【ビットコイン】ETH/BTC強気シグナルと現物ETF流出、企業参入から読む仮想通貨市場の行方

【要約】
ETH/BTC がカップ・ウィズ・ハンドルや強気旗形など複数の上昇パターンを形成中
ビットコイン現物ETF では 6.16 億ドルの大規模資金流出が観測され、投資家動向に注目
・上場企業による ビットコイン の大量保有が増加、企業価値の歪みやレバレッジリスクも浮上
Michael Saylor は「ビットコインはすべての人にとって最適な資本」と再度強調
・相場分析では、BTC が重要水準を失守すれば 10 万ドル付近への深度調整の可能性も示唆

ETH/BTCに浮上する強気テクニカル

最近の仮想通貨市場では、ビットコイン(以下、BTC)だけでなく、イーサリアム(ETH)の動向にも注目が集まっています。特にETH/BTCペアの価格比率が、カップ・ウィズ・ハンドル形や**強気旗形(ブルフラッグ)**といった複数の上昇パターンを形成している点が専門家たちの関心を引いています。

  • カップ・ウィズ・ハンドル形:ネックラインとされる 0.02596 BTC を突破すれば、目標値として 0.03814 BTC が想定され、7 月頃までに約 55% の上昇余地があるという見方があります。
  • 強気旗形:同様に 0.03235 BTC をターゲットとする見解があり、現在値から 30% 程度の上昇が期待できるとの分析も出ています。

一部アナリストは、ETH/BTC のブレイクが 「アルトコインシーズン」 の端緒になる可能性を示唆しています。Trader Tardigrade 氏などは、この動きが 2025 年に向けた新たなアルトコインの大口資金流入を導くかもしれないと指摘しています。

さらに別の視点として、山寨(アルトコイン)市況が長期上昇トレンドラインを再テストしているデータも報告されました。過去にはこのラインからの反発が 9,000% や 180,000% といった大幅な上昇につながった事例があり、再度大規模なアルトコインブームが起きる可能性に注目が集まっています。

ビットコイン現物ETFからの大規模流出

一方で、ビットコインの投資商品では興味深い動向が見られます。SoSoValue のデータによると、5 月 30 日(米東時間)の時点で、ビットコイン現物ETF 全体から合計 6.16 億ドルの大規模な資金流出が確認されました。

  • 特に、ブラックロック(BlackRock)の ETF「IBIT」からは 4.31 億ドルもの資金が流出し、ETF 全体の資金動向に大きなインパクトを与えています。
  • Ark Invest と 21Shares 共同の「ARKB」でも 1.20 億ドルの流出があり、ETF 市場のセンチメントには注意が必要です。

現時点での BTC 現物ETFの総資産はおよそ 1,261.52 億ドルに上る一方、今後も投資家の利益確定や動揺によって資金が流出すれば、BTC 市場のボラティリティが高まる可能性があります。

上場企業によるビットコイン大量保有と歪み

近年、MicroStrategy(現 Strategy)の事例に代表されるように、上場企業がビットコインを大量保有する動きが活発化しています。ただし、この流れには注意すべきリスクがあるという指摘も少なくありません。

  • Metaplanet:元は低価格ホテル事業を手がけていましたが、転身後はビットコインを含む暗号資産インフラへ資本を集中。ところが、同社の時価総額が保有する BTC の実際の価値を大きく上回っており、時にビットコイン現物価格の 5 倍ほどの評価が織り込まれているとの分析が出ています。
  • Strategy(旧 MicroStrategy):2020 年 8 月以降、ビットコイン買い増し計画を実行し、現在までに約 57.6 万 BTC(推定 630 億ドル相当)を保有。株価は一時 10 倍ほどに上昇しましたが、NAV(純資産価値)との乖離を懸念する声も根強いです。

さらに、米国のトランプ・メディア&テクノロジー・グループ(TMT)は最大 25 億ドルの資金調達を行い、ビットコインに投資する計画を発表しましたが、発表直後に株価が 11% 下落。その裏では内部保有株の売却懸念も指摘されており、こうした「ビットコイン保有企業」の株価にはボラティリティがつきまといます。

Saylor「ビットコインは完璧な資本」

ラスベガスで開催されたビットコイン 2025 カンファレンスにおいて、Strategy 会長の Michael Saylor 氏は改めて「ビットコインはすべての人や組織にとって完璧な資本である」と強調しました。

  • ビットコインは検閲耐性や透明性を兼ね備えており、政府や銀行の政策によるインフレリスクから自由度が高い
  • 自身が率いる Strategy はおよそ 600 億ドル以上のビットコインを保有し、今後もビットコインの主流採用を推進すると表明

Saylor 氏は、ビットコインが「誰でも自由に移転・保管・利用できる優れた資産形態」であり、その数学的な希少性から長期保有に向くと再度説きました。

ビットコイン相場分析:重要サポートを維持できるか

Cointelegraph をはじめとする専門家の分析では、ビットコインは直近の上昇局面が一服し、10 万ドル 付近への回調リスクが台頭しているとの見方があります。

  • 連日の上昇による利確売りが入りやすい局面に入り、需給のピークアウトが示唆される
  • 鯨(大口投資家)の積極的な買い増しペースもやや鈍化しているデータが散見される
  • テクニカル面では以前の高値を割り込んでおり、もし週足ベースで重要サポートを下回る展開になれば、さらに大幅な下落が進む可能性も指摘されています

ニュースの解説

一連の動向から、ビットコインを中心とした仮想通貨市場には複数の力が拮抗していると考えられます。

  • ETH/BTC の強気チャート形成はアルトコインシーズンの到来をうかがわせるものの、ETF市場での資金流出や大口投資家の買い控えは短期的な不安要素です。
  • 上場企業のビットコイン大量保有は市場全体の注目度を高める一方で、企業価値と保有BTCの実質価値との乖離が「過度なプレミアム」となり、投資家のリスクを増幅する可能性があります。
  • Saylor 氏の「ビットコインは完璧な資本」という主張は、長期投資の有効性を裏付けるものですが、地政学リスクや政策金利の不透明さからくるボラティリティも無視できません。

このように、強気と警戒感が同居するマーケットでは、短期筋と長期筋の動きが相反しやすい傾向があります。投資家としては、企業の過剰なレバレッジや NAV との乖離を注視しながら、ETH/BTC のテクニカル要因や ETF の資金動向といった指標を多角的に分析することが重要と言えるでしょう。