▽ 要約
フラッシュ 8/25未明にBTCが瞬間安、1時間で約3億ドル清算
クジラ 7年休眠の古参が段階売却、計2.4万BTC規模に到達
イーサ 現物41.7万ETH+先物13.5万ETH、計55万ETH超の露出
プラットフォーム Unit経由でHyperliquidへ供給、裁定で乖離収束
なぜ2025年8月25日のBTCフラッシュクラッシュが起きたのか――答えは「古参クジラの段階的なBTC売却が、Hyperliquidで薄い板を突き破り清算連鎖を誘発したため」である。オンチェーン計測では当該主体は少なくとも18,142 BTCを売却済み、残り5,968 BTCの処分も進行中で、売却資金は現物・先物合わせて約55万ETH超へローテされた。結果、1時間で約3億ドルのロング清算、ETHは過去高値圏へ。仕組みを押さえれば、再発時に何を見るべきかが明確になる。
クジラ売却の実態——Unit経由のHyperliquid集中的フロー
7年休眠クジラがUnit経由でBTCを段階売却したため、Hyperliquidでは一時2%近い下落と他所比ディスカウントが発生した。
当該クジラは2018年前後にHTX/Binanceから約1.5万BTCを引き出して以降、長期休眠していたが、8月下旬に行動を再開した。8/21には約550 BTCずつの入金が検知され、Hyperliquid上のBTC価格は一時200bp下落、他取引所に対して約30bp安となる場面があった。オンチェーン観測は@mlmabcやLookonchainのトラッキングにより裏付けられている。
※報道で「Hyperunite」と表記される例があるが、正式名称はUnit(Hyperunit)で、Hyperliquidに統合された資産トークナイズ/クロスチェーン入出金レイヤーである。
7年休眠アドレスの動向と売りルート
2018年にHTX/Binance由来のBTCを受領した古参アドレスが動き、Unit→Hyperliquid経由で売却・ETHへの展開が進んだ。
休眠アドレスは14,837 BTCの保有で知られ、まず670 BTC規模の売却と68,130 ETHロングが観測されたのち、入金と売却が連日続いた。8/21の約550 BTC入金以降、Hyperliquidの板は一時薄くなり短時間で価格が振れやすい状態に。こうした「断続的供給→板スリップ」の組み合わせが清算連鎖の環境を整えた。
売却規模とETHロング——資産ローテの全体像
8/25時点で売却済みは18,142 BTC(約20.4億ドル)、残り5,968 BTC(約6.7億ドル)の処分進行中。取得したETHは現物416,598 ETH+先物ロング135,263 ETHで、総エクスポージャー551,861 ETH(約26.2億ドル)に達した。さらに275,500 ETH(約13億ドル)がステーキングされ、単一主体としては異例の規模となっている。観測では「2クジラ≒同一主体」の可能性も指摘された。
裁定と価格乖離/市場の注目
Hyperliquidでの乖離は裁定で短時間に収束したが、出来高は急増し、同所のBTCスポット24h出来高がCoinbase+Bybit合計を上回るとの指摘も。Galaxy DigitalのMike Novogratz氏はHYPEロング保有を明示し、同エコシステムへの視線が一段と集まった。
市場インパクト——清算連鎖と価格挙動の把握ポイント
流動性真空が生まれたため、約1時間でロング中心に約3億ドルが清算され、BTCはOKXで$110,880まで急落後に$112,700近辺へ素早く戻し、ETHは$4,900台を付けた。
短時間のヒゲ型(ニードルピン)は、清算の連鎖と裁定・逆張り買い戻しが同時多発する際に生じやすい。8/25未明の局面でも1時間で約3億ドルのロング清算が報じられ、24時間合計でも相当規模に拡大した。清算はBTCにとどまらずETHや主要アルトにも波及し、玉突き発生の典型パターンとなった。
他取引所への波及と瞬時の収束メカニズム
Hyperliquid発の売り圧は裁定取引を通じてOKXやBinance/Coinbaseに伝播したが、価格乖離は裁定で収束した。
OKXの現物板では$111,000割れ(最安$110,880)を記録し、数分で約1.9%の下落後に反発。Hyperliquidでは一時2%近い下落と約30bpのディスカウントが観測されたが、裁定・流動性供給で素早く平準化された。
アルトシーズンの兆しとETHの過去高値圏
ETHは$4,900超に到達し、週次のスポット出来高がBTCの約3倍との集計も出た。ETH/BTC比は年初来高水準に接近、ETH向けETFや機関フローの強まりも示唆される。今回の資産ローテは「無利息資産BTC→利回りを生むETH」という発想転換を映し、大口のステーキング実施がそれを体現した。
▽ FAQ
Q. 8/25のBTC急落は何が原因?
A. 古参クジラの段階売却とUnit経由の大量送金で流動性が薄くなり、清算が連鎖しました(8/25)。
Q. どれだけ売って何を買った?
A. 売却済み18,142 BTC、残り5,968 BTC。買いは現物416,598 ETH+先物135,263 ETHです。
Q. ETHはいくらまで上がった?ステークは?
A. ETHは$4,900超に達し、取得済みのうち275,500 ETHが既にステーキング入りです。
Q. 価格乖離はどこで起きた?
A. Hyperliquidで最大約2%の下落と約30bpの他所比ディスカウントが観測され、裁定で収束。
Q. Hyperliquidと“Hyperunite”は同じ?
A. 正式名はUnit(Hyperunit)で、Hyperliquidの資産入出金レイヤーです。混記に注意。
■ ニュース解説
古参クジラの段階売却でHyperliquidの板が薄くなったため急落が発生し、清算が連鎖した一方で裁定で乖離は収束し、売却資金はETH現物・先物にローテして過去高値圏を押し上げた。
8月25日未明にBTCは瞬間的に急落し、OKXで$110,880を付けた後に反発する過程で約1時間で3億ドル規模の清算が発生した。クジラはすでに18,142 BTCを売却し、残り5,968 BTCの処分を進めており、その資金で現物416,598 ETHと先物135,263 ETHを保有、合計551,861 ETHのエクスポージャーを抱え、うち275,500 ETHをステーキングに回した。Unit(Hyperunit)経由でのBTC入金がHyperliquidに集中したことで新興板の薄さが露呈し、一時的なスリッページを拡大させた結果、ETHは$4,900を超える高値を記録し、週次出来高はBTCの約3倍に達し、ETH/BTC比は年初来高水準となり機関投資家のETHシフト観測が強まった。
投資家の視点:①清算連鎖は板の厚さ・資金調達率・建玉偏りの組み合わせで増幅されるため、分足の出来高/建玉の偏りと資金調達率の急変を監視。②価格乖離は裁定で収束しやすいが、新興板では瞬間インパクトが拡大し得る点に留意。③ローテ先のETHではステーキング・ETFフロー・現先スプレッドを合わせて点検するのが実務的。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:Lookonchain,mlmabc)