ビットコイン、クジラ動向と8月末相場

▽ 要約

クジラ 24,000BTC売りで週末急落、11万1,000ドル割れ
オンチェーン 長期保有の蓄積は高水準で供給逼迫を示唆
セキュリティ エルサルバドルが6,000BTC超を14口座へ分散
マクロ 米M2は22兆ドル台へ再拡大、希少性の対比が鮮明

24,000BTCの売りで急落した直近相場を皮切りに、国家・機関の採用進展やマクロ資金環境まで材料が交錯しています。結論は、短期はボラ高止まり、長期は蓄積と採用で需給は強い――という構図です。本稿は「ビットコイン クジラ動向 2025年8月」を一次情報で検証し、投資判断に資する要点を解説します。

クジラ売買と価格インパクト

薄商いの週末に大口売りが集中したため、瞬間的な板薄とロスカット連鎖で急落が拡大した。
週末に24,000BTC規模の売り抜けが発生し、BTCは一時11万1,000ドルを割り込んで清算が拡大、月内高値圏からの反落で市場心理は悪化した。一方で、ETHなど他資産への資金回転も観測され、短期資金の循環が価格の振れを増幅した。

24,000BTC売りの輪郭

単一主体の大口売却が板の薄い時間帯に重なったため、短時間での下落幅が増幅した。
当該主体は保有残の大半を短時間で処分し、週明けまで断続的な売り継続が指摘された。規模の大きさに比べ市場の受け皿が限られたことが、滑落的な値動きとレバレッジ清算の連鎖を招いた。

後続フローと投資家の警戒

売りの追随と追加移動が観測されたため、週末再発への警戒がくすぶった。
オンチェーン監視ではその後も関連移動が確認され、市場は「週末・薄商い・一極集中」という条件反射的なボラ拡大を意識。短期筋はポジション縮小やヘッジ強化に傾斜し、反発局面でも上値は重くなりやすい。

押し目参加と需給の底堅さ

長期志向の現物買いは急落局面で厚みを増すため、下値での吸収力が働いた。
長期保有者の供給は今年過去最高水準に達し、急落時に現物の押し目買いが機能。構造的な供給の硬さが、急落後のボトム形成を早める要因になりうる。

関連:米ETFの需給逼迫と9月利下げ観測が重なり、BTC市場は追い風が続く見通し。

オンチェーン蓄積と季節性

長期保有の蓄積が進む一方、9月は統計的に弱含みやすいため、短期の値動きは荒れやすい。
長期保有者(LTH)の保有量は2025年中に史上最高圏へ達し、循環供給は絞られている。他方、季節性では9月は平均的にマイナスになりやすい「最弱月」とされ、短期はボラ警戒が必要だ。

LTH(長期保有)供給の高止まり

売りよりも蓄積が優勢な局面が続いたため、流通供給はじわり低下した。
長期保有コインの比率上昇は、日々の売り圧を和らげる効果を持つ。上昇前に蓄積フェーズが拡大する現象は歴史的にも確認され、需給の土台を固めやすい。

「Red September」の統計

過去データでは9月が平均マイナスの月であるため、戻り売り圧力が意識される。
9月は平均でマイナス収益となる年が多く、短期の戻りを打ち消しやすい。もっとも、下げ止まり後にQ4へ反発する年も多く、下落=弱気相場入りと短絡しない視点が要る。

採用拡大と大型プレイヤーの動向

国家・大学・上場企業・富裕層までユースケースが広がったため、制度マネーの関与が段階的に進む。
エルサルバドルは準備金の分散保管でガバナンス改善を図り、香港大学は受入準備を公表。米Strategyは社名変更後も指数入り観測が続き、富裕層では米億万長者が不動産のBTCオンリー決済を提示した。

エルサルバドルの分散保管

単一アドレスからの分散により、鍵侵害時の影響半径を限定できるため、国家準備リスクが低減する。
政府は最大500BTC/アドレスの設計を採用し、透明性のためのダッシュボードも提示。量子計算機リスクへの先手対応という位置づけで、専門家からも実務的と評価された。

香港大学(HKU)の受け入れ準備

学費・寄付への暗号資産対応が進むため、教育分野でのユースケースが拡張する。
同大学ビジネススクールの学部長は、技術的準備が整ったと表明。香港の仮想資産政策と連動し、公的教育機関での決済採用の象徴例となる可能性がある。

Strategy(旧MicroStrategy)と指数採用

企業のBTC保有が時価総額と流動性を押し上げるため、指数採用観測が常在化している。
同社は8月に法的社名を「Strategy Inc」に変更。一方、8月のS&P500入替はInteractive Brokersが採用され、同社は見送りとなったが、受動資金の構造的需要という論点は市場に残る。

富裕層と大口決済

高額不動産でのBTCオンリー決済の提示により、資産家レベルでの保有動機が顕在化した。
米フロリダ州マイアミの約4,300万ドル物件が「400BTCのみ」での売却条件を提示。現金排除の異例条件は、富裕層による長期的保有・積増し意欲を映す。

専門家見解とマクロ資金環境

強気派は採用拡大と通貨供給の再膨張を根拠に上値余地を主張し、長期希少性が相対的に強まる。
著名関係者は20万〜100万ドル超の長期観測を示し、運用会社は年末18万ドル目標や2050年数百万ドルシナリオを提示。米M2は過去最高圏へ戻り、法定通貨の供給拡大とBTCの固定供給の対比が鮮明だ。

業界キーパーソンの見解

採用拡大と法定通貨の信認低下を背景に、長期の上値余地を強調する見方が根強い。
複数の著名人は、今年〜来年のレンジ上限更新と、長期の桁違いの上値余地を指摘。国家・企業・ETF経由の需要増が、価格弾力性を高めるという整理だ。

マネーサプライとリスク資産

米M2が22兆ドル台に乗せたため、リスク資産への資金環境が改善する一方、インフレ再燃の不確実性も残る。
流動性再拡大は価格上昇圧力となる半面、将来の物価圧力にも通じる。希少資産の相対価値という観点でBTCの位置づけは強まりやすい。

▽ FAQ

Q. 週末のフラッシュクラッシュの規模は?
A. 24,000BTC売却でBTCは一時11万1,000ドル割れ、清算は数億ドル規模に達したと報じられています。

Q. エルサルバドルの分散保管は具体的に?
A. 約6,000BTC超を14ウォレットへ分散、各500BTC上限方式で量子リスクを抑制し公開ダッシュボードを導入。

Q. StrategyはS&P500に採用された?
A. 8月28日付の入替はInteractive Brokersが採用、Strategyは未採用。社名は8月に法的に変更済み。

Q. 香港大学は本当にBTC決済を受け付ける?
A. 学部長が「技術準備は完了」と表明し、将来的に学費・寄付での受入れ方針を示しました。

Q. 米M2の現状とBTCへの示唆は?
A. 5月21.94兆ドル、7月22.1兆ドル台と過去最高圏で、固定供給のBTCとの対比で希少性が意識されます。

■ ニュース解説

8月末は24,000BTC売りで急落した一方、エルサルバドルの分散保管やHKUの受入準備など採用も進んだため、短期はボラ高止まりだが長期需給は引き締まった。
投資家の視点:短期は週末・薄商いの流動性低下とレバレッジ清算に警戒し、現物・先物・オプションのサイズ管理とヘッジを徹底。中長期はLTH蓄積・ETFフロー・採用ニュースを優先指標とし、段階的な買付や押し目戦略を検討するのが一般的です。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:S&P Dow Jones Indices,Strategy Inc,Federal Reserve (FRED),The Bitcoin Office