ビットコイントレジャリーTOP100:12月版(12/6)

▽ 要約

Top100合計1,059,453BTCで公開企業全体1,062,021BTCにほぼ一致
上位10社890,333BTCで発行上限の約4.24%、Top100は約5.0%
Metaplanetなど日本企業6社で36,156BTCと存在感を維持
前月比+7,713BTCとペースは減速するも戦略的な買い増し継続

ビットコイントレジャリーTOP100は2025-12-06時点で合計1,059,453BTCとなり、上位10社890,333BTC(約4.24%)と日本企業6社の存在感が需給分析の鍵となる。

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「企業はいま、どれだけビットコインを持っているのか」。価格が急落と反発を繰り返すなか、トレジャリーポジションの推移を定点観測したい投資家は少なくない。本稿では、2025-12-06時点のビットコイントレジャリーTOP100合計1,059,453BTCと上位10社の集中度、日本企業6社の位置付けを整理し、株式・現物・ETFを組み合わせるうえでの前提情報を解説する。

2025-12-06版Top100の全体像

2025-12-06 10:00 JSTスナップではTop100合計1,059,453BTC、公開企業全体1,062,021BTCと、上位100社だけで公開企業によるビットコイン保有の約99.8%を占める高い集中度が確認できる。

Top100合計1,059,453BTCは、ビットコイン発行上限2,100万BTCの約5.0%に相当する水準であり、そのうち上位10社だけで890,333BTCとTop100の約84%を占める。
上位は1位Strategy(旧MicroStrategy)が650,000BTC、2位MARA Holdingsが53,250BTC、3位XXIが43,514BTC、4位Metaplanetが30,823BTC、5位Bitcoin Standard Treasury Companyが30,021BTCと続き、「トレジャリー専業」銘柄とマイニング企業、上場企業の一部が上位を占める構図は変わっていない。

Top10の比率だけを見ると、発行上限に対して約4.24%で、ETFや政府保有分を含めた「市場に出回らないBTC」の厚みを考えるうえで無視できない規模となっている。さらにBitcoinTreasuriesが集計する公開企業・非公開企業・政府・ETF・取引所・その他を合算したトレジャリー残高は4,006,228BTC前後とされており、全体の約2割近くが何らかの長期保有主体に固定されつつある。

Top100企業ランキング一覧

最新データに基づくRank・企業名・ティッカー・BTC保有数量は以下の通りであり、企業名および数量はBitcoinTreasuriesの表記に従う。

2025-12-06時点 Top 100 Public Bitcoin Treasury Companies(BTC保有量順)

