【要約】
・Hyperliquidの“50倍レバレッジクジラ”が合計1000BTCのショートを継続
・マイナーの売り圧力が2024年以来の低水準に
・中米貿易協議が「実質的な進展」を発表し、市場は慎重な楽観ムード
・ビットコイン10万ドルに向けた機関投資家や政府保有量が8%超に
・イーサリアムの時価総額がアリババを上回り、世界39位に浮上
・Strategy社が13,390BTCを追加購入し、総保有量が568,840BTCに到達
はじめに:ビットコイン10万ドルへの注目度
暗号資産市場では「ビットコイン10万ドル」というキーフレーズが大きな焦点となっています。実際に、レバレッジを用いた大口取引から政府・機関投資家による大量保有まで、複数のトレンドが複雑に絡み合い、価格のさらなる上昇やリスクが議論される状況です。本記事では、最新動向を整理しながら、ビットコイン10万ドル突破のシナリオに影響を与える要素を詳しく見ていきます。
Hyperliquid 50xクジラのBTC空売り動向
5月12日の情報によると、暗号資産取引所Hyperliquidで“50倍レバレッジ”を用いる大口投資家(通称“50xクジラ”)がビットコイン(BTC)の空売りポジションを追加で積み増ししました。合計1000BTC、評価額約1.048億ドル(約104.8億円)規模のポジションで、開設価格は1BTCあたり104,427ドル、清算価格は106,200ドルと報告されています。
さらに、クジラはLDO(Lido DAO)のショートを一時的にクローズして79.5万USDCをHyperliquidに入金し、BTCショートの証拠金として活用。価格が10万ドル台に突入してからも下落を狙っている点は、市場心理に不確実性を与えています。一方で、これほどの高レバレッジショートが成立している背景には、高い流動性と機関投資家の参入による取引量の増加があるとも言えます。
マイナーの売り圧力が2024年以来の最低水準:ビットコイン10万ドルへの期待
ビットコインマイナーの「売り圧力」が、2024年以降で最も低い水準に達しているとのデータが示唆されています。Alphractalによる「30日内のマイナー流出量とマイナー保有量の比率」を見ると、過去には採掘報酬をすぐ売却し運営コストに充当するケースが多かったのに対し、現在はビットコインを長期保有する動きが顕著です。
この背景には、すでにビットコインが10万ドル近辺で推移する中で、さらなる価格上昇を見込みやすい市況があると考えられています。また、上場企業による大規模マイニング事業への参入が進み、低効率の小規模マイナーが淘汰されたことで、過度な売りが集中しにくい構造へと変化した点も指摘されています。
中米貿易協議の進展:市場への慎重な楽観
5月11日、米国財務長官と通商代表が「中米貿易交渉で実質的な進展があった」と共同声明を出しました。農産品やハイテク製品への関税免除、知的財産権保護などに関する原則的合意が得られたとされるものの、具体的な内容は未公開のため、市場は楽観ムードと不透明感が混在しています。
特に注目されるのは、関税措置の緩和がインフレ率の低下に寄与する可能性です。米国の金融政策が今後利下げ方向に動きやすくなるならば、リスク資産であるビットコインの価格には追い風となるでしょう。一方で、ハイテク分野など根深い政策対立が残っているため、交渉の頓挫リスクが再度意識されれば、市場が急落するリスクもゼロではありません。
ビットコイン機関保有率8%超:新たな富の象徴か、それとも集中リスクか
最新の統計では、ビットコインの流通総供給量の8%以上が政府や機関投資家によって保有されていることが明らかになりました。ETF(上場投資信託)や企業財務に組み込まれたBTC、さらには一部の政府による“デジタル準備資産”としての保有が増加している状況です。
これはビットコインの“合法性”を高める半面、ネットワークの分散性を損なう懸念も孕んでいます。大量保有主体が資金繰りや政策上の理由でまとめて売りに回った場合、市場が急変動する恐れがあります。また、トークンがコールドウォレットや長期保管としてロックされるケースが増えると、流動性が減少しボラティリティが上昇しやすくなるとも指摘されています。
イーサリアムの時価総額がアリババ超え、世界39位に浮上
暗号資産の時価総額ランキングで、イーサリアム(ETH)がアリババの時価総額を上回り、世界の主要アセット順位で39位に位置していることが確認されました。5月12日時点でイーサリアムの時価総額は約3,042億ドル、対するアリババは約3,037億ドル。
イーサリアムはDeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)などのエコシステム拡大を背景に、ビットコインとはまた異なる需要を獲得してきました。アリババのような伝統的大企業を時価総額で上回ることは、暗号資産の存在感がいっそう高まっている証左とも言えます。
Strategy社の13,390BTC追加購入とセイラー氏の見解
米国の上場企業Strategy社は、5月5日から11日にかけて平均約99,856ドルで合計13,390BTCを購入したことをSEC提出の8-K書類で開示しました。総額は13.4億ドル(約1,340億円)に上り、同社のビットコイン保有量は計568,840BTCとなっています。
累計購入額は394.1億ドルで、平均購入価格は約69,287ドル。代表的なビットコイン支持者として知られる同社重役マイケル・セイラー氏は「2025年から現在までで15.5%のビットコイン投資リターンを実現できている」とのコメントを発表し、自社の積極的な購入戦略が奏功しているとの見方を示しました。
ニュースの解説
今回の各ニュースから浮かび上がるポイントは、大口ショートやマイナー動向、中米協議の進展、そして機関投資家の保有拡大など、さまざまな要素が同時進行でビットコイン10万ドル付近の攻防を形作っている点です。
一方、イーサリアムも大企業の時価総額を凌駕する水準に到達し、暗号資産全体に対する投資家の注目度と資金流入が持続的に高まっていることがわかります。企業によるビットコイン大量取得は市場への信任を示す反面、保有集中のリスクや規制・経済政策の動向によって価格が大きく揺さぶられる可能性も否定できません。これらの動きを適切に把握し、市場の流動性と分散性とのバランスを見極めることが、今後ますます重要になっていくでしょう。