▽ 要約
市況:BTCは$89,604近辺で戻りは鈍い。
デリバ:12/26の建玉が下方向ヘッジ偏重を示唆。
流動性:USDC流出と板の薄さで反発力は限定。
規制:英国は2027年FCA枠組み案を準備。
流動性が細る局面で、デリバティブのヘッジ需要と規制の具体化が相場の振れを左右しやすい。

ビットコイン オプションの建玉とプレミアムは、上昇期待と下落警戒の温度差を映します。12/26の行使集中が示す下値目安と、企業買い・規制動向を整理します。読むことで、材料が多い日に「どこを見ればよいか」を短時間で掴めるよう解説します。
市況総括
BTCは$89,604近辺で揉み合い、恐怖指数16と清算$267Mが短期の脆さを示した。
価格は8.7万〜9.3万ドルのレンジ観測が優勢だ。
BTCはチェーン上のコスト帯とされる$102,000〜$105,000を下回って推移し、買い戻しの勢いは強くない。日本銀行の0.75%利上げ観測など、マクロの金利材料が上値の重しになりやすい局面が続く。
センチメントは「極度の恐怖」水準で、レバレッジ調整が続いている。
2025-12-15 13:00 HKT時点で恐怖貪欲指数は16とされ、24時間の全体清算は$267M(約96,924人)だった。内訳はBTCが$102M、ETHが$56.55M、SOLが$12Mとされ、主要銘柄への影響が大きい。
フローは流入が残る一方、上昇を決定づけるほどではない。
ETFフローは2025-12-12時点でBTCが+$287M、ETHが+$209M、Solanaが+$33.6Mの純流入とされたが、現物の追随買いは限定的に見える。12.08〜12.14週はBTCが-2.47%(始値$90,402.30→終値$88,171.61)で、株式、とりわけナスダックとの同調が続いた。
デリバティブと流動性(オプションが示す防衛線)
12/26の建玉とプレミアムは、上向き投機より下方向ヘッジが高コストで積まれていることを示す。
ビットコイン オプションはコール19.2万に対し、資金はプット側が厚い。
2025-12-26の重要な行使日に向け、コールは19.2万、プットは7.42万と数量ではコール優位だが、投入資金は逆転している。プットの総額は$508M、コールは$71.25Mとされ、平均価格もコール約$370に対しプット約$6,800と大きな差がある。
行使価格の分布は、実務上の下値目安を与える。
コールは$100,000超に偏り「宝くじ型」の投機色が強い一方、プットは$85,000以下に集中した。プレミアム全体でもプットが$1.124B、コールが$0.373Bで、約75%の資金が下落・ヘッジ側に向いたと整理されている。最大痛点は$100,000とされ、売り手・買い手の綱引き水準になり得る。
板の薄さとステーブルコイン動向が、反発余地を制限する。
BinanceのBTC/USDT永続では、10月以降に板の厚みが以前の$200M超から$100M〜$200M程度へ低下し、需給の緩衝材が薄くなった。ステーブルコインでは、USDTの取引所準備金が2025-12-04に$60.4Bで過去最高とされる一方、USDCは11月末以降に$15B→約$9Bへ約40%減とされ、合規資金の後退と投機資金の待機という「分裂」を示唆する。
規制・政策アップデート
規制の具体化は進むが、資金フローと事業モデルの再編を同時に促す可能性がある。
英国は2027年から暗号資産をFCAの監督に組み込む方針だ。
英国財務省は2027年から暗号資産を金融行為監督機構(FCA)の規制枠組みに入れる計画を示し、政治献金への暗号資産利用を禁じる案も併記した。投資家保護と不正対策を掲げる一方、事業者にはコンプライアンスコストが上乗せされる。
米国ではデリバティブ担保としての利用拡大が動いた。
米CFTCはデジタル資産の試験運用を開始し、規制下のデリバティブ市場でBTC、ETH、USDCなどを担保に用いることを認める枠組みを示した。監視や報告の強化とセットで、CeFiとDeFiの接続点が増える可能性がある。
イベント面では、SECの金融規制とプライバシーを巡る議論が予定されている。
