暗号資産市況・規制・企業動向まとめ(11月14日)

▽ 要約

市況 ETFはBTC-$278M/ETH-$184M流出、SOL能動アドレス年初来安値、MSTRはmNAV<1
規制 SECは4類型でトークン整理へ、MiCA運用強化、日・香・星の動き加速
企業 Circle売上$740Mも費用増と11-14解禁懸念、Tetherは金保有$12.9B
イベント 米政府再開で指標解禁・実質金利に注目、短期リバと中期不確実性が交錯
プロジェクト USDe供給- $6.5B、ArbitrumはDRIP等“三本の矢”、LayerZero×EigenCloud新枠組

ETFフロー悪化と制度・企業ニュースが交錯した11月14日の暗号資産 市況を、短期〜中期の視点で解説する。

市況総括

ETF純流出と実需縮小が重なったため、BTC/ETHはボラ上昇の一方で需給の弱さが残った。
現物ETFは11月13日にBTC -$278METH -$184Mの純流出、SOL能動アドレスは330万で12カ月安値MSTRのmNAV<1といった指標面の弱さが確認された。短期の買い戻しは想定されるが、フローの反転がなければ戻りは限定的になりやすい。

レンジ・需給の見方

政府再開でマクロ指標が解禁されたため、CPIなどが実質金利経路を左右しETFフローのボラを増幅しうる。
米政府機能再開によりCPI/PPIなどが相次ぎ公表再開、実質金利≈1.8%台の環境下ではインフレ指標へ感応度が高い。適温のCPIはドル・実質金利低下を通じリスク資産に順風、高止まりはETF流出継続のリスク。

規制・政策アップデート

SECは「画一規制」からの転換を打ち出したため、非証券トークンの市場流通に制度的な道筋が見え始めた。
SEC議長がトークン4類型の整理と、投資契約の終期明確化を示唆。MiCAの監督強化香港Ensembleの預金トークン実証MASの安定通貨法制化など、主要法域で枠組み整備が進行。

企業・資金調達・プロジェクト動向

金利低下観測で収益源が変質しうるため、ステーブル発行体や取引基盤の収益構造に耐性が問われる。
CircleQ3売上$740M(USDC準備収益が96%超)も費用増と11-14の大規模アンロック懸念で株価は反応薄、Tetherの金保有$12.9B・米債利回り収益依存が拡大。Polymarketはボリュームの“水増し”議論の一方で、Google Finance統合・CFTC環境変化で普及が加速。RippleはAPAC実需決済で牽引を強調。

ステーブル・DeFi

USDeはデペグ不安後のリスク回避で供給83.95億(ピーク比- $6.5B)となったため、デルタ・ニュートラル戦略の拡張性と収益機会縮小が課題。
ただし透明性と主要資産中心の戦略でADLリスクは相対的に低い
とされ、短期の安全性は保たれているとの見方。

L2・インフラ

ArbitrumはDRIP等“三本の矢”でレンディング補助、新PerpDEX育成、RWA(株式トークン化)に賭けるため、外部プラットフォーム依存からの価値回収を狙う。
LayerZero×EigenCloudEigenZeroは、経済担保(スラッシング)を統合したDVNで相互運用の経済的セキュリティを強化。

イベント

政府再開により不確実性が後退したため、短期は“リリーフ・ラリー”が起きやすい一方で持続性はマクロに依存する。
歴史的には政府再開後に株式の短期反発が多く、BTCは高β資産として同調しやすいが、中期は金利・流動性サイクルの影響が勝る。

関連: 市況総括:ETF資金フローと主要ニュース

▽ FAQ

Q. BTC/ETHのETFフローは11月中旬どう動いた?
A. 2025-11-13時点でBTCは-$278M、ETHは-$184M。MSTRは時価総額がBTC保有価値を下回る局面も確認。

Q. USDeの供給減は市場に何を示す?
A. 83.95億(ピーク比- $6.5B)まで縮小し、デルタ・ニュートラル運用の拡張性と金利低下局面での利回り圧縮が懸念。

Q. SEC新方針の実務的インパクトは?
A. 4類型の明確化で非証券トークンの流通余地と“投資契約の終期”の整理が進み、CFTC連携や立法支援も示唆。

Q. Circleの収益構造のリスクは?
A. USDC準備収益への依存が高く、利下げ局面では収益圧迫。費用比率上昇と11-14の大型アンロックも短期の重荷。

Q. 香港・シンガポールの最新動向は?
A. 香港はEnsembleで預金トークン実取引を2026年まで実証、MASは安定通貨法制とトークン化ノートの実証へ。

■ ニュース解説

ETFフローの悪化と政府再開によるマクロ再注目が重なったため、短期は反発余地がある一方で中期は金利・流動性と規制進展が左右する。
投資家の視点:フローと実質金利のトレンド、主要ステーブルの供給・担保透明性、L2/クロスチェーンの経済セキュリティ指標を定点観測し、イベントドリブンの過度なレバレッジを避ける。

※本稿は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。

(参考:PANews