▽ 要約
ビットコイン準備法|Bo Hinesが2025年内成立に自信。
SBR創設|3/6大統領令を法律化するS.954/H.R.2032が審議中。
予算に中立|押収資産活用で追加取得を模索、残高150~200億ドル。
FRBと価格|ジャクソンホール後にBTCは11.2万→11.65万ドル。
米政府が「ビットコイン準備法」で戦略的ビットコイン準備(SBR)を法制化する動きが加速し、Bo Hinesは年内成立に自信を示したため、FRBの緩和シグナルと相まってBTC需給の制度的追い風が強まっている。ビットコイン準備法 2025の論点を一次情報に基づき解説する。
ビットコイン準備法の骨子とBo Hines発言
SBRを法で恒久化し取得権限とガバナンスを明記するため、政権は「予算に中立」な蓄積経路を前提に年内成立を目指す。
戦略的ビットコイン準備(SBR)は2025年3月の大統領令で創設され、押収BTCを長期保有資産とし売却しない方針が示された。Bo Hinesは「第二の柱」としてBITCOIN法の年内成立に強い自信を表明し、デヴィッド・サックス率いるホワイトハウスと議会の連携を示唆した。
法案テキストとSBRの位置づけ
SBRを連邦法に組み込むBITCOIN法(上院S.954、下院H.R.2032)が2025年3月に提出され、SBRの管理、開示、追加取得の枠組みを定める。
大統領令は「押収BTCは売らず準備資産として保有」「財務・商務が納税者負担ゼロで追加取得手段を検討」と規定し、法案はこれを明文化・拡大する方向だ。
「予算に中立」の現実性
Bessent財務長官はSBR残高を150~200億ドル相当とし、押収資産の活用を基本にしつつ「予算に中立」な追加取得の経路を模索している。
一時は「政府は買わない」との発言で相場が反応したが、後に「手段の検討は継続」と補足され、関係省庁は評価益や他資産の見直し、関税収入などの活用を含むオプションを議論している。
立法スケジュールと成立確度(2025年)
上院銀行委・下院対応委での審査が進むため、年末までの採決機会は複数回あり、上院可決後に下院与党が結束できるかが焦点となる。
S.954/H.R.2032は提出済みで委員会審議段階にあるが、Bo Hinesは「年内に十分間に合う」と発言。ホワイトハウスはGENIUS法成立に続く包括パッケージの一部としてBITCOIN法を位置づけ、サックス補佐官が議会折衝を主導している。
上院S.954と下院H.R.2032の進捗
上院案は3月11日に正式提出され、SBRの会計・開示標準、取得手段、統治体制を規定。下院は同趣旨のH.R.2032を審議中だ。
成立には通常手続での委員会マークアップ、院内採決、両院協議が必要で、GENIUS法成立で整った与党内の「暗号資産前向き連立」を再結集できるかがカギとなる。
成立の鍵—下院採決と党内調整
上院先行の流れでも、最終局面では下院多数派の足並みが決定的となるため、財源「中立」設計や監督当局の役割分担で党内調整が不可欠だ。
財務省はSBR売却停止を明言し市場安心感を醸成する一方、追加取得の是非はマクロ状況と政治日程の影響を受ける見込みである。
FRBの政策転換とBTCの短期反応
利下げ期待の高まりはリスク選好を回復させるため、BTCには追い風となる一方、インフレ再燃で期待が後退すれば逆風が強まる。
7月FOMCではWaller・Bowman両理事が利下げを主張し、パウエル議長もジャクソンホール講演で9月利下げの可能性を示唆。発言直後、BTCは日中安値約11.2万ドルから11.65万ドル超へ反発し、MSTRやCOINなど関連株も連れ高となった。
ジャクソンホール後の足取り
市場は「予想よりハト派」と受け止め、9月利下げ観測が上昇する中でBTCと主要アルトが急伸した。
ただし直前にはインフレ指標や当局発言で利下げ期待が揺らぎ、BTCが心理的節目を割り込む調整局面もあり、短期はマクロヘッドラインに左右されやすい。
利下げ後退時の調整メカニズム
高金利・QT継続は流動性を絞りリスク資産の需給に重くのしかかるため、BTCも短期的な売り圧力を受ける。
