▽ 要約
エアネット|1.8億ドルをBTC/ETHで調達し事業転換を加速
ステーキン・シェイク|牛脂フライとBTC決済で既存店+10.7%
グッチ|2022年に米国で多通貨決済、北米へ拡大
実務|即時換金・返品ポリシー等の運用が普及
企業のビットコイン採用動向 2025は「資金調達・決済・ブランド強化」の三つ巴で進み、AirnetはBTC/ETHでの大型調達、Steak ’n Shakeは牛脂×BTCで来店と売上を押上げ、Gucciは多通貨決済でデジタル富裕層を取り込んだ。各事例を背景・狙い・業界影響の順で解説する。
Airnet(ANTE)のBTC/ETH調達が示す「財務×事業」の同時転換
全額を暗号資産で受領した登録直接募集が完了したため、財務がBTC/ETHと連動し同社の暗号資産エコシステム参入が制度面でも既成事実化した。
取引構造とガバナンス
発行済み普通株80,826,225株+ワラントを1株当たり2.227ドルのコンボで発行し、総額約1.8億ドルを819.07 BTCと19,928.91 ETHで受領した。受領資産の性質上、約定から換金・保有方針の開示が投資家の注視点となる。
経営メッセージと事業二本柱
CEOのDan Shaoは「財務を将来に直結させる新章」と強調し、暗号資産専門人材を起用してマイニングとメディア広告の二本柱を磨く方針を示した。中国発の広告企業が上場会社としてデジタル資産財務を明確化した意義は大きい。
市場含意(公開企業のBTC保有)
公開企業が新株対価をBTC/ETHで直接受け取りトレジャリーへ組み込む例は稀で、企業財務におけるデジタル資産の受容拡大を示すシグナルとなる。一方で希薄化と価格変動リスク管理(換金ポリシーや評価法)が株価バリュエーションの鍵となる。
Steak ’n Shakeの「牛脂×ビットコイン」ブランディング
調理油を牛脂へ戻し品質を前面化、5月16日に全米でBTC決済を導入したため、同社はノスタルジアと先端性を一体化した再成長ストーリーを描いた。
業績インパクトと公式発信
親会社Biglari Holdingsの開示で2025年Q2の同店売上は前年同期比+10.7%となり、公式Xは「Bitcoinはゲームチェンジャー」と強調した。決済の話題性が来店・メディア露出を押上げた可能性が高い。
導入の実務(決済・店舗運用)
ビットコインはライトニング対応で会計処理上は即時換金運用が主流、決済手数料低減と会計の簡素化を両立し得る。チェーン全店導入の稀少性がPR資産となり、採算の悪い販促を置き換える余地も生まれる。
牛脂フライの位置づけ
1月16日の公式リリースで「全店舗2月末までに100%ビーフタローへ移行」を宣言し、味覚・品質の原点回帰を明示。ヘルスコンシャスと郷愁訴求を両立するプロダクト刷新が、BTC決済と相乗してブランド語りを強化した。
Gucciの多通貨決済は「Web3顧客体験」の延長
2022年5月に米5店舗で暗号資産決済のパイロットを開始し、夏までに北米直営店へ拡大したため、Web3施策と実店舗体験の接続が進んだ。
対応通貨とオペレーション
BTC/ETH等に加えDOGE/SHIBや米ドル連動ステーブル含む10超に対応し、メールでQRコードを送付してウォレットから支払う方式、返品は暗号資産で返金とした。ブランド側は必要に応じ即時法定通貨化でボラティリティ管理を行う。
ブランド戦略と同業比較
「Test and Learn」で先行導入したGucciは、Off-White等の追随を促しつつ、多通貨・全北米展開で一歩先を行った。決済自体の売上寄与は限定的でも、革新ブランドの認知形成に資する。
決済基盤の実装例
ファッション小売の店頭ではBitPay×Verifone統合等を用い、クレカ端末同等のオペで暗号資産決済を受け付ける運用が普及しつつある。
▽ FAQ
Q. Airnetの資金調達は何を特徴とする?
A. 2025年8月の1.8億ドル調達は全額を819.07 BTCと19,928.91 ETHで受領し、80,826,225株とワラントを発行した。
Q. Steak ’n Shakeの売上はいつ何%伸びた?
A. 2025年Q2の同店売上は+10.7%。1月にビーフタローへ切替、5月16日に全米でビットコイン決済を導入した。
Q. Gucciはどの店舗で暗号資産決済を開始?
A. 2022年5月末にNYウースター、LAロデオ等5店で開始し、夏までに北米直営店へ拡大した。BTCやETH等10超の通貨に対応。
Q. 小売が暗号資産決済を導入する実務上の要点は?
A. QRコード連携で受領後は即時法定通貨化が一般的。返品は暗号資産で返金とする運用例もある(Gucciの方針)。
Q. 企業がBTCを保有する狙いは?
A. トレジャリー多様化とWeb3戦略の明確化。Airnetは財務をデジタル資産連動とし、暗号資産事業へ本格参入を示した。
■ ニュース解説
三事例はいずれも会見・開示等の一次情報で確認でき、AirnetはBTC/ETHでの調達完了、Steak ’n Shakeは牛脂とBTC導入で話題化、Gucciは多通貨決済を北米へ拡大したため、企業財務・決済・ブランドの各面でデジタル資産の実装が前進した。
投資家の視点:会計では受領資産の即時換金と評価法(時価評価・減損)を明確化、IRは換金比率・保有方針を継続開示、オペはQR/ライトニング連携とチャージバック低減の実測を可視化、ブランドは新規来店・客単価・メディア露出のKPIをセットで評価したい。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:PR Newswire,SEC,X(公式),Vogue Business)