Bullish IPO申請、42億ドル評価と狙い

▽要約

IPO概要:最大6.29億ドル調達、評価額42億ドル
資金使途:調達額をドル建てステーブルコインへ転換
規制環境:GENIUS法成立で市場に追い風
事業戦略:CoinDesk買収・3Bドル超資産を武器に拡大
業界動向:取引所上場ラッシュ加速の旗印

Bullish IPO申請は「規制が整った今こそ」という疑問に答える動きだ。結論から言えば、同社は評価額を現実的水準に抑えつつ資金を機動的に活用し、暗号資産と伝統金融の橋渡し役を狙う。この記事ではIPO条件・規制背景・ビジネスモデルを整理し、投資家が得られる示唆を提示する。

Bullish IPOの基本情報

公開条件と評価額

Bullishは20.3百万株を28~31ドルで売出し、最大6.29億ドルを調達しようとしている。評価額は4.23億ドルではなく42.3億ドル(単位は10億ドル)だ。
今回の価格レンジは2021年のSPAC計画(評価額90億ドル)から52%下方修正された控えめ設定だ。同社はNYSE「BLSH」上場を目指し、JPモルガンなど大手を主幹事に据える。

調達資金の活用:ステーブルコイン転換

調達額の大半をUSドル連動ステーブルコインに替え、取引所内外で即時流用できる“デジタル現金”として保持する。
目論見書には「一社または複数の発行体の協力の下、IPO純収入の相当部分をUSD建てステーブルコインへ転換する」と明記されている。

規制環境と市場背景

GENIUS法の成立によりステーブルコインと取引所の連邦規制が明確化し、暗号資産企業の上場準備コストと不確実性が大幅に低下した。
同法は準備資産100%保有、月次開示、利息禁止などを義務化し、銀行規制当局の下で発行ライセンスを付与。2025年はCircleやeToroなど暗号資産企業のIPOが相次ぎ、Bullishはその「第三波」に乗る格好だ。

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Bullishのビジネスモデルと財務

3本柱の収益構造

Bullishは取引プラットフォーム・流動性サービス・CoinDeskメディアの三層で収益を得る。CoinDesk買収により市場データの付加価値販売を拡大できる。

潤沢な流動資産

ビットコイン24,000 BTC、イーサリアム12,600 ETH、現金+ステーブルコイン4.18億ドルを保有し総流動資産は30億ドル超
市況悪化で2025年1Qは3.49億ドルの評価損を計上したが、2Qは最大1.09億ドルの黒字転換見込み。

業界への影響と今後の展望

Bullishが成功すればKraken、OKXなど未上場大手が本格的にIPOを検討する誘因となる。BlackRockとARKが非拘束ながら計2億ドルの参加意向を示したことは機関マネー参入の象徴だ。
上場後は規制対応・透明性を武器にオプション取引や地域拡大を予定。競合Coinbaseは取引量減で株価急落が続くが、市場は“純粋取引所モデルの効率性”を重視し始めている。

▽ FAQ

Q. BullishのIPO価格レンジは?
A. 1株28~31ドルで約20.3百万株を売り出す。

Q. IPO後の資金はどこに?
A. 主にUSドル建てステーブルコインへ転換し流動性強化に充当。

Q. Bullishの保有資産は?
A. BTC24,000、ETH12,600、現金・ステーブルコイン4.18億ドルで総額30億ドル超。

Q. GENIUS法の影響は?
A. ステーブルコインの法的位置付けを明確化し、取引所上場コストを低減。

■ ニュース解説

BullishのIPOは「規制明確化 → 機関資金流入 → 上場加速」という循環の要石だ。短期的にはロードショーの需要次第で公募価格が上振れする可能性があるが、暗号資産価格の変動が業績へ及ぼす影響には注意が必要。
投資家としては①目論見書の手数料モデルと資産保全構造、②ステーブルコイン運用先の信用力、③取引高シェアの推移—をモニターしたい。株価ボラティリティは高く、購入可否は各自のリスク許容度次第。

本稿は情報提供であり投資助言ではありません。

(出典:Reuters,The Economic Times