仮想通貨5月29日ニュース総まとめ:欧州フィンテックからHiPhi自動車の“独自トークン”疑惑まで徹底解説

【要約】
・欧州のフィンテック企業Velocityが約1000万ドルの資金調達を達成
・HiPhi自動車が中東系EV企業EV Electraとの提携を発表、しかし「独自トークン」発行に絡む疑惑が浮上
・ラスベガスで開催の「Bitcoin 2025」には政府高官や大手企業関係者が集結
・Gate Alphaがポイント(積分)システムをローンチし、オンチェーン取引を推進
・ベトナムで大規模な「Matrix Chain」暗号資産詐欺が摘発
・ロシアの暗号資産展ではマイニング機器が大盛況、金融制裁による取引所の苦境も浮き彫りに

欧州フィンテック企業「Velocity」のステーブルコイン通貨事業

欧州を拠点とする金融テック企業Velocityは、1000万ドル(約10億円超)のpre-seedラウンドを完了しました。リードインベスターはActivant Capitalで、Fuel Venturesなど複数の投資家が参加。さらにStripeやVisaといった大手企業の幹部らも戦略的投資家として名を連ねています。

Velocityの特徴は、安定通貨(ステーブルコイン)を活用した包括的な送金・資金管理プラットフォームを構築している点にあります。さらに、「仮想IBAN口座」や「リアルタイム外貨決済」、自動的な跨境決済システムなどを三本柱として事業を拡大中。わずかチーム11名でのスタートながら、年末までに30人体制へ拡大を目指し、エンジニアリングやコンプライアンス部門の強化に注力する方針です。

HiPhi自動車とEV Electraの提携に潜む「独自トークン」疑惑

一方、中国ブランドの高合(HiPhi)自動車が、レバノンを拠点とするEV Electraと約10億ドルの資金で再建計画を発表し大きな話題を集めました。EV Electraは中東地域を中心に拡大中の電気自動車メーカーで、「純正アラブ血統」を強調したイメージ戦略を掲げています。しかし、この企業が進める**「独自トークン」EVETやNFT型株式(EVEN)**を巡って懸念が浮上。

EVETは1USDTあたり1コインという公募価格で、8.4億ドル相当の調達を目指す大規模トークンです。さらにEVENはNFT形式ながら実質的に「企業の株式配当権」を持つと説明されており、これらを使ってHiPhi自動車のブランドを海外向けに宣伝している模様。EV Electraは資金用途について「パレスチナ支援」と表明しているものの、過去に暗号資産関連の詐欺疑惑が報じられた背景もあり、**「本当にHiPhi自動車の再建資金となるのか」**疑念が広がっています。

ラスベガス開催「Bitcoin 2025」:政府要人と企業の動き

2025年5月27日からスタートした米国ラスベガスの「Bitcoin 2025」カンファレンスには、ホワイトハウスの暗号資産担当や米国上院議員、さらにベライゾンやベライドの幹部などが一堂に会しました。セッションでは、

  • ビットコインを100万枚購入する法案構想
  • トランプ政権関連者による「ビットコインを国として保持する」提言
  • 米国軍部がビットコインの戦略備蓄に肯定的
  • 「ビットコインは既にゴールドスタンダード」との意見

が示されるなど、実に政策とビジネスの境界をまたいだ議論が展開されました。国会議員や財務官僚が明確にビットコイン保有を支持する場面もあり、「米国政府が本格的に仮想通貨政策を方向転換する前兆では」と一部からは期待が高まっています。

Gate Alphaポイントシステムが正式ローンチ

大手取引所Gateは、独自の「Alphaポイント」システムを発表し、オンチェーンでの取引量や特定タスクの達成度合いに応じてポイントを付与する仕組みを導入しました。

  • ユーザーは取引所口座を使いつつ、即時でチェーン上の潜在的に有望な銘柄を売買可能
  • その際に発生する手数料の一部やキャンペーン参加で得られるポイントを累積すると、トークンのエアドロや特典を受け取れる

Gate AlphaはCEXとDEXの両方の優位性を取り入れた先端的な仕組みとして注目を集めています。とくに合規面の強化とユーザー向けインセンティブを両立させることで、新興トークンをいち早く発掘したいトレーダーにも魅力があるといえます。

ベトナム当局が「Matrix Chain」詐欺組織を摘発

ベトナムの警察当局は、**「Matrix Chain(MTC)」**という暗号資産プラットフォームを運営する大規模詐欺組織を一斉検挙し、約3.94億USDT相当の資金を押収しました。

  • この組織は多層的なMLM(マルチレベルマーケティング)構造を用い、少なくとも13.8万アカウントを勧誘
  • SafePalウォレットなどを利用しながら出資金を不正流用し、莫大な利益を不当に得たとされています

立件された5名の主犯格は、買収した不動産や豪華車などを押収され、名義上の事業と実態が大きく乖離していたとも報じられています。こうした国際的な暗号資産詐欺事件の増加を受け、ベトナム政府は規制体制の強化とブロックチェーン企業の活動監視をより厳しく行う方針を示しています。

ロシア暗号資産展:マイニング商機と取引所の苦境

モスクワで開催された暗号資産カンファレンス「Crypto Summit」は、規模こそ小さいながら、マイニング関連と地元取引所関係者が集中して参加したことで注目を集めました。

  • 特に中国製のマイニング機器が大量に持ち込まれ、「安価な電力を活かしたロシアのマイニング参入」に熱視線が注がれた
  • 他方、制裁下にあるロシア国内の取引所はドル決済や欧米投資家との連携が限定され、依然として資金調達面で苦戦を強いられている

このようにロシアではマイニング分野は拡大を続ける一方、取引所ビジネスは制裁リスクが大きく、持続的な成長には法整備や国際ルートの確保が課題とされています。

ニュースの解説

本稿で取り上げた複数のトピックスは、それぞれ国や業種が違えど、共通点があります。それは**仮想通貨をめぐる「規制の変化」と「事業モデルの進化」**が同時進行していることです。たとえば欧州のフィンテック企業Velocityは、ステーブルコインと従来型銀行機能を併せ持つインフラを構築し、グローバル送金を再定義しようとしています。一方で、ベトナムやロシアでは新興マネーを狙った不正や制裁逃れなどの実態も浮かび上がり、暗号資産産業が抱えるリスクと多面性が改めて可視化されました。

さらに「独自トークン」を使ったハイリスクな資金調達事例や、米国政府レベルでのビットコイン戦略備蓄構想など、仮想通貨が本格的に国際金融の一部として議題に上がる段階へ近づいている現状も読み取れます。今後、各国政府や大手企業がどの程度積極的にデジタルアセットに取り組むかによって、グローバル市場の勢力図は大きく塗り替わる可能性があります。

いずれにせよ、仮想通貨市場の進化スピードは依然として速く、常に最新動向を追うことが成功のカギとなるでしょう。