RankCompanyTickerBTC
1StrategyMSTR650,000
2MARA Holdings, Inc.MARA53,250
3XXICEP43,514
4Metaplanet Inc.MTPLF30,823
5Bitcoin Standard Treasury CompanyCEPO30,021
6BullishBLSH24,300
7Riot Platforms, Inc.RIOT19,324
8Coinbase Global, Inc.COIN14,548
9CleanSpark, Inc.CLSK13,011
10Trump Media & Technology Group Corp.DJT11,542
11Tesla, Inc.TSLA11,509
12Hut 8 Mining CorpHUT10,343
13Block, Inc.XYZ8,780
14StriveASST7,525
15GD Culture GroupGDC7,500
16Cango IncCANG7,033
17Galaxy Digital Holdings LtdGLXY6,894
18Next Technology Holding Inc.NXTT5,833
19KindlyMD, Inc.NAKA5,398
20Semler ScientificSMLR5,048
21ProCap BTCCCCM4,951
22GameStop Corp.GME4,710
23American Bitcoin CorpABTC4,367
24Boyaa Interactive International Limited04344,091
25Empery DigitalEMPD4,081
26Gemini Space Station IncGEMI4,002
27OranjeBTCOBTC33,720
28Bitcoin Group SEADE3,605
29Capital BALCPB2,823
30The Smarter Web Company PLCSWC2,664
31DeFi TechnologiesDEFI2,452
32Microcloud HologramHOLO2,353
33Sequans Communications S.A.SQNS2,264
34HIVE Digital TechnologiesHIVE2,201
35Bitdeer Technologies GroupBTDR2,141
36Exodus Movement, IncEXOD2,123
37Core ScientificCORZ2,116
38BITFUFUFUFU1,959
39NEXON Co., Ltd.36591,717
40Canaan Inc.CAN1,582
41Fold Holdings Inc.FLD1,526
42Cipher MiningCIFR1,500
43Remixpoint38251,411
44DDC Enterprise LimitedDDC1,183
45Bitfarms Ltd.BITF1,166
46Satsuma TechnologySATS1,149
47Anap Holdings Inc.31891,146
48Treasury$TRSR1,111
49H100 GroupH1001,046
50ZOOZ PowerZOOZ1,036
51KULR Technology GroupKULR1,021
52Nano LabsNA1,000
53USBC, Inc.USBC1,000
54Ming Shing GroupMSW833
55AirNet Technology IncANTE819
56SOS LimitedSOS803
57Bitcoin Treasury CorpBTCT771
58Figma IncFIG767
59Convano Inc6574763
60Aker ASAAKER754
61MéliuzCASH3605
62MercadoLibre, Inc.MELI570
63bitmax377030551
64Alliance Resource Partners, L.P.ARLP541
65Samara Asset GroupSRAG540
66Phoenix Group PLCPHX514
67DigitalXDCC502
68PreneticsPRE502
69CIMG IncIMG500
703U Holding AGUUU427
71Hyperscale DataGPUS422
72Bit Digital, Inc.BTBT418
73Neptune Digital AssetsNDA410
74Virtu Financial, Inc.VIRT410
75Net Holding A.S.NTHOL352
76Consensus Mining & Seigniorage CorporationCMSG340
77DMG Blockchain Solutions Inc.DMGI324
78LM Funding AmericaLMFA305
79POP Culture Group Co., Ltd.CPOP300
80S-Science5721296
81The9 LimitedNCTY285
82Bitplanet Inc049470.KQ265
83LQWD Technologies Corp.LQWD253
84Coinshares International LimitedCS236
85WEMADE112040223
86Rumble Inc.RUM211
87BitMineBMNR192
88Bitcoin Treasury CapitalBTCB187
89CoinsiliumCOIN182
90Genius GroupGNS180
91Matador Technologies IncMATA175
92The Brooker GroupBTC165
93FRMO Corp.FRMO159
94B HODLHODL157
95Parataxis Korea288330150
96Sixty-Six Capital IncSIX149
97K33 ABK33141
98Vaultz CapitalV3TC135
99Horizon Kinetics Holding CorpHKHC132
100(Top100外・参考)Mac House7603125

※Mac House(7603、125BTC)はBitcoinTreasuries上ではTop100外に位置しているが、日本株としての参考値として併記した。

関連:ビットコイントレジャリーTOP100:11月版(11/1)

前月からの増減と構成変化

Top100合計は前月1,051,740BTCから1,059,453BTCへと+7,713BTC増加し、10月時点(1,037,359BTC)からの累計増加は+22,094BTCと三カ月連続で拡大しているが、月次増加ペースはやや鈍化している。

Top10ベースでも11月の884,562BTCから890,333BTCへ+5,771BTCの増加となり、その7割近くをStrategyによる買い増し(+約9,000BTC)が占めたとBitcoinTreasuriesのブログは分析している。
一方でSequansやKindlyMD、Bitdeerなど一部銘柄は保有BTCを減らしており、11月の企業トレジャリー追加は総額12,600BTC超であったものの、売却分を差し引いたネット増加は10,720BTCと、2025年に入って最も低い水準にとどまった。

構成面では、11月時点でTop100入りしていたAdvanced Bitcoin Technologies AG(ABT)がランク外となり、新たにMatador Technologies Inc(MATA、175BTC)が92位に登場したほか、Hyperscale Data(GPUS)は150BTCから422BTCへ大幅に買い増して72位まで浮上している。
100位圏では、Vanadi Coffee, SA(VANA)がTop100から外れる一方、Mac House(7603、125BTC)が上位に迫るなど、ボーダー付近の入れ替わりも徐々に進んでいる。

