▽ 要約
価格急落で清算が連鎖し、弱気心理が優勢に。
米国は法整備が前進しつつ、制裁・州規制も進行。
中国は取引禁止を再確認し、RWAは審査制を提示。
企業はリストラと準備資産強化で冬相場に対応。
暗号資産市場は2026-02-05の急落で流動性が細り、フロー悪化と規制の更新が同時に進む局面に入った。

暗号資産市場で何が起きているのか。ビットコインETFの資金フローが反転する中、価格急落と各国の政策対応が同時に進み、投資家は「流動性」と「ルール変更」の両面を点検する必要がある。本稿は2026-02-07時点の主要ニュースを整理し、週次で押さえる論点を解説します。
市況総括(価格・フロー・センチメント)
2026-02-05の急落で投機資金の巻き戻しが進み、短期の値動きが増幅しやすい地合いになった。
ビットコインは2025-10-01〜2025-10-31に記録した高値約$127,000から一時$60,000台前半まで下落した。イーサリアムも約$4,700から$2,080前後まで調整し、主要アルトの下落率は相対的に大きい。暗号資産時価総額は約$4.19Tから$2.39Tへ縮小した。
清算主導の下げは流動性の薄さを露呈し、わずかな売りでも価格が振れやすくなった。2026-02-05には24時間で約$0.95B相当の強制清算が発生し、レバレッジの巻き戻しが連鎖した。出来高が落ちる局面では、価格の「飛び」を前提にリスク管理が求められる。
現物BTC ETFでは2026-01-01〜2026-01-31に資金流出が続き、需給の下支えが弱まった。2026-01-01〜2026-01-31の単月で$3.0B超の純流出、2025-11-01〜2025-12-31合計で$9.0B近い純流出が観測され、昨年の資金流入局面とは逆回転している。
オンチェーンでは大口保有者(クジラ)が売り越しに転じ、下落局面の買い支えが細った。個人の押し目買いも限定的で、センチメント指標は恐怖水準に沈んでいる。底入れを急ぐより、フローと信用環境の変化を確認する時間帯だ。
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規制・政策アップデート
米国は枠組み整備が前進する一方、制裁や州規制でコンプライアンス負荷も増している。
米国:立法・当局判断・制裁の同時進行
包括法制の議論が進む中でも、当局は市場行為への監視と線引きを強めている。
上院農業委員会は2026-01-29に暗号資産の市場構造法案を可決し、本会議審議へ前進した。CFTCに「デジタル商品」規制の権限を与える設計で、今後は他委員会案との統合が焦点になる。
ホワイトハウスは2026-02-02に銀行幹部や業界団体と会合を開き、ステーブルコイン論点の妥協案を2026-02-28までにまとめるよう求めた。制度整備の速度が上がるほど、事業者のオペレーション対応も短期化する。
SECは2026-02-02にCryptoFed DAOを巡る手続きを取り下げ、環境変化を理由に挙げた。強硬姿勢の後退と受け止められやすい一方で、ルール明確化が進むまでの「移行期の判断」として見る必要がある。
OFACは2026-01-30に暗号資産交換業者2社を対イラン制裁の対象に指定し、制裁逃れへの監視強化を示した。米国市場にアクセスする事業者は、送金経路・取引相手のデューデリジェンスを改めて点検したい。
中国:取引禁止の再確認とRWAの切り分け
中国は2026-02-06に取引禁止を再確認し、RWAは審査制で「容認の条件」を初めて明確化した。
人民銀行など8機関連名の通知は、暗号資産が法定通貨と同等の地位を持たないと明記した。取引所運営、トークン発行、価格情報提供などを違法金融活動と位置付け、海外発行の人民元連動ステーブルコインも禁じた。
一方でRWA(現実世界資産)のトークン化は、当局審査を経た場合のみ許容するとした。禁止の徹底と産業応用の選別を同時に進める形で、RWA関連ビジネスは「許認可の有無」が最大のリスク要因になる。
日本・カナダ:保護強化と制度整備
日本は準備資産ルールを具体化し、カナダはカストディ要件で管理水準の底上げを図った。
金融庁(FSA)はステーブルコイン準備資産に関する案を示し、2026-02-27まで意見募集を行っている。裏付け資産の範囲を流動性の高い有価証券に限定する方向で、発行者・仲介者の資金管理はより厳格になる。
