【要約】
・過去24時間の全仮想通貨市場における先物清算額は約1.88億ドルで、空売りポジションが大きく清算された。
・ハイパーリキッド取引所では巨鯨トレーダーJames Wynnが多額のロングポジションで約2,041万ドルの含み益を記録。
・ベンチャーキャピタルA100xが5,000万ドルのファンドを立ち上げ、AI・デジタル資産・ブロックチェーン分野の早期企業を支援。
・英国や香港での規制強化が進展し、デジタル資産の報告義務やマネーロンダリング摘発事例が報じられている。
・トークン市場ではSynthetixのsUSD買い戻しや、複数の大規模ロック解除(PYTH、ZKJなど)が予定されている。
・来週は米国の安定通貨法案表決やデジタル資産関連法案の審議など、相場に影響を与えそうな動きが目白押し。
過去24時間の清算状況:空売りが中心で1.88億ドル規模
暗号資産(仮想通貨)市場全体のボラティリティが高まる中、先物・オプション取引において大規模な清算が発生しました。データサイトCoinglassによると、過去24時間の清算総額は1.88億ドルにのぼり、そのうちロングポジションが約6,409.73万ドル、ショートポジションは約1.24億ドルが清算されています。ビットコイン(BTC)の清算額が3,659.3万ドル、イーサリアム(ETH)は4,344.1万ドルと主要銘柄への影響が大きいことがうかがえます。
ハイパーリキッドでの巨鯨ポジション:James Wynnのロング戦略
ハイパーリキッド取引所では、BTC強気派として知られるJames Wynn(@JamesWynnReal)が大規模なロングポジションを複数保有し、合計で約2,041万ドルの含み益を出しています。
- BTCの40倍レバレッジ多単:ポジション価値約3.93億ドル、建値は103,083ドル、含み益は約315万ドル
- kPEPEの40倍レバレッジ多単:ポジション価値約4,497万ドル、含み益は約1,903万ドル
- 一方でXPRの40倍レバレッジ多単では約177万ドルの含み損
これらの高レバレッジ取引は、相場の変動によって大きく損益が振れる可能性があるため、投資家はリスク管理が重要です。
A100x、5,000万ドル規模の新ファンドでAI・仮想通貨・ブロックチェーンを支援
ベンチャーキャピタルのA100xは、AI(人工知能)やデジタル資産、ブロックチェーン領域のスタートアップを支援する目的で、総額5,000万ドルの2号ファンドを立ち上げました。すでにBlockdaemonやCoreweave、Nansen、Mythical Games、Securitizeなどに投資実績があり、今後もWeb3ソリューションやトークン化事業に注力すると伝えられています。早期企業への支援を通じてエコシステムを拡大し、業界全体の活性化を図る狙いです。
規制の最新動向:英国・米国・香港
英国:2026年から取引データの詳細報告を義務化
英国の税務当局は2026年1月1日以降、国内外を問わず英国ユーザーにサービスを提供する仮想通貨関連企業に対し、ユーザーの身元情報や取引データを詳細に報告することを義務づける新規則を導入予定です。違反した場合は罰金が科される可能性があり、事業者のコンプライアンス体制がより厳格化する見込みです。
米国:デフォルトリスクと金融政策
米国では引き続き金融市場の不確実性が高まっており、一部では国債の信用格下げ懸念も囁かれています。次週は複数の連邦準備制度理事会(FRB)高官が講演を予定しており、その内容次第で仮想通貨市場にも変動が及ぶ可能性があります。
香港:仮想資産を使ったマネーロンダリング摘発
香港警察は、銀行口座と仮想通貨取引を組み合わせたマネーロンダリング集団を摘発し、12名を逮捕しました。1.18億香港ドル規模の資金が不正に洗浄された疑いがあると報じられています。同地では仮想通貨取引に対する監視が強化されており、合法的な市場育成と不正取締りを両立させようとする動きが鮮明です。
トークン市場の動き:SynthetixやTRUMP関連
SynthetixのsUSD買い戻し
Synthetixは最近、sUSDの価格維持を目的に、1日あたり最大100万ドル規模の公開買い付け(回収)を実施すると発表しました。高利回りを提供する施策も導入しており、ステーブルコインの安定性を確保する試みが注目されています。
「TRUMP」トークンと関係するイベント
一部のTRUMPトークン保有者が、トークン価格上昇局面で大きな利益を得たと報じられています。さらに、5月22日に「TRUMP晩餐会」と呼ばれるイベントが予定されており、価格への影響が引き続き注目されています。
来週に控えるトークンロック解除:PYTH・ZKJなど
次週以降、複数のプロジェクトで大規模なトークンのロック解除が予定されています。
- Pyth Network(PYTH):5月19日22時に約21.3億枚(流通量の58.62%)を解除、約3.38億ドル相当
- Polyhedra Network(ZKJ):5月19日8時に約1,553万枚(流通量の5.3%)、約3,230万ドル相当
- Pixels(PIXEL):5月19日18時に約9,118万枚(流通量の11.83%)、約470万ドル相当
また、SPACE ID(ID)やEigenlayer(EIGEN)、Coin98(C98)なども5月下旬にロック解除を控えており、市場流動性の変化が予想されます。
来週予定される主要イベント
- 5月19日:米議会で安定通貨法案(GENIUS法案)最終表決
- 5月20日:テキサス州のビットコイン戦略備蓄法案(二読目)
- 5月21日:香港の《安定コイン条例草案》二読目再開(予定)
- 5月22日:TRUMP晩餐会に元大統領が出席見込み
- 5月23日:THORChainがv3.6.0へアップグレード(予定)
これらの法案審議やアプデ動向が、仮想通貨価格や投資家マインドに影響を与える可能性があります。
ニュースの解説
今回のニュースでは、仮想通貨市場の急激な清算や巨額ポジション、各種ファンド設立や規制の強化など、多岐にわたる動きが確認されました。グローバルに見ると、AIやブロックチェーン技術に向けた資金流入が続く一方、香港や英国では監視強化の姿勢が鮮明です。投資家は、政治的・規制的な要因と市場の需要拡大が同時進行する点を把握し、リスク管理や情報収集を徹底する必要があります。また大口投資家の高レバレッジ動向やトークンロック解除のスケジュールなどは、短期的に価格に大きなインパクトを及ぼす可能性があるため注視が不可欠でしょう。さらに、主要国の金融政策や法規制は、長期的な仮想通貨市場の方向性を左右する要因となるため、今後の動きに注目が集まっています。