ビットコイン現物ETF最新動向:3週連続の資金流入と市場の好転

【要約】
・先週(米東部時間4月28日~5月2日)のビットコイン現物ETFの週間純流入額は18.1億ドルに到達し、3週連続でプラスを記録。
・ブラックロックのIBITが24.8億ドルの純流入で首位、グレースケール(灰度)のBTCミニ信託ETFも4,192万ドル流入。
・Ark Investと21SharesのARKBは4.58億ドルの流出となり、週間ベースで最大の流出額を更新。
・QCP Capitalは長期的なビットコイン市場の強気姿勢を維持しており、機関投資家のビットコイン現物ETF需要が続くと分析。
・イーサリアムのETH/BTCペアではボラティリティ指標が収縮。5月7日に予定されるPectraアップグレードが価格変動を後押しする可能性。
・Bitfinexは4月のビットコイン価格が月初の安値から32%以上上昇したことを報告。鉱工(マイナー)の売り圧力は限定的と指摘。

ビットコイン現物ETFの週間資金流入:3週連続の増加

ビットコイン現物ETF(ビットコイン現物ETF)は、先週(米東部時間4月28日~5月2日)も大きな資金流入を集め、合計で18.1億ドルの純流入を記録しました。これは3週連続のプラス推移となり、機関投資家の需要が継続していることを示唆しています。特にブラックロック(BlackRock)のビットコインETF「IBIT」は、単週で24.8億ドルの純流入という顕著な成績を収めました。
一方で、Ark Investと21Sharesが共同で運営するARKBは、4.58億ドルの純流出となり、週間ベースで最大の流出額を記録しています。それでもARKBの歴史的な純流入合計は26.5億ドルに達しており、今後の資金の行方に注目が集まります。

ETF市場全体の動向

5月5日時点で、ビットコイン現物ETF全体の純資産総額(AUM)は1,131.5億ドルにのぼり、これはビットコインの時価総額に対して約5.87%の割合を占めています。また、これまでの累計純流入額は402.4億ドルとなり、ビットコイン現物ETFが市場にとって重要な投資ビークルとして定着しつつある状況が伺えます。歴史的にはビットコイン先物ETFの導入が先行していましたが、近年は現物ETFへの注目度が高まっている点が特徴です。

QCP Capitalの視点:機関投資家の継続的な需要

デリバティブ取引を手掛けるQCP Capitalは、市場分析レポートにおいて「ビットコインETFへの機関投資家需要は衰えていない」と述べ、今後もビットコイン現物ETFを通じた買いが続く可能性が高いと指摘しています。また、同社は米国の雇用統計に言及し、4月の非農業部門雇用者数は17.7万人の増加(予想は13.3万人)と好調だったと報告。ただし、最近発動された追加関税の影響がまだ完全には市場に織り込まれていないため、過度な楽観視は禁物ともしています。

Strategyによるビットコイン保有戦略

QCP Capitalのレポートでは、国際的に知られる大手企業の一部である“Strategy”が、第1四半期の損失にもかかわらずビットコインへの投資を拡大した点にも注目しています。新たな会計基準(デジタル資産の時価評価)導入により損失が拡大したものの、同社は資金調達目標を840億ドルに倍増させるなど、長期的な強気姿勢を明確に打ち出しました。機関投資家によるビットコイン現物ETF経由の資金流入と、企業の積極的なBTC購入動向が重なり、マーケットの底堅さを支えているとみられます。

ETH/BTCペアのボラティリティ収縮:Pectraアップグレードの影響

ビットコイン現物ETFと並行して注目されているのが、イーサリアムとビットコインの交換レート(ETH/BTC)の動向です。CoinDeskの報道によると、ETH/BTCペアのボリンジャーバンド幅が2020年6月以来の最狭水準まで収縮しており、近い将来に大きな価格変動が起きる可能性を示唆しています。

Pectraアップグレードの概要

このタイミングに重なる形で、5月7日にイーサリアムのPectraアップグレードが予定されています。主な内容としては、

  • 単一バリデータの最大ステーキング上限を32ETHから2,048ETHへ拡張
  • 各ブロックに含まれる“blob”データ単位を3から最大9に拡張
  • スマートコントラクト構造を最適化するEVMオブジェクトフォーマット(EOF)の導入
    が挙げられます。これによりネットワークの可用性が強化されるだけでなく、Layer 2ソリューションの運用効率も高まると期待されます。分析会社Nansenは、このアップグレードで特にRollupを採用するLayer 2プロジェクトが恩恵を受け、DeFi、NFT、ブロックチェーンゲームといったセクターにもプラスの影響をもたらす可能性があると指摘しています。

Bitfinexのレポート:4月のビットコインは力強く反発

暗号資産取引所Bitfinexが公表した「Bitfinex Alphaレポート」では、4月のビットコインが月初の74,501ドル(※データ原文)から月末にかけて32%以上反発し、一時は約98,000ドルまで上昇したと分析されています。この動きは過去の4月平均を上回る月次リターンを示し、市場のリスクオン姿勢と相まってビットコインの強さが際立った形です。

マイナー(鉱工)動向と今後の価格展開

チェーン上のデータを確認すると、マイナーの保有残高は比較的安定しており、Puell Multiple(プエル倍数)でも大規模な売却圧力を示唆するシグナルは見られません。Bitfinexは、今後のビットコイン価格がサポートラインを維持できるかどうかが短期的な焦点になるとしつつも、構造的には強気基調が続く可能性が高いとしています。世界的な金利政策や地政学リスクの推移によっては、さらなる上昇余地があるとの見方も一部では示されています。

ニュースの解説

ここ数週間のビットコイン現物ETFへの継続的な資金流入は、機関投資家がビットコインを含む暗号資産を長期ポートフォリオの一部として組み入れ始めている表れと考えられます。市場が慎重なムードであっても、ETFを通じた買いが一定のペースで続くことで、ビットコイン相場に底堅い需要が生まれやすくなるのです。さらに、企業による長期視点でのビットコイン保有戦略や、イーサリアムのアップグレードによるエコシステムの拡大も相まって、暗号資産全体への資金流入が続く可能性があります。特にPectraアップグレードがもたらす効率改善は、ブロックチェーンゲームやNFTをはじめとする分野にも波及効果を及ぼすでしょう。今後も投資家は、主要通貨の価格やマイナー動向だけでなく、関連技術の進化を注視する必要があります。