1,000BTC以上を保有する企業数は引き続き53社で変わらず、絶対量は増えているものの「大口保有企業」の裾野は広がっていない点も特徴的である。

日本関連の位置付け(12/6)

日本企業はMetaplanet(30,823BTC)を筆頭に、NEXON(1,717BTC)、Remixpoint(1,411BTC)、Anap Holdings(1,146BTC)、Convano(763BTC)、S-Science(296BTC)の6社がTop100入りしており、合計36,156BTCでTop100全体の約3.4%を占める。

Metaplanetは4位という順位こそ変わらないものの、国内上場企業として最大級のビットコイントレジャリーを維持しており、日本株の中でも「BTCエクスポージャー銘柄」としての性格が明確になりつつある。
一方で、10月時点では100位にランクインしていたVanadi Coffee, SA(119BTC)はTop100から外れ、代わりにMatador TechnologiesやMac Houseといった小型株・小規模企業の存在感が相対的に高まっている。

日本企業の多くは、IR上も「投機」ではなく長期保有方針やバランスシート多様化を掲げており、それが結果的にTop100内でのポジション安定にもつながっている。一方で、時価総額や流動性の面では、米国のトレジャリー銘柄に比べるとボラティリティが高くなりやすい点には留意が必要である。

背景:ビットコイントレジャリー拡大の文脈

企業によるビットコイントレジャリーは、インフレヘッジやデジタル資産への戦略的エクスポージャー、そしてIR・話題性の確保など複合的な目的で拡大してきたが、2025年は価格調整と規制環境の変化を背景に「成長ドライバーからバランスシート管理ツール」へと性格が移りつつある。

先行例であるStrategyは、当初は転換社債やATMプログラムを活用した積極的な買い増し戦略で注目を集めたが、2025年には株主価値とインデックス組み入れ維持の両立に向けて資本政策の見直しを進めている。
こうした動きは、他のトレジャリー銘柄にも「単純な買い増し競争」から「資本効率を意識したビットコイン活用」へと戦略をシフトさせる圧力となっている。

また、BitcoinTreasuriesやbitboなどのデータプロバイダーが公開・民間企業、ETF、政府保有などを横断して可視化を進めたことで、投資家が「どのレイヤーの主体がどれだけビットコインを抱えているか」を把握しやすくなり、個別株やETFへの投資判断にもトレジャリーデータが組み込まれ始めている。

市場への影響

Top100が発行上限の約5.0%、ETF・取引所・政府・民間企業などを含めたトレジャリー全体が4,006,228BTC前後と推計される水準まで拡大していることは、スポット市場の売買可能なフリーフロートが着実に減少していることを意味する一方で、集中度の高さがボラティリティを増幅させる可能性も示唆している。

2025年11月の企業トレジャリー増加がネット10,720BTCと年初来最低ペースにとどまったことは、「ディップでの大量買い」という2020〜2021年型のパターンがやや後退し、ETFやデリバティブを含む全体ポジションを勘案した慎重なスタンスが主流になっていることを映し出している。
一方で、ビットコイン価格が急落した局面では、トレジャリー銘柄やマイナー株の売り圧力が現物市場のセンチメントを一段と悪化させる「負のループ」が指摘されており、とくにレバレッジを多用する企業やマージンコールリスクを抱える主体の動向には注意が必要とされる。

短期的には、上位トレジャリー銘柄の株価急落やロックアップ解除に伴う売り圧力が、ビットコイン市場全体のリスクオフと重なってニュースとなるケースも増えている。American Bitcoin Corp(ABTC)のロックアップ解除後の急落や、関連報道を背景とした株価乱高下は、その代表例と言える。

論点とリスク

企業が多額のビットコインを保有することについては、インフレヘッジや「ビットコインβ」獲得の観点から肯定的な評価がある一方で、決算ボラティリティの増大や会計処理の複雑化、インデックスからの除外リスクなど、株主価値の観点での懸念も根強い。

