▽ 要約
政策:SECが規制アジェンダ公表、発行・上場枠組みを検討
派生商品:Deribitで45億ドル満期、BTC3.28b/ETH1.27b集中
創作者市場:ICM/CCM活況、MITCH・CARDSに資金流入
実物資産等:ABTC初日+17%、OndoとPolymarketで進展
市場はイベント密集の9月へ、価格に先行して制度・流動性・創作者経済が動いているため、9月5日時点の主要トピックを一次情報で俯瞰する。本稿は9月5日 暗号資産ニュースを要点化し、Solana発のICM/CCM、デリバティブ満期、米規制、RWAの胎動までを実務者目線で解説する。
ソラナ発 ICM/CCM/PM(創作者資本市場)の台頭
創作者報酬の動的化とライブ配信連動で資金回転が加速したため、MITCHやCARDS、HUCH、MAGIK、ZARDなどが短期で時価総額・出来高を膨らませた。
Pump.funの「Project Ascend」は市場規模に応じてクリエイター取り分を変えるDynamic Fees V1を導入し、創作者が長期成長へ誘導される設計に刷新した。実際、MITCHは発行直後に時価総額4,200万ドル超へ上伸後に反落、CARDSは累計手数料約965万ドル、8/30時点でFDV5.2億ドル・24h出来高8,510万ドルを記録。市場の熱量は高いが循環速度も速い。
HIM主導のCS2スキン市場HUCHやコミュニティNFT MAGIK、RWA系ZARDやトレカ担保のToCa.Ggも資金吸引が続く一方、Pudgy Partyは「非暗号UX」でIP拡張を優先する戦略を採用し、Web3要素は裏方へ退いた。プロダクト体験を先行させる方針は、ICMの射程を一般層へ拡張する。
デリバティブと満期イベント(9/5)
Deribitで9月5日16:00(北京時)に約45億ドルが満期となり、BTCは33億ドル(PCR1.38、OIは10.5万~11万ドル帯、最大ピン112,000ドル)、ETHは12.7億ドル(PCR0.78、コールは4,500ドル超に集中)と期近の価格帯にポジションが偏在するため、引け際のボラ拡大リスクが増した。
一方、Base最大のパーペチュアルDEXAvantisは「ユニバーサルレバレッジ」構成と手数料ゼロ+最大500倍でユーザー獲得を加速、累計取引高180億ドル超・80以上の市場を展開。新興のDeriWもゼロ手数料/0.01%の低コストと独自AMMで月内に累計1億ドル超を達成し、オンチェーン・デリバの競争が激化している。
規制・RWA・トークン化の進展
SECは今後数カ月の規制アジェンダを公表し、暗号資産の発行・販売ルールや安全地帯、証取・ATSでの取扱いの検討を示した。米規制の座標軸が具体化することで、プロダクト設計と上場戦略の見通しが改善する。
Ondoは9/3に株式トークン化「Ondo Global Markets」をローンチし、100銘柄超から年末1,000銘柄へ拡大を計画。TA/BD/ATSの三免許を押さえた垂直統合で、原市場の株式→トークン→二次市場までのコンプライアンス動線を構築した。予測市場PolymarketはCFTCのノーアクションで米国回帰の道が開け、RWA/情報市場の制度設計が前進している。
企業・フロー:ABTC上場、ETF・ステーブル資金、個別動向
ABTCはナスダック上場初日に一時+110%も最終+17%と乱高下。トランプ家関連のWLFIは0.18ドル割れも観測され、著名人関連銘柄のボラが再確認された。
資金面では、BTC現物ETFに9/3(米)で+3.01億ドルの純流入。IBIT +2.9億ドルが牽引し、ETF時価総額は1,452億ドル、時価総額比6.5%まで上昇。USDCはSolanaで2.5億枚新規発行、メガデスクからETH大量流出(8万超)や12.8年休眠の479BTCアクティベートも確認された。
ビットコインの基礎体力:ハッシュ・手数料・DAT
日次ハッシュレート1.279 ZH/sの最高値更新が続く一方、ネットワーク手数料は低位でマイナー収益の手数料比率が1%未満の局面が長い。ETFやDAT(企業トレジャリー)による現物需要の増大とオンチェーン活動の不足が併存し、手数料依存度の将来像が論点となる。
▽ FAQ
Q. Deribit満期は相場にどう響く?
A. 9/5 16:00(北京)に45億ドルが満期で、BTCは10.5万~11万ドル帯にOI集中のため引け際のボラ拡大が懸念される。
Q. SECのアジェンダで何が変わる?
A. 発行・販売、安全地帯、証取・ATS扱いの検討が明示され、米国発の適格な上場・流通の道筋が描かれる可能性が高い。
Q. ICM/CCMは投機か革新か?
A. Pump.funの手数料動的化で創作者の持続収益が狙える一方、MITCH等の乱高下が示す通り、投機色と規律の両立が課題。
Q. ABTC上場初日の示唆は?
A. +17%で乱高下、著名人関連の資金循環は速く、WLFIの急落と併せて「選別」と情報の非対称への警戒が必要。
Q. RWAはどこが進んだ?
A. OndoがTA/BD/ATSの三免許で株式トークン化を実装、PolymarketはCFTC容認で米国再展開の制度面で前進。
■ ニュース解説
制度整備が進む一方でデリバ満期とソラナICM/CCMが短期ボラを高めたため、フローはETF・ステーブル増で支えられるが、BTCネットワークの手数料低迷が中長期の持続性に影を落とす。
投資家の視点:短期は満期イベントと流動性指標(ETFフロー、USDC発行)を重視し、ミーム/クリエイター銘柄は建玉と売買代金の偏在を確認してサイズ管理を徹底。中期はRWA・規制面の進捗を追い、BTCはハッシュ・手数料・オンチェーン需要の三点セットをモニターする。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:PANews)