Blockのビットコイン銀行ツール、中小企業へ

▽ 要約

ロールアウト:SquareがBTC決済を2025年後半に開始。
フルスタック:会計・換金・税務まで含む事業者向け構想。
タイムライン:2026年に全加盟店での利用を目指す。
リスク対応:自動換金で価格変動の影響を抑制。

中小企業でも暗号資産を“使えるお金”にできるのか――BlockはSquareを通じ、Lightning決済と財務・会計・換金・税務までを束ねたビットコイン対応を段階導入する。Blockのビットコイン銀行ツールは2025年後半に始まり、2026年に全加盟店へ広がる見込みで、既存POSを更新するだけで運用可能だ。中小企業は決済の選択肢と資金管理の柔軟性を同時に獲得できる。

発表の骨子とスケジュール

5月27日の発表を受け、7月23日に一部加盟店でオンボーディングが始まり、各地域の承認を条件に2026年までに全加盟店へ展開される。
SquareのPOSはLightningによる即時・低コスト決済を受け付ける。段階導入は規制差に配慮したもので、パイロットはBitcoin 2025会場などで検証済みだ。

タイムラインと対象地域

北米を皮切りに既存のSquare提供国で順次拡大し、規制クリアの進捗に応じて対象を広げる。
Squareの既存基盤を活かすため、小売・飲食など対面決済の多い業態からの展開が現実的で、2026年までに「BTCで支払う」オプションが標準装備化する見込みだ。

フルラインナップの中身(決済・管理・会計・換金・税務)

決済に加え、取得から管理、会計・換金・税務まで企業オペレーションを一体で支援するため、導入後の運用負荷が抑えられる。
構想には「acquiring/managing/reporting/accounting/converting/taxes」等が含まれ、事業者の“ビットコイン財務”を実務レベルで回す前提が示された。

決済(Lightning)と自動換金

Lightningでの受け取りは数秒で完了し、加盟店はBTCのまま保有するか、即時に法定通貨へ自動換金するかを選べる。
為替はSquareが処理するため入金は安定し、ボラティリティ懸念を避けたい店舗でも導入しやすい。

管理・会計・レポーティング・税務

Blockは2025年4月、企業向けBTC財務ダッシュボードなどオープンソースツールを公開しており、評価額把握や履歴出力など会計連携の土台が整う。
売上の一部を自動でBTCへ転換する運用や、期末評価・税務対応の内部統制を伴走する想定だ。

カストディの位置づけ(Bitkey)

自主管理派のためにBitkey(モバイル+ハードウェアの2of3マルチシグ)を提供済みで、鍵管理のUXを確保する。
事業者は方針に応じ、自己保管・即時換金・一部保有を使い分けられる。

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競合比較と差別化(PayPal・Stripe・暗号決済ゲートウェイ)

オンラインに強いPayPal/Stripeに対し、Blockは実店舗POSとハード一体での提供に強みがある。
多通貨対応の他社と異なり、BTC特化でLightning体験に最適化し、端末・ソフト・金融機能を縦に統合することで中小店舗の運用負担を最小化する。

リスク・規制と対応

地域ごとの承認状況に応じた段階展開でコンプライアンスを優先し、AML/KYCやレート表示透明性で消費者保護にも配慮する。
価格変動は自動換金で吸収でき、会計・税務はダッシュボード活用で整合性を確保しやすい。

中小企業にもたらす効果

決済コストの圧縮、着金スピード向上、財務の柔軟化により、少人数店舗でもエンタープライズ級の資金管理が可能になる。
既存POSのソフト更新で導入でき、顧客の支払い選好に応じたオプション提供が客単価向上にも寄与し得る。

▽ FAQ

Q. いつから使える?
A. Squareは2025年後半に段階導入、2026年に全対象加盟店へ。発表は5月27日、7月23日にパイロットを開始。

Q. どの端末・方式に対応?
A. 既存のSquare POSでLightning決済に対応し、QRコード読み取りで即時処理できる。

Q. 価格変動はどう抑える?
A. 受領BTCを即時に法定通貨へ自動換金可能で、Squareが為替を処理して安定入金を確保。

Q. “フルスタック”の範囲は?
A. 決済(取得)に加え、管理・レポート・会計・換金・税務を一体支援し、実務運用を容易にする。

Q. 日本での提供は?
A. Square提供国で順次導入。日本は規制承認次第で展開可能性があり、公式続報を待つ段階。

■ ニュース解説

BlockがLightning決済のロールアウトを開始したため、2026年にかけPOS経由でBTC決済が標準化する一方で、会計・換金・税務までの支援で中小企業の運用負荷が下がる。
投資家の視点:収益は当初フィー極小でも導入拡大が成長ドライバーとなり得るが、地域規制・利用率・価格変動の管理がKPI。プロダクト優位(POS×Lightning×会計連携)を活かしつつ、段階展開の実行確度が評価分岐点。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:Block,Block Open Source,Reuters