ビットコイン11万ドル突破:歴史的高値が示す仮想通貨の真価

【要約】
ビットコイン11万ドル突破で時価総額は2.2兆ドル超、世界5位規模に
・懐疑的だった著名投資家や政治家の言動が軒並み“打ち負かされる”展開
・バリュー投資の視点から見た「不対称リスク」の魅力が再認識されている
・供給(S2Fモデル)と需要(ネットワーク効果)が価格上昇の重要な要因

ビットコイン11万ドル突破:新たな歴史的高値とは

2025年5月23日、ビットコイン(BTC)が11万ドル(最高値約11万1963ドル)を突破し、市場を大きく揺るがしました。時価総額は2.2兆ドルに到達し、世界企業ランキングでもアマゾンを超えて5位に躍進。2008年に誕生したビットコインは、「ただ保有し続けるだけ」で投資家を裏切らなかったと言われるほど、歴史的に価格が右肩上がりを続けています。たとえば大手企業Strategy社は大量のビットコインを保有しており、評価益は230億ドル以上。会長のマイケル・セイラー氏は「高値で買わなければ後悔する」と豪語しています。

この価格上昇により、かつて「ビットコインは価値がない」「ただの投機」と厳しく批判した投資家や政治家たちが、再び立場を問われる格好となりました。本記事では、過去にビットコインを“無価値”と評してきた著名人の言動を振り返りつつ、実際にビットコインがどのようにして歴史的高値へと至ったのかを探ります。

名立たる批判者たちの“誤算”

「株神」ウォーレン・バフェットの悲観論

ビットコインに対して長年「究極の毒」と称してきたのが、投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏です。2013年にビットコインが100ドル台の頃から「買う価値はない」と断じ、2019年の株主総会でも「ビットコインには何の価値も生まれない」と否定的でした。
しかし、もしバークシャー・ハサウェイが2018年時点で現金準備の1%をビットコインに投資していたら、今や莫大なリターンを得ていただろうという試算もあります。2025年Q1の現金は3500億ドルに達しており、その一部でもビットコインを持っていれば甚大な利益を手にしていたかもしれません。

「仮想通貨大統領」トランプの変心

ドナルド・トランプ前大統領は、2019年には「ビットコインは詐欺、6000ドル以下に暴落しても驚かない」と厳しく批判していました。しかし2024年の大統領選で、急速に増えた暗号資産支持層の票を意識してからは一転、ビットコイン支持へ方針転換。大統領に返り咲いたのち、自身の関連企業を通じて暗号通貨プロジェクトや独自トークンを次々と展開し、多大な利益を上げています。
政治的思惑があるとしても、ビットコイン11万ドルという歴史的高値を生み出した要因の一部になったのは事実でしょう。

ビル・ゲイツの懐疑と中立化

マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏も、かつては「(ビットコインは)何も生み出さないから上がるはずがない。方法があれば空売りしたい」と語っていました。2021年頃には態度をやや中立寄りに改めたものの、その後NFTブームには苦言を呈し、2024年に至っても「ビットコインは社会的価値を付加しない」と発言しています。

JPモルガンCEO ジェイミー・ダイモンの一貫した否定

「ビットコインは詐欺」「価値がない」と主張してきたジェイミー・ダイモン氏。銀行としては顧客ニーズに応える形で仮想通貨商品を提供する一方、本人は「吸煙と同じ。自由だけど推奨しない」と辛辣です。しかし2025年5月19日、ついに同社はビットコイン売買を顧客に許可。個人の感情とビジネス判断がせめぎ合う中、結果的に「売りたい人には売る」という路線に落ち着きました。

ベライドCEOの「洗濯マネー」発言と大転換

資産運用世界最大手ブラックロック(ベライド)のCEOラリー・フィンク氏は、2017年当初「ビットコインはマネーロンダリングの指標」と警戒していました。ところが2023年頃から「ビットコインはデジタルゴールド」「人類の自由はいくらか」という見解にまで大幅にシフト。2025年には「50~70万ドルまで上昇する可能性がある」との強気の見解を示しています。

ビットコイン11万ドルと「価値投資」という視点

価格の乱高下が激しいビットコインに、伝統的な投資家の一部は「価値投資は成立しない」と考えがちです。しかし、供給が2100万枚に限定される通貨モデルと、グローバルに拡大するユーザーコミュニティ(ネットワーク効果)は、ビットコインに独自の「不対称リスク構造」を与えています。

不対称リスクとは何か

不対称リスクとは、下落幅が限定的である一方、上昇余地が際限なく大きい状況を指します。ビットコインは、度重なる暴落(2011年には最大94%下落)を経ても、そのたびに取引数や保有者数が増加し、最終的に高値を更新してきました。いわゆる「ゼロになる確率は低いが、大幅上昇のチャンスが残る」という構造です。

S2Fモデルとネットワーク効果

ビットコインの供給面を重視したS2F(Stock-to-Flow)モデルでは、定期的なマイニング報酬の半減期によってインフレ率が下がり、希少性が高まるとされています。一方、需要面ではアドレス数やオンチェーン取引量などが重要です。ユーザー数が増えるほど価値が増大する「メトカーフの法則」が働き、ビットコインへの信頼度と価格上昇圧力が強まっていく仕組みです。

ビットコインをめぐるニュースの解説

今回のビットコイン11万ドル突破は、強気相場を待ち望んだ投資家にとって大きな転機となりました。長期保有層はもちろん、機関投資家や国家レベルの導入例が増えたことも、この結果を後押ししていると言えます。過去にビットコインを「無価値」と評した著名人たちが軒並み予測を外した事実は、市場の認識変化を象徴するものです。
とはいえ、価格変動が大きいことに変わりはなく、今後も下落局面は訪れる可能性があります。しかし、ネットワーク効果と希少性に支えられたビットコインは、価値投資の新たな選択肢として認められつつあります。市場が悲観に陥る局面こそ、これまで「真の不対称リスク」が潜んでいたことを、歴史が何度も証明してきました。投資を検討するなら、ただの価格追随ではなく、仕組みと長期的視野を考慮することが重要だと言えるでしょう。