▽ 要約
・ ビットコイン四年周期の終焉:減半による供給ショックが小さくなり、従来の倍増‐暴落パターンが崩れつつある
・ 機関投資家の長期買い:短期の下落でも売らず、価格振幅を抑える要因に
・ CPI鈍化でリスク資産に追い風:5月米CPIが予想を下回り、市場は一時11万ドル目前まで上昇
・ 巨鯨のCoinbase流入:約3,165 BTCが短時間で移動し、利益確定・リバランスの思惑が浮上
・ 短中期テクニカル:日足は強気継続も、1時間足は高位圏で調整リスク
・ キーフレーズ:ビットコイン四年周期終焉/機関投資家/CPI鈍化/巨鯨移動
◆ ビットコイン四年周期の終焉とは
ビットコインはこれまで「約四年ごとに倍増し、その後急落しながら新高値を更新する」サイクルで語られてきました。しかしビットコイン四年周期終焉を示す論拠がそろいつつあります。最大の理由は減半による供給減がもはや価格を劇的に動かさない点です。初期には年間流通量が総供給の25 %を占めていたのに対し、2024年以降は0.8 %から0.4 %への縮小にとどまり、希少性インパクトは限定的になりました。
◆ グローバル流動性と機関投資家の台頭
流動性循環がビットコインと相関する構図自体は残っていますが、主導権は機関投資家へ移行しています。長期運用を志向する彼らは短期の価格調整で市場を離脱しにくく、場外取引(OTC)を通じた静かな買い増しがボラティリティを低減します。結果として、かつて散発的に見られたパニック売りが起こりにくい環境が整いつつあります。
◆ CPI鈍化が示したマクロ追い風
2025年5月の米CPIは総合年率2.4 %・月率0.1 %と市場予想を下回り、コアも同様に低調でした。インフレ鎮静はリスク資産には追い風となり、ビットコインは発表直後に11万ドル目前まで買われました。これは「金融引き締め長期化」懸念を一時的に緩和し、暗号資産にも資金が回帰した形です。
◆ 巨鯨のCoinbase流入と短期圧力
同日、ブロックチェーン解析サービスが巨鯨移動を検知。わずか2時間で計3,165 BTC(約3.47 億ドル相当)が複数アドレスから米取引所Coinbaseへ送金され、その一部は大手トレーディング企業Cumberlandのウォレット発でした。こうした大口移動は売却またはポートフォリオ調整の可能性が高く、現物主導の上昇に冷水を浴びせる格好となりました。実際、ビットコインは日中高値から108,600ドル台へ押し戻されています。
◆ テクニカル概観:中期強気、短期は高位警戒
日足ベースでは価格が“赤緑保護チャネル”上方で推移し、センチメント指標も回復傾向にあります。これは中期トレンドがなお強いことを示唆します。一方で1時間足では多空ライン上で推移しつつも、オシレーターは高止まりしており、トップダイバージェンス形成が迫っています。市場は108,720ドルの直近安値を試す可能性があるため、短期トレーダーはリスク管理が不可欠です。
◆長期成長モデルの変化
減半と流動性が織り成す「周期的爆発」から、より滑らかな対数線形成長への移行が進んでいます。ビットコイン四年周期終焉という構造変化は、従来の“倍増を待って売り逃げる”戦略より、機関投資家と同様の分散・長期保有アプローチを市場に促しています。
◆ ニュースの解説
今回の動きは、マクロ経済(CPI)、ミクロ供給(減半効果の希薄化)、市場構造(機関投資家比率上昇)、オンチェーン挙動(巨鯨移動)の四層が複合的に絡み合った結果です。CPI鈍化が示す米国のインフレ減速は、金融緩和期待を高めリスク資産へ資金を誘導しますが、同時に大口保有者による利益確定が短期調整を誘発しました。四年周期神話が揺らぐいま、投資家は「ファンダメンタルと資金フロー、双方の変化を常時モニターし、時間軸を引き伸ばす」戦略に舵を切る必要があります。