カナダのCIROは2026-02-03に保管ルール強化を発表し、顧客資産を信頼性の高いカストディアンで管理するなど新要件を課した。規制の焦点が「発行」から「保管・分別管理」へ移る流れは、他国にも波及し得る。
企業・資金調達・プロジェクト動向
冬相場では財務体力の差が出やすく、保有型企業・取引所・ステーブルコインで対応策が分かれている。
保有型企業:評価損と株価のレバレッジ
大量保有モデルは上昇局面で効く一方、下落局面では損益と株価が急激に悪化しやすい。
ストラテジー(旧MicroStrategy)は約713,500 BTCを保有し、取得総額は約$54.26B、平均取得単価は約$76,000とされる。価格が取得コストを下回る局面では評価損が膨らみ、2025-10-01〜2025-12-31(Q4)は純損失$12.4Bと赤字幅が拡大した。
株価は2025-07-01〜2025-07-31の$457近辺から2026-02-01〜2026-02-07に一時$111台へ下落し、ビットコイン以上のボラティリティが表面化した。英Smarter Web、米Nakamoto、日本Metaplanetなども急落局面で株価が2桁下落する場面があり、投資家は保有量だけでなく資金調達条件も確認したい。
取引所:レイオフと撤退で固定費を圧縮
取引所は取引高の鈍化に備え、人員削減と地域の選択と集中を進めている。
Geminiは2026-02-05に最大200人(従業員の約25%)の削減と、英国・EU・豪州からの段階的撤退を表明した。IPO後の株価下落も重なり、米国とシンガポールへの集中で収益改善を急ぐ構図だ。
業界ではBybitやCrypto.comなどもコスト削減に動き、規模の追求から耐久力重視へ軸足が移った。弱気相場の長期化を前提に、規制対応コストを払える体制が生存条件になる。
ステーブルコイン:準備資産の「質」で信用を積み増す
テザーは金保有を140トンまで積み増し、準備資産の厚みをアピールした。
Tetherは2026-02-05に金保有量が140トンに達したと公表し、2025-10-01〜2025-12-31だけで27トンを追加した。毎週1〜2トンの購入ペースも示唆しており、利回り収入などの利益を実物資産へ回す姿勢が鮮明だ。
金準備の積み上げは信用補完になる一方、準備資産の構成開示や保管スキームの透明性がより問われる。規制当局がステーブルコインを「決済インフラ」と見なすほど、監督の焦点は準備資産の検証へ移る。
今後の注目点
短期はフローの改善と政策の具体化が同時に起きるかが焦点で、時系列で追うと整理しやすい。
・2026-02-28:米国でステーブルコイン論点の妥協案取りまとめが目標。
・2026-02-27:日本のFSAが準備資産ルール案の意見募集を締め切り。
・次の焦点:ETFフローの安定化と、取引所の追加コスト削減の有無。
▽ FAQ
Q. クリプト冬(Crypto Winter)とは?
A. 2018年や2022年のように、Bitcoinが長期下落し恐怖水準が続き、新規資金が細る停滞局面(1年程度続く例も)を指す。
Q. 2026-02-05の急落で何が起きた?
A. 2026-02-05に約$0.95Bの清算が連鎖し、BTCは一時$60,000台前半へ、レバレッジ解消が下げを増幅した。
Q. 米国の規制は強化か緩和か?
A. 2026-01-29に上院農業委員会が法案可決、OFACは2社を制裁指定、SECは2026-02-02にCryptoFed手続きを取り下げ。
Q. Tetherの金保有拡大は何が焦点?
A. Tetherは2026-02-05に金140トンを公表し、2025-10-01〜2025-12-31に27トン追加、週1〜2トン購入も示唆。
■ ニュース解説
急落局面ではレバレッジ解消とフロー悪化が重なったため、短期の値動きが増幅しやすい。
一方で規制は締め付け一辺倒ではなく、米国の枠組み整備が進む局面も同時に観測される。
投資家の視点:価格だけでなく、(1)清算・出来高など流動性指標、(2)主要国の制度化スケジュール、(3)企業の資金繰りと準備資産の質を並行して点検し、ニュースを「フロー」「ルール」「信用」に分解して理解したい。
※本稿は一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
(参考:U.S. Securities and Exchange Commission)