当局会合や主要マクロ指標(雇用統計など)は、薄い流動性の中でボラティリティを増幅させやすい。短期は「材料の強弱」だけでなく、ポジションの偏りを併せて確認したい。
法務・金融インフラ面では、周辺ニュースがリスクセンチメントを揺らす。
市場コメントとして、Bank of Americaが数年内の銀行オンチェーン移行を見込むとの見方や、Terraform Labs共同創業者Do Kwonが米国で15年の刑を受けたとの情報が共有された。
企業・資金調達・プロジェクト動向
企業の買いとプロジェクトの収益設計が、流動性低下局面でのリスク許容度を映す。
Strategyは12/08〜12/14に10,645 BTCを追加取得した。
同社は2025-12-15に、上記期間で10,645 BTCを約$980.30Mで購入し、平均購入価格は1BTCあたり$92,098だったと公表した。企業財庫の買いは下支え材料になり得る一方、短期ではマクロ要因で評価が揺れやすい。
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ETHではBitMineが約3.86M ETHを保有し、供給の5%を目標に掲げる。
BitMine(BMNR)の会長を務めるTom Leeは、RWAやステーブルコイン決済の基盤としてのETHの需要拡大を理由に挙げ、保有を総供給の約3.2%(約386万枚)まで積み上げたとされる。価格見通しは複数示されているが、投資判断では前提となる普及速度と規制環境の検証が欠かせない。
DeFiはAaveの手数料配分を巡り、DAOとLabsの境界が争点化した。
Aaveは2025-12-04にaave.comのデフォルト交換をParaSwapからCoWSwapへ移行し、15〜25bp程度の手数料の流れ先がDAO金庫ではなくAave Labs側のアドレスに向かうと指摘された。年換算で$10M超の逸失になり得るとの試算もあり、プロトコル価値の捕捉主体を巡る議論が先鋭化している。
投融資は複数案件が並行し、インフラと運用の両面で開発が続く。
TestMachineは$6.5M、YO Labsは$10Mの資金調達が報じられ、Halogen Capitalも約$3.2Mで資産トークン化領域の拡張を掲げた。資金調達は市場心理の鏡であり、ユースケースの実装度合いを見極めたい。
会議とオンチェーンでは「成熟」と「清算」が同時に進んだ。
Solana Breakpoint 2025(2025-12-11〜12-13、アブダビ)では、安定した収益源としてのステーブルコインや永続取引所への関心が目立つ一方、業界の熱狂は落ち着いたとの声も出た。並行して、巨鲸ポジションの含み損拡大(総額$40.21M)や、黄立成のETHロング600枚清算(損失$97,000)などが報じられ、薄い相場での急変リスクを再確認させた。
▽ FAQ
Q. 2025-12-26のBTCオプションで注目される水準は?
A. Putは$85,000以下に集中し、最大痛点は$100,000と整理されている。
Q. 直近のセンチメントと清算規模は?
A. 恐怖貪欲指数16で、24時間清算は$267M(96,924人)とされた。
Q. 英国の暗号資産規制はいつ始まる?
A. 英財務省は2027年からFCA枠組みで監督し、政治献金も禁止案を示した。
Q. Strategyの買い増し内容は?
A. Strategyは2025-12-08〜12-14に10,645 BTCを$980.30Mで取得、平均$92,098。
■ ニュース解説
流動性が細る局面では、ヘッジの価格と規制の方向性が先に動くため、スポット価格は遅れて追随しやすい。
一方で企業財庫の買い増しやL1の成熟は中長期の需要を支える材料になり得るが、短期は清算連鎖のリスクも残る。
投資家の視点:
①$85,000近辺の防衛線と12/26前後の建玉調整、
②USDCなど合規資金の出入り、
③規制(英FCA枠組み・米CFTC試行)が事業者収益に与える影響、の3点を分けて確認したい。
※本稿は一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
(参考:PANews)





