを表明
さらには、Tether CEOパオロ・アルドイーノ氏が同社のビットコイン保有量が10万枚超に達したことを明かし、機関投資家がビットコイン市場を支える実例として注目を集めました。
FTXからの50億ドル流動性:再流入によるポジティブ波及
倒産手続き中の大手取引所FTXが、約50億ドル相当の安定通貨(ステーブルコイン)を債権者に返還するプロセスに入る可能性が取り沙汰されています。
- 新たな資金流入:返還後の一部資金が再び暗号資産市場に還流することで、流動性が増加し価格を押し上げる可能性
- 懸念材料:同時に、債権者が現金化を急ぐ場合、市場に圧力をかける可能性もあり、動向を注視する必要あり
いずれにせよ、これほどの巨額が動くシナリオは、市場に大きなボラティリティをもたらす要因となり得ます。
アルト市場の動向:ETHを中心とした好材料
ビットコインの短期調整にもかかわらず、イーサリアム(ETH) の長期見通しには依然として楽観ムードが続きます。
- Arthur Hayesや渣打銀行デジタル資産部門などの専門家が、2025年以降の4,000~7,500ドル水準を示唆
- アップグレードやL2(Layer2)エコシステムへの注目により、ETHへの資金流入も続く見込み
さらに、Solana系やMeme銘柄での回復兆候もあり、アルトコイン領域でのリスクテイク意識が一部トレーダーの間で高まっていることが報じられています。
キーデータ:ETFフローと恐怖・強欲指数
- ビットコインETFフロー:前日までの10日連続流入が止まり、3.59億ドルの流出を確認
- イーサリアムETFフロー:依然として9日連続のプラスで、約9192.99万ドルの流入
- 恐怖・強欲指数:76(強欲ゾーン)を記録。多くの投資家は短期的な下落にもかかわらず、相対的にリスクオン志向を維持していることを示唆
こうした指標はあくまで投資家心理を反映するものであり、必ずしも価格と直結するわけではありません。しかし、ポジション構築の際の参考指標となるでしょう。
ニュース解説
最新の市場動向を見る限り、ビットコインの短期回調はあくまで一時的な調整と捉えられ、機関投資家の底堅い買い支えやETF残高の大幅増加などで長期上昇の流れが途切れる兆候は見られません。
また、FTXの破産手続きに伴う約50億ドルの流動性は、暗号資産マーケット全体にとって注目のイベントとなるでしょう。流入先が分散すれば、ビットコインのみならずイーサリアムやその他アルトコインにもポジティブな影響が及ぶ可能性があります。
ただし市場には常に不確定要素があり、FOMCの金融政策や世界的な地政学リスクなど、外部要因によるボラティリティ上昇には警戒が必要です。投資家は基本的なリスクマネジメントを徹底しながら、最新のファンダメンタル情報を追い続ける必要があります。
本記事は情報提供のみを目的とし、特定の投資行動を推奨するものではありません。仮想通貨取引には価格変動リスクが伴うため、最終的な投資判断は各自の責任で行ってください。