データ面では、BitcoinTreasuriesを含む各種アグリゲータが可能な限り一次情報に基づき集計しているものの、開示のタイムラグや自社保有と顧客預りの区別、ドル建て開示額からの逆算など、一定の推計を含む点は避けられない。12月時点でTrump Mediaの保有BTC推計が大きく下方修正された事例は、こうした推計の不確実性を象徴している。

また、トレジャリー銘柄の一部は時価総額やフリーフロートが小さく、株価がビットコイン価格だけでなく個別のファイナンスイベントや規制報道に大きく左右される傾向がある。結果として「ビットコインエクスポージャーのレバレッジ版」として過度に利用された場合には、投資家の損失拡大につながるリスクも無視できない。

今後の注目点

今後数カ月のポイントとしては、
①StrategyやMetaplanetなど上位銘柄による追加取得の有無、
②Hyperscale Dataなど新興プレーヤーの台頭、
③企業全体での月次ネットフローの動向、
④ETFや政府保有残高との相対関係、の4点が挙げられる。

BitcoinTreasuriesの最新ブログによれば、11月の買い増しペース減速は「単なる弱気相場の結果」というより、ValuationやmNAV、借入コストを踏まえた戦略的な調整の側面が大きいとされる。今後、ビットコイン価格が再び高値圏に戻る局面では、トレジャリー増加が鈍化する一方で、一部企業の利確・リバランスが売り圧力として顕在化する可能性もある。

日本については、Metaplanetを中心とした6社の動向に加え、Mac Houseのように100位圏外から徐々に残高を積み上げる小型銘柄がどの程度増えるかが、国内株式市場における「ビットコインβ銘柄」の裾野拡大を占う指標になり得る。

▽ FAQ

Q. 2025-12-06時点のビットコイントレジャリーTop100合計は?
A. Top100合計は1,059,453BTCで、公開企業全体1,062,021BTCのほぼ全量を占めると集計されている。

Q. 上位10社が保有するBTC量と集中度は?
A. 上位10社合計は890,333BTCでTop100の約84%、ビットコイン発行上限の約4.24%に相当すると推計される。

Q. 日本企業はTop100内でどの程度のシェアを持つか?
A. MetaplanetやNEXONなど6社合計で36,156BTCを保有し、Top100全体の約3.4%を占める水準となっている。

Q. 1,000BTC以上を保有する企業数と特徴は?
A. 1,000BTC以上の保有企業は53社で、マイニング関連や取引所、トレジャリー特化型企業が大半を占めている。

Q. 企業以外を含むトレジャリー全体の規模は?
A. 公開企業・非公開企業・政府・ETF・取引所など合算で4,006,228BTC前後と推計され、およそ発行上限の2割弱に達している。

■ ニュース解説

企業トレジャリーによるビットコイン保有は、2025-12-06時点でTop100合計1,059,453BTC、公開企業全体1,062,021BTCと高い集中度を維持しているため、価格下落局面では株価と現物市場の双方にショックを与え得る一方で、長期的な供給制約要因としても機能している。BitcoinTreasuriesの月次データを見ると、2025年11月はネット10,720BTCと増加ペースが鈍化しており、単純な「買い増し競争」という段階から、資本効率やインデックス組み入れ、株主構成を踏まえた戦略的なトレジャリー運営が重視されるフェーズに入りつつあることがうかがえる。

投資家の視点:企業トレジャリーは、ビットコインへのエクスポージャーを株式やETF経由で取得する際の重要な前提情報となるが、データは推計を含み、開示タイミングにもラグがある。また、上位トレジャリー銘柄の株価はビットコイン価格に対してレバレッジ的に動くことが多く、短期トレードではボラティリティ、長期保有では資本政策や規制・会計ルールの変化といった非価格要因にも注意が必要である。個別銘柄・ETF・現物を組み合わせる際には、トレジャリーデータを「前提条件の一つ」として位置付けつつ、ポートフォリオ全体のリスク管理に重点を置くことが重要と言える。

※本稿は一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

(参考:BitcoinTreasuries