一方、制度化と機関投資家の比重上昇により、過去に比べてボラティリティの質が変化し、下げに対する相対的耐性を指摘する声も強い。
次期FRB議長候補と暗号資産観
人事は金利パスと規制姿勢を通じて暗号資産市場に波及するため、候補者の政策観を把握する必要がある。
Bessent財務長官は「11名の極めて有力な候補」を挙げ、労働節明けから順次面接し秋に発表と述べた。予測市場ではChristopher Wallerが有力視され、Kevin Hassett、Kevin Warsh、Michelle Bowman、James Bullardらの名も取り沙汰されている。
Christopher Waller—利下げ容認・CBDCに慎重
7月会合で利下げを主張したハト派寄りで、民間イノベーションには理解を示す一方、CBDCには懐疑的とされる。
BTCを通貨より価値貯蔵として評価する発言歴があり、規制の明確化には前向きと見られる。
Kevin Hassett—低金利志向・暗号資産に肯定的
成長重視の立場から政策金利の引下げに前向きとされ、政権の「暗号資産ハブ化」路線に整合的な産業育成型の規制を支持する公算が大きい。
Kevin Warsh—CBDC推進・伝統金融と橋渡し
元FRB理事でCBDC導入論者。BTCの決済通貨性には慎重だが価値貯蔵性は評価し、ブロックチェーンの制度化には前向きだ。
Michelle Bowman—銀行業のデジタル化を促す
中小金融機関の視点から、安定コインや分散台帳の活用に肯定的で、銀行業界の暗号資産アクセス拡大を訴える立場を明確にしている。
規制明確化と需給(ETF)の強気シナリオ
安定コイン規制の確立とデジタル資産の法的位置づけの明確化は、機関投資家の参入障壁を下げ、ETF経由の資金流入を強化した。
7月に米初の包括的ステーブルコイン法(GENIUS法)が成立、下院はCLARITY法を可決し上院審議中。7月にはBTC関連ETFに2日で22億ドルの資金流入が観測され、BTCは一時12.2万ドル超で過去最高を更新、時価総額は2.4兆ドルでAmazon超えの局面もあった。スタンダードチャータードはQ3末13.5万ドル、年末20万ドルの到達を予想する。
留意すべきリスク
インフレ再燃による利下げ遅延、エネルギー規制の強化、他資産(ETH/XRP/CBDC等)との資金分散、ETFフローの反転などが短期の下押し要因となる。
とはいえ、売却停止と法制化で政策の先行きが読みやすくなるほど、BTCの“デジタル金”としての需要は制度投資家側で拡大しやすい。
▽ FAQ
Q. ビットコイン準備法の正式名称と番号は?
A. BITCOIN法で上院S.954/下院H.R.2032(2025-03-11提出)。SBRの取得権限・ガバナンスを法制化します。
Q. SBRの残高は?
A. Bessent財務長官が2025-08に150~200億ドル相当と説明。売却停止方針も繰り返し明言されています。
Q. Bo Hinesは何を述べた?
A. 「2025年に画期的な2法案が成立、BITCOIN法は年内」とCoinDeskで強調。GENIUS法にも関与しました。
Q. FRBの最新の転換点は?
A. 7月会合でWaller・Bowmanが利下げを主張し、8月ジャクソンホールで議長が9月利下げの可能性に言及。
Q. 価格反応の具体例は?
A. 講演当日、BTCは11.2万ドルから11.65万ドル超へ上昇。MSTRやCOINなど関連株も上げました。
■ ニュース解説
SBR売却停止と法案提出が進んだため制度的な需給の下支えが生まれた一方で、FRBの利下げ時期を巡る不確実性が短期ボラティリティを高めている。
投資家の視点:法制化・ETF・機関フローの三位一体が強気の基礎で、押し目はマクロ指標と政策イベントで管理するのが一般的です。規制文言(取得手段・開示)とFRB会合の両睨みが有効でしょう。
※本稿は投資助言ではありません。
(参考:The White House,Federal Register,Congress.gov)