▽ 要約
アーク概要:Circleが決済特化のL1「Arc」を発表。
USDCガス:EVM互換で手数料はUSDC、料金の予見性向上。
高速性:サブセカンド確定とFXエンジン、企業利用を想定。
時期:2025年秋にパブリックテストネット開始予定。
「USDCで手数料を払える決済特化チェーンは本当に来るのか」。結論は「来る」です。Circleは新レイヤー1「Arc」を発表し、EVM互換・USDCガス・サブセカンド確定・FX/プライバシー内蔵を掲げ、2025年秋にパブリックテストネット開始予定としました。Circle Arc(USDCガスのL1)で、ステーブルコイン決済の標準化が一段進む見込みです。
Arc発表の要点
ArcはUSDCをネイティブガスとするEVM互換のオープンL1で、サブセカンド確定や内蔵FXにより実需決済のUXを狙ったため、2025年秋のテストネット開始がアナウンスされた。
8月12日の公式リリースで、CircleはArcを「ステーブルコイン金融に最適化した基盤」と位置づけ、EVM互換・USDCガス・ステーブルコインFXエンジン・サブセカンドfinality・オプトインのプライバシー・Circleプラットフォームとのフル統合を明記しました。また「今秋にパブリックテストネット」を示し、既存の多数チェーンとの相互運用も継続するとしています。
USDCガスとEVM互換
手数料を価格変動資産ではなくUSDCで統一するため、決済コストの予見性が高まり、EVM互換により既存DAppの移植や開発者オンボーディングが容易になる。
USDC建てガスは為替連動の安定性が特徴で、ユーザーは別途ネイティブトークンを調達せずに利用可能になります。EVM互換はSolidity等の資産を生かしつつ、既存インフラ/ツールチェーンの再利用を促進します。
FXエンジンとプライバシー
ステーブルコイン間のオンチェーンFXを標準化したため、クロスボーダー決済の摩擦低減が期待され、一方で企業利用を意識したオプトインのプライバシー機能も備える。
異通貨建てステーブル同士の交換や清算をネットワークレベルで支援し、円滑な決済フローを想定。プライバシーは必要時のみ有効化する設計で、公開性と企業ニーズの両立を図ります。
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パフォーマンスと統合
即時性重視のサブセカンドfinalityを掲げるため、日常決済や資本市場ユースケースでの体感速度を重視し、同時にCircle既存サービス群とのフル統合が進む。
Arcはサブセカンド確定と高スループットを目標にしつつ、Circle Payments Networkやウォレット/口座系サービス等と統合して提供されます。Circleは既存の多数のパートナーチェーン支援も継続し、Arcはその中核として機能する構想です。
ロードマップと時期感
2025年秋にパブリックテストネット開始予定のため、開発者・企業は検証を進めやすく、メインネットは評価と監査を経て段階的に移行が見込まれる。
公式発表は「this fall」の表現でテスト開始時期を示しました。企業ユースケース想定のため、パフォーマンス検証・セキュリティ監査・ガバナンス設計の具体化が鍵となります。
市場文脈—規制と競争
米国のGENIUS法成立で決済用ステーブルコインの枠組みが明確化したため、Arcの事業環境は追い風となる一方、決済L1競争はStripeのTempo報道などで加速が見込まれる。
2025年7月のGENIUS法は決済用ステーブルコインの連邦枠組みを初めて整備しました。加えて、8月にはStripeがParadigmとともに決済特化L1「Tempo」を開発中との報道が相次ぎ、ステーブルコイン決済インフラの主導権争いが顕在化しています。
他L1との位置づけ
USDCガスで手数料の安定性を前提化したため、Solana等の高速系やEthereum系EVMチェーンと差別化し、金融ユース特化の体験設計を打ち出す。
ETH/SOL/AVAXといった価格変動資産ベースのガス設計とは異なり、ArcはガスをUSDCに固定し、実需決済の「読めるコスト」と「即時性」を前面に出します。
▽ FAQ
Q. Arcのテストネット開始はいつ?
A. 2025年8月12日の発表で「2025年秋にパブリックテストネット」と示されました(USDCとEVM対応明記)。
Q. ガス通貨は何ですか?
A. ガスはUSDCがネイティブ通貨です。価格変動の大きい独自トークンは不要で、手数料の予見性が高まります。
Q. ArcはEVM互換ですか?
A. はい。Solidity等の既存資産を活かせます。開発者は既存ツールチェーンをそのまま利用可能です。
Q. 特徴的な内蔵機能は?
A. ステーブルコインFXエンジンとオプトインのプライバシー機能を標準搭載し、企業利用に配慮します。
Q. 規制面の追い風はありますか?
A. 2025年7月成立のGENIUS法で米国の決済用ステーブルコインが制度化され、Circleの展開を支えます。
■ ニュース解説
ArcはUSDCガスのEVM互換L1として2025年8月12日に発表されたため、決済・FX・資本市場向けの基盤整備が進む一方でthis fallのテスト開始までに性能・監査・ガバナンスの具体化が注目点となる。
投資家の視点:短期はテストネット検証と初期パートナー動向、並行して規制・競争(Tempo報道含む)・分散性設計の開示を追うのが妥当です。長期はUSDC流通拡大と手数料/ネットワーク効果の収益化トラックを見極めましょう。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:Business Wire,The Block,CryptoBriefing)