▽ 要約
ホワイトハウス報告:米国が暗号資産「機能別監督」を明示へ
ステーブル覇権:USDeが発行7ヶ月で70億ドル突破
香港発牌開始:8月1日から世界最難関のステーブル枠組み稼働
NFT市場復調:取引件数+78%、高額コレクター回帰
投資戦略転換:利回り追求から「機関マネーフロー」重視へ
7月31日 暗号資産 トレンド
7月31日現在、暗号業界は「規制強化」と「機関マネー流入」が同時進行しています。米ホワイトハウスは初のデジタル資産政策報告を31日深夜に公表予定。香港は翌8月に世界初の発牌制を施行。さらに利回り型ステーブルコインUSDeが急拡大し、市場の資金循環を一変させています。本稿ではこうした動きを総覧し、投資家が今日得られるメリットを整理します。
米ホワイトハウス報告:最大の「機能別監督」転換
ホワイトハウス報告は、ステーブルコイン・DeFiを「金融市場インフラ」と位置づけ、機能ベースでSEC・CFTCの権限を再配分する。
4 つの柱
- 安定資産枠組み:準備資産の公開義務と即時清算インフラ
- 銀行接続:連邦チャーターバンクのみがドル建てステーブルを発行
- 国家安全:制裁逃れリスクに対しKYC/AML技術を義務化
- 技術中立:スマートコントラクトは「機能監督」しコード自体は規制対象外
市場インパクト
- USDC・USDeなど「準備型」プロジェクトが優位
- mBridge、FedNow との相互運用が再び議論に
- 投資家は法域リスクを織り込み、ドル基盤の資本回帰へ
USDeの爆発的成長:利回り神話か制度革命か
USDeはわずか7か月で70億ドル、sUSDe年利18%がドライバー。ただし基差縮小とENAフィー分配が今後の課題。
資本飛輪の仕組み
- 永続先物ショートでドル建て利回りを創出
- ENA財庫が二次市場で自己買い、APYを12%→18%へ引上げ
- 収益はUSDe保有者優先=市場占有率を拡大
リスクと対策
リスク | 影響 | Mitigation |
---|---|---|
基差縮小 | APY低下、sUSDe流出 | 新規清算所とCME裁定でリスク分散 |
ENA Fee Switch | 利益希薄化 | 段階的実装・Max 20% で調整 |
規制適合 | Anchorage提携でUSDtb化 | Genius Act基準に完全対応 |
香港「発牌制」始動:世界最難関のステーブルコイン免許
8月1日から申請受付、首期は3〜4社のみ。KYC実名制と全額準備・1日内償還が必須。
誰が勝つか
- 銀行系:スタンダードチャータード銀行(香港)、
JDコインチェーン(京東金融系ステーブルコイン)、アント・インターナショナル(Ant International) - Fintech:Circle(サークル)※現地名「圆币科技」、HKT(香港電訊ホールディングス)、
LianLian Digital (連連デジタル/連連国際) - Web3:Animoca × スタンダードのHKDステーブル、Ant International
NFT市場再編:高額から大衆へ
総売上は減、取引件数と新規買い手は増。「量は質に先行」フェーズ。
3つの兆し
- ゲーム&ブランド NFT が新流動性を牽引(Pudgy Penguins, Parallel, Blast L2)
- 新L2ブーム:Base・Blast・TON が手数料低減で作品発表数急増
- セカンダリロイヤリティ戦争:Blur DAOガバナンスで作家還元率再調整
投資家への提言
- 短期戦略:ホワイトハウス報告発表直後の政策関連銘柄(USDC, ENA, COIN)に流動性集中
- 中期戦略:香港発牌枠組みで恩恵を受ける HK/US 二重上場フィンテックを分散保有
- 長期戦略:ビットコインETF純流入と基差を日次モニタリング、ETF→現物→採掘株の順にローテーション
- リスク管理:USDe 単独保有は APY 下落時の脱出動線を確保、マルチステーブル・マルチチェーンブリッジで分散
▽ FAQ
Q. ホワイトハウスの報告でDeFiへの規制は強まる?
A. 強まるというより「明文化」される見通しです。報告はスマートコントラクト自体を禁止せず、AML/制裁リスクをトレーサブルにする仕組みを重視しています。
Q. 香港でライセンスが取れないとステーブルは使えない?
A. 無許可でも違法とは限りませんが、6か月の移行期後は取引所上場・大口決済での利用がほぼ不可能になります。
Q. USDeの利回りはどこまで下がる可能性?
A. CME・Binanceの基差が5%を切る水準まで低下すると、sUSDe 年利は10%未満へ低下するリスクがあります。
■ ニュース解説
- 中立整理:米=機能監督、香港=発牌制、EU=MiCA施行と三極体制が成立。すべて「準備資産・即時清算・AML」を共通柱にする点は一致。
- 投資家行動指針:規制コンプライアンスを満たすステーブル銘柄と、それを支える清算/カストディ/監査プラットフォームに資金がシフト。
本記事は情報提供であり、特定の暗号資産売買を推奨するものではありません。
(出典:DappRadar Q2 データ,HKMA ブリーフィング,Ethena AMA/A1 Research)